大喜利思考プロセス(ver.1)

皆さん、おはこんばんちは。ナカウラでございます。

今日は「大喜利で回答に至るまでの思考プロセス」について、自分なりの考えを整理してみたいと思います。

(ー常体ZONE突入ー(純増3.0枚))

大喜利の界隈にちょいちょい顔を出させていただくようになって半年以上が経つ。生大喜利・ネット大喜利問わず面白い人がわんさかいて、「発想で負けた!」と心から思わされることばかり。その屈辱がめちゃめちゃ幸せだったりするわけだが、同時に「今の発想は一体何なんだろう?」とか「どうやって生まれたんだろう?」という疑問にもよく苛まれる。

私は普段からプロモーション系の仕事をしているので、いわゆる「発想力」(なんか鬱陶しい言葉ですが…)みたいなものもちょっとばかし求められる。そしてこれにはちゃんとしたビジネススキルとして、調子に左右されない安定感が求められる。そんなこともあって、発想に至るまでのプロセスをなるべく論理的に体系化し、再現性を担保したいと日頃から考えたりしている。

これは当然、最近の趣味である大喜利に対しても同じように思ってしまう。たまたま1回出どころの分からないオモシロ回答を出して満足するのではなく、出来ることなら、いつどんなお題にだってしっかり笑いを生み出せるようになりたい。

そんなわけで私はこれまで「大喜利の思考プロセス」についてしたたかに研究してきたわけである。
そしてこういった事は誰にも言わず死んでしまうよりも、誰かに共有しておいたほうが全体幸福だと思っているので、今日はその考えを"一旦"ここに記したいと思う。

ここから先は以下についてご理解いただけた方のみお進みいただきたい。

・私はまだまだ大喜利歴が浅い素人だということ
・暫定版の理論であること
・これはあくまで考え方の一例であること
・見当違いなこともきっと書いてしまっていること
・人にはそれぞれの思考プロセスがあり、私はそれらを全て尊敬&尊重したいと思っている(別の考えを否定するスタンスは0です!)

お読みいただいて、私と別の考えをお持ちだったり、なにか感想が浮かんだ際には、是非またお声がけいただけると嬉しいです!

よろしいでしょうか…
では、吟じます。


回答を導くまでの6つのアプローチと概要

この半年強で考えた主な大喜利の思考アプローチは大きく以下の6つだ。

A:キーワード抽出型
B:シーン抽出型
C:お題ズラし型
D:お題追加/限定型
E:ワード/シーン先行型
F:スカシ型

複数のアプローチを掛け合わせて回答に辿り着くこともあるし、A〜Fのどれにも当てはまらないことも多数ある前提で、以下、それぞれの概要を見ていこう。(わかりやすいように例も添えますが、面白くはないです)
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A:キーワード抽出型

お題にある言葉から連想されるキーワードを抽出して、拡げていくパターン。王道のアプローチだと思う。

<例>
お題:動物だらけの小学校はこんなだ

アプローチ:小学校といえば給食。動物によって食べるものが全然違うよな…。特に肉食動物は動物を食べてるし…

回答:「え?おれ、給食用だったの!?」というサプライズと共にライオンに食われる動物がいる。

B:シーン抽出型

お題にある言葉から連想される具体的なシーンを抽出して、脳内で映像化し、想像を拡げていくパターン。これもAと同様に王道に思う。

<例>
お題:動物だらけの小学校はこんなだ

アプローチ:動物だらけの小学校を想像してみよう…例えば全校集会とかだと…何かの動物がうたた寝しててる映像が浮かぶな。何が起きたら面白いだろう…

回答:全校集会中、うたた寝するナマケモノの「ビクッ」に反応して草食動物達が一斉に体育館から走り逃げた。

C:お題ズラし型

お題の一部を別のワードに変えて拡げていくパターン。私はA、Bのアプローチで思い浮かばなくなった時や、思考を横に振りたい時に使用する。良くも悪くもランダム性・偶発性の高い回答に仕上がりやすい。
使用するワードは「元のお題とどこかで微妙に接点がありそうな気がする」くらいのものにしないと、どう頑張ってもハマらなくなる事故リスクが生まれる。序盤はズラしの幅を小さめに、終盤は大きめになどしてバランスを取るのもアリだと思う。

<例>
お題:動物だらけの小学校はこんなだ

アプローチ:動物じゃなくてギャルについて考えてみよう。ギャルと言えば、意外とオタクにも優しくしてくれるギャルもいるよなー。動物だらけの小学校にそういうのがいたら、どうなるだろう?

