看取るということ
「可愛がりたいだけなら帰ってきてほしくない」
私は12月、会社を辞めて実家に戻る。愛犬チャッピーの最期を見届けたいから。私が人生を辞めてしまおうと思っていた時期に、励まし続けてくれた命の恩犬だから。
最近は毎日、餌を食べる愛犬の動画が両親から送られてくる。もうだめかもしれないと連絡を受けて急遽帰省した11月が嘘みたいに、パクパクご飯を食べる姿。
正直、少し安心していた。まだもう少し、一緒に居られるかもしれないと。そして今日、父からラインが来た。
「チャッピーは具合が悪いだけではなく、人間で言えは老人介護。あちこちにオシッコやうんこをして、結構大変なんです。そのストレスを夫婦で押し付けたり、押し付けられたりしながら対処してきました。」
「可愛がりたいだけならば、帰省してほしくない。下の世話をする覚悟はありますか?」
看取るとは、見届けてお別れすることだと思っていた。しかし、両親はそんな上辺だけでないことまで全て引き受けていたんだ。
「絶対に後悔したくないから、会社を辞めてまで帰省すると決めました。本当の大変さを理解できていないと思うけど、私は必ず帰る。覚悟はできてます。」
そう返事をしたが、返答がない。
綺麗事じゃない、看取るということ。
汚いことまでひっくるめて、全てを愛してチャッピーを送りたい。
私の心が潰れないよう、両親の心も穏やかであるよう、チャッピーが毎日幸せであるよう。
今できる全てを、やっていきたい。
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