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ルーヴル美術館展~愛を描く~

六本木にある国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展~愛を描く~」に行ってきた。

こちらチラシ。
LOUVREのUとRを抜いてLOVEになってるのもいいし、その抜かれたUとRも小さいハートで構成されててとっても可愛い。

約1年ぶりとなる国立新美術館。
六本木の乃木坂駅に直結してるこの美術館は、何度来ても迷わずにすぐ行けるから、とっても好き。

そして今回のルーヴル美術館展は、ただルーヴルに所蔵してある作品を展示しているだけではなく、サブテーマにもある【愛】についての作品を集めている。

フランソワ・ジェラール/アモルとプシュケ
例えば、メインビジュアルにもなってるこちらの作品。純粋無垢な感じがちゅき。

西洋の描く愛がどのような展開をして、その時代を生きた画家がどのような表現をしてるのか、それを確かめに赤い傘を刺していく。

古代神話でみる男女の欲望

ギリシャ神話、古代ローマ神話、さまざまな神話で出てくる男女の官能的な話は知ってはいたけれど、なかなか詳しく知らず、この展覧会に来ていた。

それで実際見てみると……

こちらはルーヴル展のチラシから拝借
色黒の男性の筋肉隆々な体格と、色白の柔らかそうな肉感的な体格と、薄い滑らかなベール……。

神話に出てくる男性(男の神様や怪物)は暴力つまり力の強さで、女性を手に入れ、女性は美貌や魔法による誘惑で男性を手に入れる、という解説があった。

こちらもチラシから。
注目してほしいのはここ。
キャー////
この2人の兵士は鑑賞者の気持ちを代弁してる説

この今ほどコンプライアンスに敏感じゃなかった時代だからこそ語られた神話のぶっ飛んだ男女の愛を描いた絵画の素直さに感動する。

しかし、これは程度の差はあるとしても現代でも同じだなとも思ってみたり。
すると、欲望故の愛というのは、人間の根幹となるエネルギー源であるし、男性らしさ、女性らしさを武器にしてしまうのは、人間の性なのかもしれない。

永遠の別れと男性同士の愛

先ほどの欲望に忠実なシュチュエーションともう一つ人気(だと勝手に私が思ってる)テーマが、ズバリ!愛故の永遠の別れを迎えた恋人たちではないだろうか。

この展覧会でも「死が2人を分つまで──恋人たちの結末」とか、「死に至る愛」とか、死と愛をテーマにした絵画が多く展示されていた。

その中にもあったけど、ロミオとジュリエットにも代表されるような死を迎えてしまった恋人たちが、画家に人気だったのはなんでなんだろう?

と言いつつ、私も画家だったら多分このテーマは描く。
死が2人を分つと、その愛が永遠のものになったと感じるし、仮に片方のみが命を落とせば、残された方は永遠の愛と悲しみを背負って生きていくから、余計に感情の層が複雑になる。

物語を聞いてるだけでもドラマチックで、大きく感情が動くし、死を取り扱った作品というのは世に出した時に、良くも悪くも鑑賞者の心を揺さぶってくるものがある。

クロード=マリー・デュビュッフ/アポロンとキャパリッソス
これは男性同士の愛を描きつつ、キュパリッソスの死をアポロンが嘆いている死をテーマにした作品

この作品が私はこの展覧会で1番グッときた作品。
中世的に描かれた美青年キュパリッソスの力なくしなだれた身体と、死を迎えた表情。
そしてそれを切ない眼差しで見つめ、優しい手つきで支えるアポロン。
この悲しすぎるも、どこかエロティシズムを感じるこの作品。……良い。

エッ…‼︎‼︎すぎる絵画

それで今回の展覧会で1番感じたのは、「エロすぎだろ…」という感想だった。

高尚な絵の前で、何をそんなはしたない感情を抱くなんてと思った方は実際に実物を見てほしい。

フラゴナールは師匠のブーシェっぽいチャラい絵とエロを掛け合わせる天才だと思う。えっちだねぇ。

ここの絵が展示されてるブースの紹介文に「エロティシズム」という言葉が使われてるってことは、公式から「この絵はエロいです」と言われてるようなものだ。※個人の見解です。

やっぱり「エロ」を鑑賞者に見せつけることで想像力を掻き立てる絵画は実際に存在するし、一見すると何もない空間にもそこに一度想像力を掻き立てるエッセンスが加われば
たちまちエロが湧き上がってくる。

これ実際の写真撮りたかったけど、ダメだったのでチラシのものを。想像力が掻き立てられるよね。

この作品、絶妙に鑑賞者のことを試している。
一見なんの変哲もないただの空室のように見えて、実はかなりこちらを誘惑している。

手前で乱雑に脱ぎ捨てられた上履き、鍵が挿しぱっなしのドア、片付けられてない箒、そして何よりその奥にある画中画。

これは、ヘラルト・テル・ボルフの「父の訓戒」という絵だと思う。
父の訓戒と言われてはいるけれど、絵画評論家の中野京子氏曰く、これは高級娼婦と客のやり取りを描いた作品なんだという。

これがわざわざ奥に描いてあるということは……。

心癒されるアガペー

さて、こんなに欲望に忠実で、力や魅力を全面に、エロティシズムマシマシの絵画ばかり見てると少々お腹いっぱいになってきたところで、ルネサンス期の聖母子像を中心にキリスト教の無性の愛、つまりアガペーを表現した絵画が並んでいた。

この絵の上の方にいるのは多分天使なんだけど、大天使以上の天使なんだよね?顔から直接羽が生えてるし。

優しそうに微笑み、それでいてこの将来を憂うマリア様の目線。
そしてその腕の中で気持ち良さそうに眠るイエス様。
見てるだけでとても心穏やかになれるような、絵画。
慈愛に満ちた作品は鑑賞者の心にも慈愛を注いでくれる。

最後に

こちらの展覧会、実は6/12付で終了している。

え!行けないの?!と思った貴方、大丈夫。
実は今度は京都の京セラ美術館に場所を変えて開催されている。

愛に溢れた今展示会。
エロスのような欲望的な愛、アガペーのような慈愛、様々な愛の形を絵画を通して触れることができる。

愛が不足気味の貴方に、是非。

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