作詩「年なきこころ」
目を覚ましたら、眩しい光の中。
幼いきみの腕に僕は抱かれていた。
「はじめまして」
きみの、お茶会。
僕はお茶もケーキも食べられないよ。
口がクリームで汚れるだけだよ。
きみの隣で眠る。
ふたりは、そんな僕らを見るなり、
微笑んで、部屋の電気を消した。
やがて、きみは、たくさんの友達を連れてきて、僕と遊んだ。
数年後、いつもより不安そうに僕を抱き締めて、
「行ってきます」とキスをした。
きみは帰って来なかった。
また時が経ち、きみは僕から離れて行った。
でも良いよ、僕はいつも傍にいるよ。
この腕はきみに届かない。
この声もきみに聞こえなくても。
きみは大人になって、ある日、僕を暗闇に閉じ込めた。
どうして?
いつまで眠っていたのか、
暗闇が裂けて、眩しい光の中から、
きみの優しい笑顔が僕を迎えた。
まるであの日のように。
きみの腕から、幼い子の腕に。
大人になったきみと、幼い子は、一緒に微笑んでいた。
「はじめまして」
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