ぷろろんと社長
エグゼクティブな貴方には、エグゼクティブなうろんがあるはず。
そんな貴方のための、特別なうろろん。
それがぷろろん。
そっと寄り添って、うろんをしゅっと吸い取ります。
吸い取りもエレガントに素早く、ビジネスシーンにもマッチします。
シルクのような純白のうろろんは、成功の証。
ぷろろんは、プロのうろろん。
社長専属です。
専用車には、運転手さんと、助手席に秘書さん。
後ろの席に社長とうろろん。
夜の高速道路。
誰も喋りません。秘書さんのタブレットの液晶が光ります。
迂回路をカーナビが教えてくれます。
ぷろろんは窓の外を流れる灯りをずっと眺めていました。
「あのな、ぷろろん。会社、なくなったんだ。俺、社長じゃなくなったんだよ」
ある日突然、ぷろろんはそう告げられました。
だから、他の社長のところに行くといい。
同級生で成功しているひとを紹介するから、と。
ふるふる、とぷろろんは震えました。
そしてしゅうっとうろんをすいこみます。
「うろろん、ろん」
ぷろろんはふつうのうろろんに戻りました。
それからおんぼろのハイゼットで、北へ。
運転席には元社長。
助手席にうろろん。
カーナビはないけれど、ラジオから音楽と交通情報が流れます。
窓の外は青い空と山と田んぼばかり。
右車線の車がどんどん追い抜いていきます。
おもに日々の角ハイボール(濃い目)代の足しになります