回答:オタクの豚にも優しい、ギャルのキタキツネがいる。

D:お題追加/限定型

あえてお題にもう1つの要素やシチュエーションを追加/限定して考えるパターン。思考の対象を限定することで考えやすくなることがある。

<例>
お題:動物だらけの小学校はこんなだ

アプローチ:「動物だらけの小学校の"帰りの会"はこんなだ」で考えてみよう。

回答:帰りの会の「今日のありがとう」のコーナーで、「いっぱい食べ残してくれてありがとう!食べ方が汚くていつも助かっています!」と、ハイエナがライオンに伝える。

E:ワード/シーン先行型

事前に使用する特定のオモシロワードorシーンを決めてしまうパターン。ワードの破壊力やストックがものを言う世界。

<例>
お題:動物だらけの小学校はこんなだ

アプローチ:とにかく「ジャーマン・スープレックス」っていうワードを使いたいな…。休み時間にプロレスやってる男子あるあるとかなら、お題ともマッチするかも知れないな。

回答:休み時間、ライオン君がガゼル君に「ジャーマン・スープレックス」をキメてちょっと問題になった。

F:スカシ型

すっと引いた回答を狙って、肩透かしをくらわせるパターン。正々堂々とお題に向き合うのではなく、単純な感想や元も子もないようなこと、リアリティやモノマネに全振りする、オヤジギャグなどのナンセンス系のボケなど、一歩引いてメタ的な観点からを考えてみる。(一発目や後半での回答で比較的ウケやすいが多用には注意したい)

<例>
お題:動物だらけの小学校はこんなだ

アプローチ:あえて当たり前のことをそのまま言ってスカしてみよう/そもそものお題にツッコんでみよう/しょうもないダジャレにしてみよう 等

回答:めちゃ臭い/そんなもんを建てるために俺達は税金を払っているわけじゃないんだよ/生姜くせえ(小学生)
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ざっと概要はこんなところに思う。
人によってはA〜Dの違いがそんなに無い風に思えるかもだが、ここが整理されていると気が楽になったり、考えやすくなるという人もいると思う。


6つのアプローチ方法ごとの思考フロー

画像2

さらに、これらの細かいフローをまとめてみると
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A:キーワード抽出型
①お題分析
②キーワード抽出
③飛躍/ボケ
④お題要素かけ合わせ(複数要素お題の場合)
⑤表現工夫

B:シーン抽出型
①お題分析
②シーン抽出
③飛躍/ボケ
④お題要素かけ合わせ(複数要素お題の場合)
⑤表現工夫

C:お題ズラシ型
①お題分析
②お題ズラシ
③キーワードorシーン抽出
④お題要素かけ合わせ
⑤飛躍/ボケ
⑥表現工夫

D:お題追加/限定型
①お題分析
②お題追加/限定
③キーワードorシーン抽出
④飛躍/ボケ
⑤表現工夫

E:ワード/シーン先行型
①ワード/シーン決定
②お題要素かけ合わせ
③飛躍/ボケ
④表現工夫

F:スカシ型
①お題分析
②単純な感想/メタ的発想
③表現工夫
----------------------------
こんなところに思う。もちろんお題や発想によって順番が前後したり複数回同様のフローが発生するなんてこともあるが、このパターンと流れを頭に入れて考えることができれば、閃きの助けが弱くても、着実に答えに近づいていくための導きになってくれると思う。

大喜利における3つの変数(X,Y,Z)

画像3

Fはやや特殊なアプローチだとして、A~Eにおいては、
X:どういったワードやシチュエーションを引っ張ってくるか
Y:どう飛躍させるか/どうボケるか
Z:どう表現するか
という大まかなフローは共通に思う。

そしてこれらが、大喜利での面白さを獲得するにおける大きな3つの変数であると今の私は考えている。

あくまで基本形の回答においてだが、ここでいう“X×Y×Z”つまり、
「ワード/シチュエーション」×「飛躍/ボケ」×「表現」をいかに最大化するか
という視点が1つ有効だと思っている。(もちろん例外はある)

