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ぬいぐるみコレクション序説

異論反論は認めるけれど、ぬいぐるみには魂があると思う。
そう、人魚にはなくてニンゲンにはある、あの、魂。

ではぬいぐるみは生きているのかと問われれば、それはイエスでありノーである、と思う。

魂は生きている。
ただ、そのからだは新陳代謝していないので、死ぬことはないが自然治癒することもない。へたったり、毛が抜けたり、縫い目がほつれてきたりしても、自然には治らない。
ただ、しかるべき職人に依頼すれば治る、という意味では、新陳代謝するからだよりも救済の余地が広いとは言えるかもしれない。

ぬいぐるみの魂はどこからくるのか。
たぶん、半分は天の国でかみさまが持たせてくれるんだろう。

また、お店にいた時間が長かったり、お店でお客さんやお店のひとによく可愛がられたり、ほかのお家にいたことがあるぬいぐるみは、しばしば最初からよく喋る。

うちにはこまちちゃん、という黒猫の小さいぬいぐるみがいる。このこは最初からよく喋った。吉祥寺の駅ビルで見かけたときに、あまり懐の事情が芳しくなかったので、またね、ってしようとしたら、「どうして連れて帰ってくれないの?」と言うので、お会計してスカウトした経緯がある。ちょうど去年の10月末で、おまけにハロウィン柄のハンドタオルをつけてくれた。こまちちゃんは、それをおみせのおかあさんからのお餞別だといって、大事にしている。

パンくん、という、犬の小さいぬいぐるみもいる。アメリカのマクドナルドのハッピーセットのおまけとして作られたみたいで、自由が丘の雑貨屋さんで仲間と一緒に積まれていた。たくさん仲間がいる中で、いっぴきだけ目がきらきらしていた。とても賢い。
パンくんは、たくさん仲間がいた中で、いっぴきだけ、うちのこになりたいって言ったんだよ。きらきらしたお目めで。

こういう子たちは、だいぶ魂が育ってからなこに出会ったんだと思う。

沖縄の美ら海水族館の売店でスカウトしたうりりん。
水族館にはバスツアーで行ったから、バスの集合時間の前に、お土産屋さんに並んでる中で一番かわいいのを一瞬で選んで連れてきた。
おっとりしててお姉さん気質。
新しく来たぬいのお世話もよくしてくれる。

バクのぬいぐるみもいる。名前はバクちゃん。
恵比寿のアトレでスカウトした。
ちょうど卒論でバクについて書いていた頃だったので。
たくさん仲間がいた中で、ちょっと鼻先が曲がってるやつを連れて帰った。
今では我が家の悪夢処理班として、たまに一緒のお布団で寝る仲だよ。

お土産にもらったぬいぐるみもいる。
ぷくりん。イタリア生まれアメリカ育ち。
なこに似てる、って言われて、太平洋を渡ってやってきた。
今ではわが同人サークル「タヌキリス舎」の売り子をこなしつつ、何故か新幹線に目覚めてしまった…。
新幹線はやい!かっこいい!はやい!だそうです。
人見知りで、ちょっとびびり。

うちの最古参は、にゃんこさん。
なこが生まれたときに出産のお祝いとして、ばあちゃんとおばちゃんが連れてきたんだって。
幼稚園のお泊り保育にも一緒に行った仲。
毛足が長いのではげてきちゃったんだけど、そこはどうにかリペアしてあげたいなあと思う。
なこは長女だけど、にゃんこさんはおねえさんってかんじ。

そんな、かわいいみんなの個性と魂はどこからどのようにやってきたのか。
なこには、魂感染論という持論があるんだけど、それはまた今度。
ぬいぐるみには魂があるってこと。言いたかったのは。

おもに日々の角ハイボール(濃い目)代の足しになります