パイオニアThe Spy考察記②

前回はこちら


ではどのデッキをベースにするかと言われたらやはり87枚スパイだろう。

このリストが他のリストに比べ勝っているのはスパイの枚数だけではない。

マナクリー《新生化》《異界の進化》ルートであれば3枚目の土地を置く必要がないのだ。従来の2種のスパイであればマナクリ+(3枚目の土地かつアンタップイン)である必要があった。この差は非常に大きく、言ってしまえばスクリューを大幅に受けられることになる。

逆にデメリットはアンタップインできる裏面土地カード(=ボルトランド)の比率が落ちてしまうことが挙げられる。1ターン目はタップイン処理でいいが、2ターン目は確実にマナクリを出したい。

もう一点、《絡みつく花面晶体》+《新生化》のときに限り青マナを捻出することが困難となる。

以上のデメリットを踏まえて一つのアイディアが浮かび上がった。

それは”デッキ枚数を抑えて、12spyにする”ことである。

つまりはボルトランドの比率を少しでも上げることが目標となる。


では何を削るか。

まずは87枚のデッキを分解してみよう。スパイデッキの欠点は、MOで見ると一見何枚土地が入っているのか全く分からないことだ。

以下がこのデッキの真の姿である。

20 緑マナがでる土地

15 黒マナが出る土地

4 青マナが出る土地

16 スパイ

12 マナクリ

12 ゾンビとchill

4 思考囲い

4 集団的蛮行

3 LO死を回避するためのカード(いろんな比率が考えられるが、この比率が一番いいように感じられる)

1 悪戦+苦闘

足して91になるが、花面晶体が重複しているためだ。

ここからまずはスパイを16→12にする。

スパイの比率はあまり変えたくないため、単純にデッキ枚数を3/4すると65.25枚となる。よって減らす枚数は22枚(うち4枚が新生化)となる。

残り17.75枚をどの順番で減らすかは難しいが、とりあえずは黒マナ源が多く感じられる。素キャストすることがほとんどない《ブラックブルームのならず者》と《ハグラの噛み殺し》をすべてカット。これで黒マナ源は23から16になるが、スパイを出すには十分な数値だろう。

次に気になるのは《思考囲い》である。このデッキのメインボードにおける理想ムーブは2ターン目マナクリ、3ターン目スパイである。よって囲いを打つタイミングは1ターン目にしか存在せず、アンタップインの黒マナはなんと4枚しか入っていない。奇跡的に1ターン目で打てたとしても、ボルトイン+囲いで5点も受けてしまう。まつがん氏がモダンのスパイで同様のことを書いているが、パイオニアにおいても5点はかなりきついので、サイドボード候補へ出向とする。

これで減らせたのは4+7+4で15枚、残る6.75枚の選定をしていく。

現時点での土地の総枚数は0(32)だ。デッキを65枚とすると、さすがに過剰であるといえる。マナベースに少し不安は残るが、積極的にマリガンしに行けるデッキという言い訳をしつつ緑マナを減らすこととする。《カザンドゥのマンモス》と《巨森の補強》の比較ではさすがに後者は分が悪い。(ほとんどありえないが)コントロール相手のリミテビートのためにも前者は残すこととする。

残すは2.75枚だが、もう削れるものは《銀打ちのグール》と《集団的蛮行》しかない。どちらも4枚は必要ないので最後に1枚ずつ削ることとする。

87枚デッキのスパイ比率には0.75枚分届かないが、メインボードはこの66枚で完了でいいでしょう。ちょうどおそろしい数字だし…

タイトルなし


サイドボード

メインボードはやることが決まっているので簡単だ。問題はサイドボードにある。メインボードからのスパイコンボが決まらなくなる要因は以下の通りである。

①置物墓地対策

②ハンデス

③打ち消し

④《漁る軟泥》《静寂をもたらすもの》等の対策クリーチャー

⑤高速アグロによるライフ負け

⑥《塵へのしがみつき》

⑦《屍呆症》系

⑧スパイ出した次のターンに墓地を全追放される

⑨ライフレースができない場合

※ミラーマッチ

ちょっと問題多すぎませんかね…?

各問題点を解決していく前にサイドボードの裏テーマを発表。

“《タッサの神託者》は本当に必要なのか?”