それぞれにちょっとしたコツがあると思う。今の考えを以下にまとめる。
-------------------------

X:どういったワードやシチュエーションを引っ張ってくるか

一概には言えないが、「近そうで遠い、遠そうで近い」くらいの絶妙なところを引っ張ってこれると、このフローだけで面白さを増強させることができる。例えば「こんな小学校は嫌だ」というお題であれば、単に「給食」ではなく「七夕に出てくる星の入ったゼリー」を使用することで、「X」の変数は高くなるかもしれない。
他にもIPPONグランプリで言うところの野性爆弾くっきーさんやもう中学生さんのように、破壊力、独創性、おバカなどに振り切ったワードを使用するのも面白い。

そうは言えども、ここではなくYやZの変数で面白さを乗せることだって当然可能であるから、ここで「給食」のような癖のない言葉を使うのだって全然アリだと思う。

Y:どう飛躍させるか/どうボケるか

「X」で挙げたワードやシーンをどう面白くするのか”というフェーズ。
ここが大喜利の“本質”であり“神秘”だろう。正直、ここばかりは理論で武装しても再現性を担保できる気がしない。その人がこれまでの人生を通じて身につけてきたセンス、個性、感性がものをいう領域だと思う。なので、1人の人間が、ましてや僕なんかが解き明かせる領域では無いのではとすら思う。

そんな中でも重要になるであろう要素をひねり出すなら以下あたりだと思う。※便宜上、無理矢理「性」を付けています
分かりやすいように「X」で挙げた「こんな小学校は嫌だ」というお題におけるを用いて、その回答例も添えておく。(本当におもしろくはないです!)

・意外性・・・マヤ文明発祥の地だ
・共感/あるある性・・・独身の「家庭」の先生の私生活が気になる
・時事ネタ/トレンド性・・・クラスの地味な女子がホロライブ所属のVTuberとしてバカ稼いでいる
・機知性/とんち性・・・「ゴリラ専用」の小学校だった
・滑稽性・・・モンスターペアレントに対抗すべくモンスターティーチャーを採用している
・哀愁性・・・友達は100人できたが、心の空白は埋められなかった。
・現実性・・・亀田兄弟がガキ大将として君臨している
・変態/狂気性・・・毎朝玄関で生徒指導の先生に眼球を舐められる
・少年性・・・ウルトラサンダーファイヤーされる
・ストーリー性/ハイコンテクスト性・・・次は幼稚園にいくことになっている
・ナンセンス性・・・生姜くせー(小学生)
etc…(無限にあると思います)

どの要素を使っても良いのでとにかくいかにして誰かの脳内をアドレナリンの類で急激に満たしてあげられるかという視点が大切になってくる気がしている。

感情でいうと、喜怒哀楽のどれも使えるが、その中では特に「哀」は使いやすいと感じる。きっと人間は哀しさから逃れるために笑う生き物なんだろうなと思う。。。笑

また、それに匹敵して使えるのが「理不尽」という感覚だと思う。人は自分の脳内での処理が追いつかなくなった時にもよく笑うと思う。
その点、やはり「ありそうでありえない」くらいの事を想像する時が、1番理不尽を感じやすく、脳内がパニックになりやすい。なんというか、一番スマートで省エネな感じだ。「なさそうでない」ことまで行くと、ファンタジーとして受け入れる体勢が整ってしまうので、逆に理不尽を感じてもらいづらく、相当いききらないと面白く仕上がりづらい感がある。

Z:どう表現するか

このフローは更に「表現の工夫」と「仕上げ」2つに分けられると思う。それぞれに以下のような要素がある。

<表現の工夫>
・絵回答
・長文回答
・短文/単語回答
・感嘆型
・体言止め
・リアリティーの追求/憑依
etc…

<仕上げ>
・日本語の整理
・声のトーン
・フリップを出すタイミング
・読み上げる部分のピックアップ
etc…

以下、上記からいくつかピックアップして解説してみる。

■絵回答
シンプルに、「絵にしたほうが面白そうなら絵にしたほうが良い」と思う。ただし時間がかかるので、加点形式だとあまり時間がかかりそうな場合は避けておくのも1つの手だろう。

