久しぶりに中園孔二の個展を見た。
(堀 元彰|東京オペラシティアートギャラリー チーフ・キュレーター)
久しぶりに中園孔二の個展を見た。率直に感じたままを言葉にしようとすると、どうにも月並みな言い方になってしまうのだが、彼がまだ元気に制作を続けている、そんな錯覚を覚えずにはいなかった。
こんなに描きためていたのかと思うほどの、ほとんど未発表の作品群。一目で中園作品とわかる、見覚えのあるキャラクター風のモティーフや表現描写には違いないが、つい最近描かれたばかりのように、どれも真新しく新鮮に映る。また、つねに持ち歩いていたというスケッチブックの数々からは、アーティストとしての旺盛な制作意欲がひしひしと伝わってくる。そして、生前に撮影されたインタビュー映像。実際にはかなり長時間におよぶ映像を小気味よいテンポに編集したものだというが、自身の制作姿勢や絵画に対する考察を、みじんも飾り気のない口調で、いささかたどたどしくも、ときにきっぱりと語る。決してでまかせではない、日々の実践や研究に裏打ちされた一言一句には重みと含蓄があり、その稀有な才能の大きさをあらためて強く意識させずにはおかない。
自分が知らない中園君を見た思いがした。2014年に「絵画の在りか」展に出品してもらったときは、いたって寡黙で、ほとんど会話らしい会話を交わした記憶がない。それでもはっきり印象に残っているのは、作品集荷の際、作業員が作品の梱包に四苦八苦するさまを傍らで見て、無言のまま手伝ってくれたことだ。あれから7年、中園君と彼が遺した作品はまだまだ成長を続けているように思われてならない。