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【ほぼ週ノーザン】収穫前の糖度分析vol.9

9月に入りました。先月は例年にない大雨、降水量となりまして、気象庁のホームページでデータを見てみますと8月の大町市は328㎜となっています。
昨年の7月も異常で400㎜越えをしています。ここ2年は厳しい状況が続いています。ブドウだけでなくリンゴ農家の方は4月に霜害があり厳しい状況となっています。

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糖度分析

例年、9月の第1週から収穫まで毎週、糖度をサンプリングし分析します。
畑の区画からランダムに50粒サンプリングします。ブドウの肩、真ん中、先端とひと房3粒とります。

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分析

サンプリングした粒をビニール袋に入れて、しっかりとつぶします。たねの周りが糖度上がってますのでしっかりと指ですべてつぶし、果汁を出します。ビーカーに果汁を移して糖度計で分析します。

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糖度計もデジタルのもの、光学式のものいろいろありますが、簡易のものであればデジタルのものが簡単です。ビーカーにある果汁で酸度滴定もするのですが、これは次回ネタにします。うちの場合、酸度滴定は時間がかかるのでデジタルのpH メーターで簡易的に計ります。今回はph3.3でした。?ちょっと狂ってるかも。後でpH メーターの補正をしておきたいと思います。
糖度はBrix13.3%となっています。この時期にしては、かなり低い糖度です。雨が降り続いたせいか糖度が上がっていません。シャルドネの防鳥ネットは張ってあるのですがムクドリをまったく見かけません。こんな年は初めてです。例年ですと今時期でBrix15%以上いってるのですが糖度が低すぎてやってこないのかも。

収穫時期の予測

昨日分析したものはシャルドネ。9月第1週でBrix13.3% 収穫時の目標糖度はBrix20.0%です。およそ1週間で1度ぐらいづつ上昇していきます。例年シャルドネの収穫は10月10日前後がベストタイミングとなりますが、予測してみると今年は10月23日となってしまいます。例年早めに9月第4週からとりはじめているので、今年は遅すぎる。雨がたくさん降ると糖度が上昇しなくなるので、これ以上降らないでほしい。今年はあきらめて、Brix18.0%程度までいったら収穫として10月の第1週2週目での収穫となりそうです。

果汁の補正

醸造する段階で、果汁の糖度が低いとアルコール度数が十分に上がらないです。目標アルコール度数に届かない場合は補糖をして調整します。通常は上白糖を追加します。pHも上がりすぎしまった場合は補正が必要となります。シャルドネの場合、pH3.6ぐらいまでです。pH4.0付近では醸造が困難な状態となりますので酒石酸などを追加して補正します。pHの補正は好ましくないので通常はしません。糖度が上がっていなくてもpH3.6ぐらいなら収穫してしまいます。pHが上がりすぎると雑菌繁殖の危険性があがり、亜硫酸の使用量が増えます。pH4.0を超えると亜硫酸の追加が追い付かなくなります。

今年は10日遅れ

今年は10日遅れで進んでいます。この時期にムクドリの姿を見ないのは非常に気持ちが悪い。また雨が降り続いてるため最終防除が遅れています。ここまで雨が続くと灰カビ病のリスクがかなり上がりますので最終防除でキチンと抑え込みが必要です。

今年はブドウ農家もリンゴ農家も踏んだり蹴ったりの年。ここ2年、雨量がすさまじい。雨量が多いとバンプ病と灰カビ病が発生しやすいです。今年はすでに8月の長雨でベト病が発生しています。厳しい状況ですが例年の7割以上の収穫は確保したいです。

困った。非常事態宣言。

首都圏の非常事態宣言、酒類の提供制限、時短営業など、また現在ここ大町市でも飲食店の時短営業要請がでています。売り上げが落ち込み5割程度となってしまっていますが、ワイナリー、酒蔵みな同じ状況のようです。一番困っているのは収穫の人員確保です。いつも県外からお得意様の団体が収穫ボランティアで手伝ってくれるのですが、今年は見込めません。また売り上げが劇落ちしてしまいワイナリーは一人で運営しています。昨年まで2名パートさんがいましたが今年は厳しい状況のためいません。ひとりでの収穫を覚悟せざる負えません。計算では毎日朝5時スタート16時終了で1時間当たり3箱(15kg×3)ペースでギリギリできそうですが、かなり厳しいと思います。お手伝い募集!と告知もできません。困った。。また今月中にクラウドファンディングの返礼商品の発送約200件、600本のワインの出荷が重なっています。酒税監査も重なっています。プレッシャーで持病の発作が出始め痛み止め飲み始めました。無理そうなら収穫を優先して酒税監査を遅らせるほかないです。困った。。

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