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なこついのべ2015

海と居酒屋
居酒屋は海に似ている。声があらゆる方角から絶え間無く聞こえるのは海底の静寂のようだ。私は、居酒屋では海のものを頼む。刺身、焼魚、煮魚。蒸し貝。ワカメの酢の物。口の中に海の味が広がって、旨い酒を流し込む。これは、海にはなかったな。

心霊現象
心霊現象。朝起きると誰もいないのに珈琲が入っていて、食卓で湯気を立てている。一口はそのまま、後はミルクを。生前は喫茶店のマスターで、客である俺のことが好きだったそうだ。死後に届いた手紙で知った。俺の家では姿を見せずに、毎朝珈琲を淹れている。

世界の終わり
世界が終わってしまったからね、どんなに耳を澄ましても、もう始発電車の音は聞こえないんだよ、ジョン

約款
読ませる気がないだろう、というくらい小さな字で書かれている。薄くてさらさらした紙の冊子。たびたび手に取っていたらページの角はぼろぼろになった。いつも読むのは、最初の方にある項目。地震、津波、噴火。戦争、紛争。放射能事故。契約から、三年以内の、故意の、自殺。

ナナコビト
ナナコビトです。おどります。飲みます。寝ます。ごろごろします。雨の日はだるいです。台風の日はわくわくします。晴れた日は、にっこうよく。買い食いは楽しい。たくさんは食べられないから、半分こ。ナッツの中ではカシューナッツが好き。その次が、クルミとアーモンド。なこ。

星屑ふりかけ
タッパーに入れてある星屑ふりかけを、おにぎりに。これがなかなかおいしいのです。小ぶりならおつまみにもなるし、ご飯が傷みにくくなる効果もあります。きゅっと握って、ホイルでくるんで。まだ少し残っている光が、お米の中から滲んでくるので、夜の遠足にぴったりなのです。

星屑おにぎり
星屑をそのまま冷凍しておいて、一週間くらい経ってから流水解凍すると、星の輝きがとても強くなります。これに粉(天ぷら粉など)を薄くはたいてカラッと揚げると、サクサクの衣に、中は空洞になっていて、きらきらとした光だけが入っています。特に一等星のは格別ですよ。

秘伝のタレ
この秘伝のタレは、何百年も前から継ぎ足し使われているのだという。私たちの祖先が、ウナギという生き物を食べていた頃から。ウナギは今はもう絶滅して、代わりに宇宙人を食べている。タレで焼くのだ。熟練の職人が炭火で宇宙人の蒲焼を仕上げる。タレの匂いは、昔と変わらない。

妖精の持ち分
だいたいの妖精は自分の持ち分は決まっていて、ただ毎日その力を適切に適度に使っているのです。私は、家系ラーメンの店の水を美味しくする妖精です。弟は二郎系ラーメンの店頭にある黒烏龍茶の自販機の妖精をしています。母は、汁粉に加える塩の妖精でした。ええ。肥満家系です。

未確定
なことゆらは、不思議な生き物を見つめています。にゃんしーさんが捕まえたのだそうです。ピンク色でハイヒールを履いている、台湾の野生のうろろんだということです。「…ちょっと、違う気がする」と、ゆら。「違うよね…」と、なこ。「ウロローン?」と、うろろん(?)。

うろろん本人に見てもらおう、ということで、 なことゆらはウロロン(?)をうろろんのところに連れてきました。「ウロロロローン」「うろ…ろん…」ウロロン(?)は、うろろんが気に入ったみたいです。うろろんは、少し怯えています。「仲間じゃないのかなー」と、ゆら。

「そうごうてきにはんだんするとね」と、なこ。なこは、総合的に判断するのが得意です。「不確定名がウロロンなのであって、未確定なんだ」「ふんふん」「誰かが[知識:台湾のモンスター]で成功しないと…」こいつは、いつまでも「ウロロン(?)」のままです。

うろろんと焼肉
「うろろん、ろん」うろろんは、この前連れていってもらったおいしい焼肉屋さんに、ゆらさんを連れていこうよ、と言っています。うろろんは初めて焼肉を食べたので、とても気に入ったのです。「そうだねえ」焼肉には少し詳しいなこも、あの焼肉屋さんは美味しかったと思うのです。

タヌキリス舎
「タヌキです」「リスです」「タヌキです」「三人揃って、タヌキリス舎です」
「三人…?」「実は二人たぬ…」「こうやって、すごく素早く動くとね」「タヌキが二人に見える」「すごい」

タヌキリンス
「タヌキを石けんで洗うとごわついてしまうたぬ。そんな時に使うのが、これ」「たぬきリンス…!」「これを使えば、つやつやな毛並みのふわふわタヌキになるたぬよ」「ほほー」
「今は色んな種類のたぬきリンスがあるたぬ」「…フローラルの香り」「こっちはスカルプケア。こっちは、縞模様がくっきりするタイプ。どれが良いたぬ?」「じゃあこれ」「かわいくなるタイプたぬね、それ使うと、かわいくなるたぬ」「ほんとにー!」「うそたぬ」

捨てうろろん
うろろん「うろ…ろん…」
なこ「お、捨てうろろんだ。可哀想に…」
うろろん「うろろん…」スリスリ
なこ「よしよしウチで飼ってあげようね」
うろろん「うろろーん!うろろろろろーん!ろんろん!」
なこ「こらこら、はしゃぐなはしゃぐなww」

さばさば系女子
さばさば系女子か、と。一瞬の出来事でした。ご飯の前にお手洗いを済ませたのです。戻ってきたら、食い荒らされた、さば、さば。「にゃあ?」「みいー」かわいい顔をしている。さばをかじってみたけど好みじゃなかったから残りはそのまま置いておいたわー、ってことか。こもさば?

うろんな店
カフェウロントではしばしば宗教の勧誘、マルチ商法の勉強会、営業に出たふりをしてパズドラをするサラリーマン、生命保険のクロージングなどを見ることができ、非常にうろんな気持ちになれますのでぜひご利用ください。

蒲焼ウロンターレ
蒲焼ウロンターレは架空のサッカーチームであり、チームマスコットのうろん太くんは目つきがうろんです。ホームゲームではまばらな観客席の間を、うろんさに惹かれてやってきたうろろんたちが埋め尽くしてくれます。うろろんたちはウロンターレの13番目のメンバーなのです。

文学フリマ当日
今日は文学フリマ。タヌキリス舎は、大所帯です。「コネコのご本の売り上げでカントリーマアム買ってにゃー」「はいはい」「うろろん…」「こまちちゃん、がんばる!」「眠いぷう」「売れるかなあ」沢山ご本が入ったカートをひいて、流通センターを目指します。

うろろんと文学フリマ
うろろんは昨日、文学フリマに行ったんだよ。「うろろんうろろん」うろろんのことを好きな人に会えて嬉しかったみたい。うろんな気持ちも吸い込んだよ。空港快速に乗って羽田空港まで行っちゃった気持ちとか。休憩場でカレー食べてたら周りをグループに囲まれてた気持ちとかね。

うろろんとシュレッダーさん
うろろんが最近気になるのは、シュレッダーさん。会社ではお仕事が終わった人から、シュレッダーさんに紙を食べさせるよ。ごごごごご、ってシュレッダーさんは食べる。多分あの紙には、みんな悩み事を書いてるんだよ。それを一日の終わりに食べてもらうんだね。すてき。うろろん。

おもに日々の角ハイボール(濃い目)代の足しになります