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断念して見えるもの

皆さんは、三木清という哲学者をご存知ですか?
Eテレで、既に最終回を迎えてしまいましたが「世界の哲学者に人生相談」という番組で紹介されていました。

そこで出てきた言葉が
『断念することを欲しないものは真の希望を持つこともできぬ』です。

ちょっと「ん?」と思ってしまうかもしれませんが、意味はこうです。
「最初に決めた理想に固執しすぎると、冷静に観察できなくなる。
何かを断念するには絶対だと思い込んでいる価値観をあえて疑ってみるべき。
つまり、断念することを決断しないと本当の意味の希望を持つことができない。」という意味でした。

夫と見ていたのですが、2人して釘付けになりました。
なぜなら、以前スタエフでお話しした、引っ越しの計画について考えていたからです。
決めていた物件はほぼ希望通りだったものの、いくつか不満な点や違和感もあったんです。
でも5月中に引っ越しと決めていたので、まぁなんとかなるでしょうと思っていた時にこの言葉。『断念』です。

番組ではこれをキーワードに人生相談が進んで、一緒に考えたりアドバイスをしたりするのですが、私も夫も何か心に刺さって、「今回の引っ越し、断念してみるってどう?」と話しました。
そして次の日の朝、全てを白紙に戻しました。
不動産屋さんや紹介者、紹介者を紹介してくれた知人にもお詫びの電話をしました。

新生活のイメージも膨らんでいましたから、決してさっぱりはしませんでしたが、思いもしなかった断念するという決断に、新鮮な気持ちがありました。

『断念することを欲しないものは真の希望を持つこともできぬ』

まさに背中を押された言葉でした。
これからちゃんと三木清の人生論ノートを読もうと思います。
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(音声配信アプリstand.fm「朗読&トーク たまdiary」)https://stand.fm/channels/5f85c72237dc4cc7e19bf21b

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