季節も心もゆっくりと進む

7月18日から世界の見え方が少しずつ、でも確実に変わってきた。それまで笑えていたことに感情が動かされなくなり、心が満たされることもなくなった。8月2日に松岡茉優さんのラジオ番組『マチネのまえに』で撮影中のドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』についてお話があり、辛い中で作品への思いを語る松岡さんの言葉一つ一つに頷きながら聞き入った。そして、「お辛い方はどうぞご無理をなさらずに」という最後のメッセージに救われたような気がした。

それから三浦春馬さんが出演した過去の作品を見返すことが続いた。9月15日にドラマが始まり、観られると思ったものの、やはり気持ちが追い付かず、録画をして時が止まっていた。12月になって天外者のために劇場に足を運ぶことができ、少し進めた気がしていたが、それでも再生することはできなかった。

年末年始は長めに仕事の休みがとれたが、どこにも行けないのでテレビを見る時間が多くなり、離れていた音楽にも触れた。その中で気になったのが、ドラマの共演者である北村匠海さんがボーカルを務めるバンドDISH//だ。THE FIRST TAKEの『猫』を初めて聞いた時にはいい曲だなと思って終わっていたが、ミュージックステーションで釘付けになり、レコード大賞が終わるころにはYouTubeでDISH//を検索していた。そこで見つけた北村匠海さんが作詞作曲をした『あたりまえ』。出会えたと思った。声とギターが優しく寄り添ってくれる。止まった心に話しかけるように。

ねえ知ってる?
青空は続いているんだよ
気持ちいいくらい広いんだよ

あの日から、天気が悪くても毎日空を見てきた。冬の空は夏のように鮮やかな青色ではないけれど、それでも自然と見上げたくなる。

次のお休みには観られるような気がした。

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