見出し画像

遠隔化の時代に変わるもの変わらないもの_vol1

 こんにちは、なかやまだです。
 緊急事態宣言が月末まで延長になりました。仕事柄関わりの多い医療従事者の皆さんには頭があがりません。
 私はカミュのペストを読み始め、過去人類が疫病とどう向き合っていたのか素人なりに理解しようとしています。

 今日は表題のように「遠隔化の時代に何が変わるのか、また何が変わらないのか」を考察していきます。
 ※元々オンラインセールス立上げを経験したこともあり、事例は遠隔商談にフォーカスがあたっています。

本題の前に結論

 このnoteで言っていることは大きく3つです

 ①遠隔化によって人は時間にたいして合理性を求めるようになる
 ②こと商談プロセスにおいてはデータを活用して合理性を高める
 ③営業スキルの1つである「傾聴力」はより合理的に昇華される

変わること①人はその時間にますます合理性を求める

 このnoteを読んでいる方の中にはオフィスに来る業者の方から商品を購入された方もいると思います。例えば懇意にされているヤクルトレディの女性からいちご味のジョアを買ったり、社食代わりのお弁当業者さんから幕の内弁当を買ったり。
 これらの購買活動を始めた当時、きっと皆さんは

 「今日は家からお茶を持ってくるのを忘れたから自動販売機でお茶を買おう」
 「昼飯はたばこを吸いにいきがてらコンビニで簡単に済ませよう」

などなど全く別の購買活動を予定していたと思われます。そこに偶然素敵な笑顔で「こんにちは」と声を掛けられて「今の季節はいちごが美味しいですね。よければおひとついかがですか?」と最高の営業トークで紹介されます。
 「言われてみればいちご味のジョアでも悪くないな」と思い、「きっとお兄さんだと1つじゃ足りないわよ」と言われながら2つ3つ購入する...

 つまり、こういった話は日常生活の延長線上に突如商談が発生しているようなものですよね。遠隔商談ではそうはいきません。
 
 xx月xx日のxx:xxから30分間時間をとる。
 しかもわざわざPCの前に座りWEB会議システムを立上げて。

 基本的に、日常生活の中に突如遠隔商談が発生する状態はなく、顧客の「話を聞いてみよう」という心理状態に応じて商談が始まります。
  顧客にとって時間をとる理由が明確にないと遠隔商談はアポイントも取りにくいということです。

 
今後、遠隔化の時代において下記のような遠隔商談は成立しないです。
 ・なんとなく近況を伺うための商談(電話で大丈夫ですと断られる)
 ・今後の進め方が不明瞭な商談(何を話すかわからないから、とりあえず検討しますと断られる)
 ・上司同行のような製品の価値そのものとはあまり関係がない商談(そのためだけに時間とらなくて良いですと断られる)

変わること②商談活動をデータに基づいて判断する

 顧客の合理性が高まる前提で話をすすめると、私たちの商談プロセスも合理性がますます求められます。
 
 ・顧客が遠隔商談を承諾してくれる理由は何か?単価?顧客の年代?
 ・どのような商談内容であれば遠隔商談を取得しやすいか?
 ・完全遠隔化に向けた手順は?優先順位はどうすれば良いのか?

 月並みですが自社内の商談プロセスの遠隔化の手順は業界特性や取り扱っている商材、社内のリソースなどによってケースバイケースであるといえます。
 着手すべき優先順位が多様である一方で自社内の商談プロセスを構造的にとらえておくという点においてはno regretで実施すべきだと言えます。それだけでも
 
