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接触(1)

「こんなこと信じられないと思うけれど。遠隔ヒーリングをしてもらったら夫のDVがおさまったの。」と知人が話してくれたことがありました。遠隔ヒーリングとは遠く離れた場所から、相手の不安定な精神状態や病気を癒すものらしい。商売にしている人ではなく、知り合った人にだけ無料ヒーリングしている人だったので、試しにしてもらったとのことでした。

ちょっとした時間にサラリと聞いただけだったので、すっかり忘れていたのだけれど。一昨年の夏、母から難病で苦しんでいる父の体の痛みが激しくなったと電話で聞いたとき、ふとこの話を思い出したのでした。

知人に相談したところ、早速父を遠隔ヒーリングしてもらえることになりました。変な宗教でもなければ、高額なスピリチュアル商売でもない。効果があるかはわからないけれど、試してみよう程度の軽い気持ちで。

数日中にヒーリングすると言われていたある日の午後。私の脳に電流が走るような軽い刺激を感じました。

「父のヒーリングが始まったんだな。」

霊感だとかスピリチュアルだとかいう世界とは無縁だった私が、なぜ当たり前にその刺激を受け止めたのか。あとで聞いたところ、父のヒーリングをする前に依頼人である私を見ていたとのことでした。

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