怪奇収集譚〜星のおじさん〜

「あ……ぁ……」

震える私の前に男はいた。
薄暗い無機質な部屋の中央に椅子に座った男が1人。

いや、正確には座らされていたというのが正しいだろう。
手足は枷がはめられていてそこから離れることができないようにされている。

「ひどく動揺しているね。おじさんにはそれは君にとって大切なものかと思ったのだけれど……違ったかな」

おじさんとそう自称した人物は笑った。
いや、人と言えるのだろうか。
私に語りかける声は男性のものだったが、
椅子に座ったその人物の頭部は五芒星の形をしている。
真っ黒い巨大なヒトデのような頭部。
その一部が真一文字に裂け、そこから鮮やかな桃色の
口腔が、歯が見える。
口角を上げてニヤリと笑う。

「これは……これは……」

そんな化物の様子を見る余裕が私にはない。
理由は単純だった。
目の前には首が転がっていた。

「どうして……」


私が10年前に殺したはずの男の首が


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