見出し画像

衝撃を受けた一冊「完全なる問題作」「キャッチャー・イン・ザ・ライ」



戦場を体験した者には
仲間を見いだし
戦場のトラウマを呼び起こす
戦場を知らない者には
反骨心が芽生える

その作品は善か悪か。人々の議論を巻き起こす問題作に迫るドキュメンタリー。「キャッチャー・イン・ザ・ライ」。世界的ベストセラーは何故全米で禁書処分を受けたのか?(NHK)

暴力的な描写や不道徳な表現、ジョン・レノン殺害の犯人やレーガン大統領暗殺未遂の犯人が愛読していた『ライ麦畑でつかまえて』は問題作であった。ドロップアウトの『聖書』なのか殺人者の『聖書』なのか。

人間を殺したい、人間を殺しても許されるという思想は、絶えず読書界をにぎわせてきた議論である。

大工がサリンジャーの家の修繕に来た。着ていたシャツを脱いでたくましい肉体を出して大工作業を続けた若者の肉体を見て、サリンジャーは涙ぐんだ。「政府は何時もこんな無垢な若者を戦場に送り続けるのだ」。

そんな若者がライ麦畑に迷い込んで、ライ麦畑の向こうには断崖絶壁があるのに、それに気づかないで走ると、断崖絶壁から転げ落ちる。転落した若者を断崖で待ち受けてキャッチして救う人になりた、とサリンジャーは言う。

政府は国民をだまして国民を戦場に送るだけなのだ。そんな政府を信じるな、と言いたい。この社会からドロップアウトするがいい。国民の側からすれば善、政府の側からすれば悪だった。サリンジャーはそんな扇動者に見えた。

学校でたまたま勉強が出来た優秀な若者が、それだけのことで無邪気に学歴社会というライ麦畑を走っていると、その先に断崖絶壁あり転落するのだが、作者サリンジャーはそんな若者にライ麦畑に(この社会の先に)断崖絶壁があり、走るウサギは皆転落死するのだと本に書いたのだった。

学校の教師は学校教育を誹謗するとんでもない小説家だと怒り、サリンジャーの本を禁止処分した。若者に悪い影響を与える有害図書に指定した。


家出した兄妹は遊園地に寄り、回るメリーゴーランドに妹が乗りたいと言い出す。これは非常にシンボリックだ。歴史は発展進歩し、必ず今日より明日は良い社会だ。ところがメリーゴーランドは回転するだけで同じ場所の回転である。社会や世界や歴史は右肩上がりではなく、同じ場所を回るだけなのだ。

人間を進歩発展に駆り立てる衝動こそが、人間を最悪にしている。ここ2・300年の歴史を駆り立てた進歩史観こそ間違いだった。

家出する兄妹が、妹のリクエストに応えて遊園地の遊びに同意する。「これからは良い兄になろう」とホールデンの心に湧きおこった。これで家出が中止になった。世界との対立が終わった。ホールデンは現実の世界との違和感は依然と続くのだろうが、対立し克服するのではなく、矛盾した世界との和解となった。

本意ではないがホールデンは「これからは良い兄になろう」という修業を積み重ねるうちに、問題は解決されるのだろう。


サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』と「完全なる問題作」(NHK)
https://zokupasukarunoasibue.muragon.com/entry/403.html

その作品は善か悪か―。人々の論議を巻き起こす世紀の“問題作”に迫るドキュメンタリー
▼J.D.サリンジャー著「キャッチャー・イン・ザ・ライ」。世界30ヵ国語に翻訳され発行部数8000万部以上を誇る青春小説の金字塔。
一方で、暴力的な描写や不道徳な表現から全米で禁書処分が多発。
さらにジョン・レノン殺害の犯人が本に影響を受けたと告白した。
作者の息子、作家、研究者の証言によって浮かび上がるのは光か影か

「完全なる問題作」がこれ

キャッチャー・イン・ザ・ライ
https://ka2.link/situke/syougeki/#4


ボーダーです。 プロダクトローンチの手法にハマりまくってました。 ・「ネット=支援の場」という意識を浸透させる「クラウドファンディングアフィリエイトページ」やってます。 ・ストリートパフォーマンスで人とやりあう活力をつける教室やってます。