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伝わらないのは、並べすぎているから

自分の言いたいことが言葉にならなくて、もどかしい想いをすることは、誰にでもある経験だと思う。私は毎日、自分の言葉がどこか浮いているような、偽りない言葉ではないような、ほんの少しの違和感をたくさん感じる。

その違和感の尻尾に、少しだけ手が触れた。

昨夜、私の尊敬する人達と少し早い忘年会を行った。若者から中堅、ベテランまでたくさんの俳優たちの中にごく普通の私。それでも、みんな温かくて私はこの人達が大好きだ。

結婚おめでとうのサプライズドラマの上映会を、その新婚夫婦も含めたみんなで行ったり、ボーリングやカラオケでオールなんかしちゃって、本当に本当に楽しかった。

『このカラオケが終わったら、この人達とはしばらくお別れだな。』

福岡の実家に戻ることに想いを寄せる。喉が縮む。肩が強張る。引きつった呼吸が乱れていく。

こわい。寂しい。不安だ。ダメかもしれない。

精神の病を抱える両親との生活、先の見えない自分の仕事。一生懸命前向きに振舞ってきたけど、心の奥底で、私は押しつぶされかけていた。

人は迷いながら揺れながら

歩いてゆく

二度とない時の輝きを

見つめていたい

不意に耳に飛び込んできた、優しく柔らかい唄声。透き通った音色と自分がひとつになった。

私の全てが、この言葉に詰まっている。

そして、きっとたくさんの人たちの人生も詰まっているのだろう。

音と、言葉と、人。
その境界線を限りなくゼロにするのは、きっと透明な言葉だ。

わかってほしい。伝えたい。説明したい。

そんなものを全部削ぎ落として、ろ過してろ過して、大事に磨いた透き通った音だ。

私の言葉は押し付けだった。
人はみんな、それぞれの想いを抱きながら、言葉を聴く、読む。

だから、誰かに届けたいならば、その人の入れる余白が必要なんだ。

投げるだけじゃ、ダメなんだ。

全部説明しなくていい。抽象的な表現でもいい。その言葉の余白こそが、透明の音こそが、各々の人生のスクリーンだ。

言葉を削って磨いた真実の透明のその先でやっと、私はあなたと一緒にいられるのだろう。

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