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学校では教えてくれない自分を休ませる方法

精神科医・井上祐紀氏著書「学校では教えてくれない自分を休ませる方法」を読了したので、その感想を綴っていこうと思う。

もちろん小説ではない。
これはいわゆる自己啓発本なのかな。

私が井上先生を知ったのは、先日参加した研修会でのこと。
福島にある、福島県立ふくしま医療センターこころの杜の副院長として、ご多忙の身である井上先生は残念ながらリモートでの参加であったけど、その優しくユーモアのある話ぶりと、根拠に基づいた冷静な切り口には、かなり興味を惹かれた。
その時同席していた上司もそう思ったらしく、早速井上先生が執筆された本を購入してみたらしい。
後日「読んでみてやっぱり面白かったから」と私に勧めてくれたのが、今回の著書。

不安定な時代だからこそ、休むことがいかに大事かを提案するところから、本書は始まる。

社会の都合に振り回される子供達

子どもが自分自身を守るためならば堂々と休むことができるよう、今こそ休むことを子どもたちの手に委ねるべきだと思うのです。

著書「はじめに」の文中より引用

2020年の春頃より、新型コロナウイルスの大流行によって、多くの社会活動が停滞した。

私は看護師なので、コロナ禍であっても以前と変わらず出勤していたので、あまり実感はしていないけど、職場の先輩方が「子供達が休校中だから家での仕事が増えた」と話しているのはよく耳にしていた。

コロナの感染拡大防止のために、日本全国の小中高一斉に休校となった。
その一方で、文部科学省が制定した教育課程は終了させなければいけない為、夏休み、冬休みなどの長期休暇が短縮されてしまうというケースは少なくなかったらしい。

そんな世間の都合に振り回されるうち、心身の不調を訴える多くの子供達が、精神科を受診に来ていたと井上先生は著書の中で話している。

休みたい時に休めず、休みたくない時に強制的に休めと言われる。

自分ではどうしようも出来ない、抗いようもない決定事項を大人から容赦なく突きつけらる子供達。
辛く苦しい思いをした、いや、今もしている子供達がどれほどいるのか、私はこの著書を読むまで考えたこともなかった。

「休みを子供達の手に委ねる」

という言葉に私は新鮮さを感じ、今の時代に合った凄くいい言葉だなと思った。

どうしたら人は「休めているのか」

そもそも、「休む」とはどういう状態なのだろう?ちょっと調べてみる。

1.働きを一時やめて安らぐ。
2.活動を中断する、または中断した状態を呈する。「日曜も―・まず働く」「店が―・んでいる」。欠席・欠勤する。
 「会社を―」

Google先生の答え

つまり、今している活動を一時中断して、心身の疲れを取り癒すことが、本来の「休む」という行為だ。

例え学校を休んでいたとしても、課題が大量にあったり、学校のことを考えて不安でいっぱいだったり、休んだことでよりネガティヴになるというなら、それは休めていない。

ここで少し私の学生時代の記憶を一つ。
私は高校の頃、不登校とは言わないまでも、出席日数が足りてると確信した段階から、よく学校を休んでいた。

「目の前で電車が行っちゃったんで、今日は行きません」

「家にいる方が有意義なんで、今日は家にいます」

せめて仮病を使いなさいよ。仮病を。

大人を舐め腐っていた当時の私は、生意気にも程がある理由で休んでいた。

それで先生に怒られはしたけど今思うと、その生意気さと適当さのおかげで、心身を十分にリラックスさせることが出来ていた。
あの過酷な看護学生時代を支えていたのは、私がきちんと休んでいたからだ、と振り返ってみる。

当時の私、グッジョブ!

そして、それを許してくれた親にもちょっと感謝。

子供にも有給休暇を

この本を読んでいて1番共感し、思わず「確かに!」と声に出してしまった部分がある。

そこは、ページで言うとP122、chapter 4の「子どもにも自由にとれる休暇があっていい」という項目。

その部分を私なりに要約すると、「大人には自由に休んでいい有給休暇があるんだから、子どもにもあったらいいのに」という井上先生の主張が書いてある。

大人ですら有給休暇があって、必ず5日は取らないといけないと法律で決まってるんだから、子供だって自分が休みたい時に休んでいいじゃないか!
うん。私もその意見に賛成。
言葉にするなら、有学休暇?有単休暇?

どちらにしろ、やはり皆勤賞という言葉は廃止にするべきだ。

休まないことが美徳とされる常識を、今こそガラスのようにパリンッと打ち砕け。

大人になった自分へ

子供は純粋で無垢で、だからこそ大人の言った言葉しか知らず、世界は大人によって構成される。

私はもう大人になった。
まだまだ若いとは言われるし、現役だけど、目の前には、真新しい未来を背負った子どもたちが生きている。

そんな子どもたちに、私たち大人が出来ることは何だろう。
1人でも多くの子どもが、目をキラキラと輝かせ、その真新しい未来に希望を抱けるようになるために、大人たちが取るべきスタンスは一体どんなものなのか。

私はこの本を読んで、いくつか自分なりの答えを見つけた。

まずは、私たち大人が休むことの大切さを伝え、休むことを否定しないこと。

次に、過度な期待を押し付けないこと。

そして、何か始めたり再開することを急かさないこと。

最後に、「安全な相談者」になること。

特にこの「安全な相談者」になることが、私は1番重要だと思っている。
考えを否定せずに尊重し、秘密は守り、嘘は吐かず、隠し事もせず、ちゃんと話を聞いてくれる、そんな「安全な相談者」になれる大人がどれほどいるだろうか? 

「身勝手な相談者」になっていないだろうか?

自分の意見を押し付ける「身勝手な相談者」
そっちの方が楽だけど。

でも、それでも私は子供達を導く存在として、「安全な相談者」になれるよう日々努力をしていきたい。

最後に

休むことは負けでも悪でもありません。

著書の帯に書いてある言葉

以前、「皆勤賞なんて」という記事を投稿したことがある私にとって、とてもタイムリーな内容であったし、私の考えが間違ってないと言ってくれた気がして凄くホッとした。

「皆勤賞なんて」記事↓

この著書は子供向けに書いてあるけれど、決して子供だけに向けたものではない。

辛い社会の荒波に揉まれてる大人にこそ読んで欲しい。

休んでも休んだ気がしない貴方へ、是非。

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