 自社の商談プロセスはこうなっていて、それぞれの主要KGI/KPIはこんな感じで、この辺を改善したい

 といった話ができるかもしれません。
 遠隔商談を実施する際にどのプロセスを遠隔化する事でROIが高いのか、その実現可能性はどの程度なのかも判断しやすくなります。

 また営業活動をデータで管理しているので、 

「上司の表敬訪問によるCVRへの影響は遠隔商談x回と同等である」

など営業活動において鉄板とされている手法が統計的に判断できる世界がくるかもれません。

※より詳しく知りたい方は「The Model」「セールスイネーブルメント」等の書籍を推奨します。

The MODEL SaaS時代の成長戦略とオペレーションの全体像がわかる究極のプレイブック

画像1

セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方

画像2

変わること③傾聴力でさえ合理的に養う必要がある

 営業経験がある方なら誰しもが聞いたことのある「聞く:話すの割合はxx:xxが最適」といった話があります。だいたい7:3~8:2程度で、基本的に商談では聞き役にまわることが売れる営業のポイントだと言います。
 遠隔化の時代になってもこの割合自体に大きな変化はないと思いますが、その意味合いは変わってきます。端的にいえば本当に顧客を理解しないと傾聴していたといえなくなります。

 
従来いわれていた所謂「傾聴力」と呼ばれるものには様々な意味合いが含まれていました。
 1つ例をあげて考えてみましょう。
 皆さんは画像右側の男性or女性になったとします。おそらく2人はカップルで、左側の赤いネクタイの男性から営業を受けています。物件探しや保険の相談かもしれません。
 ぱっとみて、左側の男性はしっかり話をきいているなぁと感じますが(感じますよね?)なぜそう思うのでしょうか?また、遠隔化によって失われるものはあるのでしょうか。

外人男性_傾聴②

 以前、別の記事でも述べましたが、私たちは普段多くの非言語情報(言葉以外のもの)から情報を得ています。
 この男性も、まっすぐ目をみて笑顔で話を聞いています。きっとうん、うん、と適度に頷きながら話を聞いていることでしょう。
 私は、
「これら非言語情報は遠隔化によって一部機能しないのではないか」また「非言語情報に頼った傾聴力だけでは遠隔化の社会で成果を出すのは難しいのではないか」
 と考えます。

 おそらく今後求められるのは「本当の意味での傾聴力」であり、その醸成には
 ①3C分析を始めとする徹底的なマーケティング環境の理解
 ②①により一般化された知見を個別具体のケースまで落とし込む「共感力」の習得
 が不可欠であるように思えます。

 ①は多くの企業で実施されているような「市場/顧客理解」「製品理解」および「競合理解」といった類のものです。この深さによってある一定カテゴライズされた顧客セグメントに対する一般的な商談と傾聴を実現します。

 そこから特定のセグメントから更にもう一歩踏み込んだ、目の前で対峙している顧客に対する傾聴を実現するのが「共感力」です。

 簡単に例をあげれば、ヒールを履いた女性が「ヒールって足が痛くなるんだよね」と嘆いているときに
 「痛いよね...わかるよ。俺も花火のときに下駄はくと足痛いもん」と寄り添うのが同感(共感ではない!)
 「痛いよね...わかるよ。その分足がすらっとみえて今日は綺麗だよ」と女性がそれでも履いてきた本当の感情にたどり着くのが共感です。
 
 上記の例も載っている、私が会社のプロジェクトで出会った良書も紹介します。

UXリサーチの道具箱 ―イノベーションのための質的調査・分析― (日本語) 単行本(ソフトカバー

UXリサーチの道具箱

 おそらく一般論だけでは「同感」までしかたどり着けません。そこから更に一歩踏み込んで「遠隔のあなたが1番私をわかっている!」と言わしめるのは共感力です。

 ※ちなみにヒールの女性の例ですが、私はこの本を読むまで「痛いなら履かなければ良いのに」と言っていたので、もはや同感とか共感のレベルではありませんでした...!

まとめ

 今回は「遠隔化の時代において変わるもの変わらないもの」の中でも「変わるもの」にフォーカスして考察しました。
 次回はそれでも尚「変わらないもの」は何かを考えていきます。

----------------------------------------------------------------------------------
 
 興味をもってくださった皆さん、ぜひ良いねとフォローお願いします。

 Twitterもやってます。
 https://twitter.com/nakayamada62

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?