確かに墓地対策の上から勝てるようになるのは評価できる。しかしこのデッキの青マナ源は12しかなく、確実にキャストできるとはとても言えない。なおかつ手札に持ってないとダメなので、都合よくキャストできる確率はかなり薄い。それでも採用する必要があるのかも検証していく。


①置物墓地対策

どのデッキにも2枚~4枚は採用されてるので、最低4枚は必要だろう。

⇒《暗殺者の戦利品》:なんでも触れるが、《塵へのしがみつき》の1マナを残してしまう可能性がある。

⇒《突然の衰微》:黒力線のみ触れないが、マナは残さない。

⇒ディッチャ系:軽さでは《自然のままに》、《自然への回帰》ならミラー対策にもなる。ドローにもなる《萎れ》、新戦力の《大群への給餌》と《壊れた翼》と選択肢は多岐に渡る。

⇒《タッサの神託者》:追加の青青が必要だが、スパイしたターンに勝てる。


②ハンデス

黒いデッキには確実に4枚、多くて7枚程度採用されている。通常のデッキと異なり土地も抜かれるので対策は必要か。

⇒《神聖の力線》:対ハンデスはこれしかない。


③打ち消し

12スパイとはいえ《異界の進化》を消されると致命傷になる。コンボデッキ故クロパはキツい。

⇒ハンデス:入れるのならば《思考囲い》だが、対クロパには有効でないので不採用か。もしくは蛮行の4枚目。


④《漁る軟泥》《静寂をもたらすもの》等の対策クリーチャー

最近スパイが活躍しているので採用率がジワ上がりしている。普通のアグロ相手への対策にもなるので、採用に値するか。

⇒《致命的な一押し》:除去ならこれ一択か。《欄干のスパイ》ルート以外なら紛争も達成できるので、カリタスも押せる。


⑤高速アグロによるライフ負け

Chillが複数枚手札に来たりしたときドレインが足りずに負けるパターンもある。

⇒《致命的な一押し》:やっぱこれだね。


⑥《塵へのしがみつき》

メインボードから飛んでくる可能性のある問題の一枚。《世界棘のワーム》の能力誘発にスタックされるとLO負けとなる(なんでネクサスが禁止なんだ…)。黒1マナ立っているだけで警戒しなければならず、挙句4マナ立ってるとハンデスしても墓地から打ってくる。

⇒追加の《世界棘のワーム》:1枚抜かれて負けるなら2枚入れればいいじゃないの精神。対策にはなるが、汎用性は低い。しかししがみつきの汎用性は高い。せめて同効果のカードがもう1種あれば⑦の対策にもなったのだが…

⇒《タッサの神託者》:追加の青青が必要だが、スパイしたターンに勝てる。


⑦《屍呆症》系

スパイ前はChillを抜かれるとグールが出てこれず、スパイ後はデッキのワームを抜かれて負ける。

⇒《神聖の力線》:どれもプレイヤーを対象を取るので回避は可能。やはり必要か。

⇒《タッサの神託者》:追加の青青が必要だが、スパイしたターンに勝てる。


⑧スパイ出した次のターンに墓地を全追放される

トップデッキ等で《魂標ランタン》等を引かれたとき。

⇒《ナルコメーバ》:通常であれば縫合体が戻ってくるのは相手のターン終了時だが、採用するとこちらのターン終了時に出てくるのでケアできる。しかしその場合全体除去が刺さってしまう。


⑨ライフレースができない場合

オーラ系相手にバカデカ絆魂生物を作られてライフレースが困難となる場合。カリタス+除去除去でしのがれる場合。

⇒《タッサの神託者》:ライフレースを無視して勝てる。


※ミラーマッチ

基本的に先手が勝つので何かしら対策は必要。

⇒《トーモッドの墓所》:一番軽く、起動コストもないが汎用性は低い。

⇒《魂標ランタン》:起動コストはかかるが、汎用性は高い。

(10/5加筆:起動コストなかったので、スパイを想定するならおそらくこれが最適)

⇒《塵へのしがみつき》《自然への回帰》:汎用性は激高だが、相手にワームが2枚入っていると意味をなさない。流行りのリストに合わせる必要がある。


以上の点を踏まえて、必要なサイドボードは

4 《神聖の力線》

採用理由:②ハンデス、⑦《屍呆症》系対策

4 《致命的な一押し》

採用理由:④置物生物対策、⑤ライフ負けへの対抗札、(⑨除去れれば)

3 《暗殺者の戦利品》

採用理由:①置物対策、⑤ライフ負けへの対抗札、※ミラー対策(ランデス)

2  《自然への回帰》

採用理由:①置物対策、※ミラー対策(限定的)

1 《世界棘のワーム》

採用理由:⑥《塵へのしがみつき》対策

1 《集団的蛮行》

採用理由:③打ち消し、⑤ライフ負けへの対抗札、⑥《塵へのしがみつき》対策(墓地からは無理)

となった。

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次回実践編!(Challenge結果挟むかも)


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