特定

後輩「あの事件おこしたやつの、顔と住所、特定したらしいッスよ先輩！」

先輩「特定してどうするんだろうね」

後輩「へっ」

先輩「世間で嫌われてるひとの住所や、顔を特定する人は、それをしてどうするんだろうね」

後輩「……どうって、そりゃ…行くんじゃないですか？知らんけど」

先輩「わざわざ？時間とお金をかけて？遠くから？」

後輩「いや、ち、近くて暇な人が行くんでしょ…知らんけど…」

先輩「暇で近いからって、いって、その先なにをするんだろうね？
家に火でもつける？それか、ごみでも投げる？」


後輩「い、いや！そんなことはさすがに、しないんじゃないっすか？！犯罪だし。…知らんけど…」


先輩「じゃなんで行く用事も目的もないのに他人の家を特定して、嬉しそうに、
あげつらうんだろうか？」


後輩「…それはその。
…自分がされて嫌なことを、したいんじゃないかと。
住所特定されたら、誰でも嫌だし」


先輩「ふぅーん。みんなで嫌がらせをして、喜んでるのかぁー」


後輩「………」

先輩「きみはしてないの？」

後輩「へっ？！はっ、お、おれはみ、
…見てただけです。
するわけないじゃないッスか…」

先輩「よかった。
嫌がらせをされるようなことをする人に問題あるのかもしれないけど、きみが、少なくとも人に嫌がらせをして喜ぶような子じゃなくて、よかったよ」

後輩「……はい」