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2023/9/9 昔の天気図

国立国会図書館デジタルコレクションで、天気図【全号まとめ】が公開されていて、なんと、明治16年(1883年)3月から毎日の天気図がPDFになっていて見ることができます。

二・二六事件(昭和11年(1936年)2/26)は、雪の日の事件として記憶されていると思います。
下図は左が午前6時、右が午後6時の当日の地上天気図です。

1936年2月26日地上天気図
『天気図』昭和20年9月,中央気象台,1936-02. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12896309

実際、南岸低気圧が通過して雪が降ったようです。午前6時と午後6時の観測表もPDF化されています。

2/26:午前6時
 気温:-0.6℃、天気:曇り、前24時間降水量:0mm
2/26:午後6時
 気温:-1.9℃、天気:雪、前6時間降水量:5mm

同上、観測表より東京

最高気温はわかりませんが、午後の方が気温が低いのでおそらく最高気温も氷点下の真冬日だったでしょう。寒い。
降雪は、なぜかAM6時は前24時間降水量で、PM6時は前6時間降水量なのですが、5mmの降水があったので積雪は5cmぐらいでしょうか(雪は空気が入るので10倍ぐらいのカサになります。雪水比といい湿度などで変わってくる)。思ったより少ないですね。南岸低気圧が北緯30度を通っていてかなり本州から離れています。今より気温が低いので雪になったようですが、思いのほか、降水量は少なかったのですね。

もう少し調べてみると、デジタル台風:二・二六事件の天気 - 過去の天気図に詳しく書いてありました。(このサイト、すごいですよ)
これによると、この年の2/4と2/23に大雪があって、その残雪が2/26にもたくさん残っていて、その上に雪が降ったようです。

2/4です。(左AM6時、右PM6時)

1936/2/4地上天気図
『天気図』昭和20年9月,中央気象台,1936-02. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12896309

朝の山陰沖の低気圧が夕方に房総沖に移動したとも思えないので、山陰沖の低気圧は衰退して新たにできた南岸低気圧でしょうか。よくわかりませんが、かなり勢力は強そうです(ちなみに気圧の単位はhPaではなくmmHgです)。
観測表では、午後6時の前6時間降水量は28mm。かなり降っています。この前後にも降ったかもしれませんが30cmぐらいの積雪でしょうか。デジタル台風のサイトによると、2/4は積雪は32cmに達したそうです。

2/23です。(左AM6時、右PM6時)

1936/2/4地上天気図
『天気図』昭和20年9月,中央気象台,1936-02. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12896309

四国沖の低気圧ががっつり発達して関東沖に進んでいます。観測表では、午後6時の前6時間降水量は23㎜、同じくデジタル台風によると、積雪36cmだそうです。

この年は東京に大雪が多く、2月26日の前にも2回大雪が降って当日は12cmの残雪があったようです。その上に10cm降り積もり、2/26の最深積雪は22cmということでした。当日はちらちら降るような感じだったでしょうか。
観測表によると乱層雲の雲量10ということなので、黒いどんよりした雲が空中に広がり、雪よりもそちらの方が心理的な影響は大きかったかもしれません。

二・二六事件の日だけで長くなってしまいました。
もう一つだけ、関東大震災(大正12年(1923年)9月1日)の日の天気図です。

『天気図』昭和20年9月,中央気象台,1923-09. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12896309

9月に入っていますが太平洋高気圧が東から張り出しています。

9/1:午前6時
 気温:26℃、天気:曇り、南南西の風8m/s
9/1:午後6時
 気温:28.6℃、天気:曇り、南の風3m/s

同上、観測表より東京

高気圧の縁辺流で強い風が吹いたのかな、と想定したのですがそれほどでもないですね。やはり場の風というより火災旋風でしょう。気温も、局地的には46何度を記録したというような話もありますが、場の気温としては今よりもしのぎやすいようです。

自分の誕生日(1/13)の天気図(この頃は高層天気図もあり)も見てみたのですが、その年もガチンコの冬型の気圧配置で、やっぱり毎年寒いんだよなぁとなんだか少し感動してしまいました。過去に思い入れのある日があれば、その日の天気図もみてみると思いが深まるかもしれません。


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