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勘能的

代筆のように、普段の5倍近く大きくうつくしい
言葉を探す。手繰り寄せたそれはあまりにも
いらないものでしかも、狭い部屋をどんどん
狭めてゆく。狭い視界をどんどん窄めてゆく。
見えるはずの夕方が今日は暗く。まるで夜のよう。
つい最近、生理中に結婚式が来た夢を見た。
逆とは言わせない。結婚式中に生理が来たわけじゃ
ない。前提として女である。附属である。
普通おしりから透けてしまうあの赤さがなぜか、
ちょうど前面から始まった。
ケツから漏れる血まみれウエディング。
多分結婚しない方がいい。

中々身体が休まらない。心もおなじ。
ずっとピッチピッチの糸が張り巡らされて、
肌に食い込むそれを、流れない血と共に見ている。
ずっと見ているだけ。いつもそう。
見張っている。あれが死なないように。
そんなことしかできないのだ、結局のところ
血みどろの結婚式を演じかけたところで全く
全く赤の他人なのである。
ワタシはこの世界に、たったひとりなのです。
もう少し増えてもいいのに。生まれながらに孤独。

ワタシを守るために夜を避けた。
ワタシだけを守るためにあれも守った。
あれもこれも守る所作だけは上手くいった。
保身塗れの汚い女を、聖母と見間違う愚かな子供。
もうこっちを見ないで、できるだけ静かに殺して。

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