■リアリティーの追求/憑依
回答にはリアリティーがあればあるほど面白くなることはたくさんあるし、なんならリアリティーがあるだけでも1つのボケとして成立することがある。メジャーどころだとロバート秋山さんだったり、界隈だと警備員さんの回答なんかはここが特に凄すぎると思う。回答前に、書き終わったフリップを見つめながら表現方法を細かく自分の中ですり合わせている表情なんかも頻繁に見られる。それくらい、ここの仕上げは大切なんだろう。

■日本語の整理

ボケの要素以外はなるべく癖の無い日本語で、きれいに短くまとめるほうが良いと思う。正しさよりも伝わりやすさを重視することが大切に思う。無駄にテンポを悪くしたり、微妙な意味合いやニュアンスに引っかかりを作りたくない。

■声のトーン
声のトーンについては、その人のキャラや技術の高さに依ると思うが、基本は「大きくはっきり」を意識すると良いと思う。よく聞こえなかったときのデメリットが大きすぎるし、人はなんだかんだ堂々とした人に好感を持ちやすい。短い回答だったり、文字遊びをするような回答の場合は、少しトーンを落として、その味わい深さを堪能してもらうのもアリだろう。


他要素についての文章化はまたの機会にまとめたいと思うが、どの過程にしろ、その発想の持つ「面白さを120%伝えたい!」という気持ちを強く持つことが大切なんだと思う。

「表現」はX,Yと比べると、おざなりにしてしまいがちの工程に思うが、ここの出来次第で面白いものも面白くなくなってしまうし、面白さを何倍にも増大させることだってできる。とても大切な部分に思う。

お題の分析

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X,Y,Zの変数を高めるに向けても、まず大切になるのがこの「お題分析」だと思う。旅行に行くときも目的地に至るまでの地形を見極めて、ある程度のルートを想定しておいた方が道中スムーズになる。そんなようなものだと思う。

まず、お題は大きく「単一要素お題」「複数要素お題」の2つに分けられる。

・単一要素お題

複数要素お題に比べて「要素の掛け合わせ」というフローが発生しない分、キーワード/シーンの抽出や、飛躍/ボケでの質の高さがより強く求められる傾向があると思う。シンプルな構造である分、“素材勝負”になりやすいイメージがある。

<例>
こんな小学校は嫌だ。どんなの?

・複数要素お題

単一要素お題に「お題要素の掛け合わせ」が加えられることでさらに強い面白さや機知性を実現できる可能性がある。その分、“複数の要素を上手く掛け合わせる義務”がのしかかりやすいため、難易度は高くなり、ボケの自由度は低くなりやすい。“素材勝負”というよりは“料理勝負”なイメージ。

<例>
動物だらけの小学校、どんなの?


個人的に、この2つの違いをお題が出てすぐにちゃんと認識できるかどうかで、考えやすさが結構違ってくる。


さらにまた別の分類として、以下の「緊張型お題」「緩和型お題」に分けられると思う。

・緊張型お題

お題自体にボケやオモシロ要素が入っていないお題。

・緩和型お題

緊張型の逆で、お題が読みあげられたときにちょっとした笑いが起きてしまうようなもの。

「緊張と緩和」が笑いには寄与してくるのであれば、当然の発想だが
緊張型お題→緩和型の回答or超緊張型の回答
緩和型お題→緊張型の回答or超緩和型の回答

を心がけるのが1つ効果的だと思う。

ニュアンスが多分に含まれていて恐縮だが、緊張型の回答は、ハッとさせられる感じだったり、少しホラーな回答で、場をキュッとさせるイメージで、緩和型はその逆でおバカさなどが全面に出ているような回答。場をふんわりさせるイメージだ。

さらにさらに、「現実お題」「非現実お題」にも分けられると思う。そのままだが、以下のように定義できる。

・現実お題

現実で起きうることが題材になったお題

・非現実お題

現実では起きえないことが題材になったお題

こちらも同様の発想ながら
現実的お題→非現実的な回答
非現実的お題→現実的な回答

を意識すると聞き手の脳内に「落差」を生めるので効果的だと思う。(もちろん、全然逆の回答でも面白くなりますが!)

まとめ

くぅ疲!一旦以上です!
7,190字に及ぶ長文にも関わらず、ここまでお読みいただきまして有難うございました!

結構長文で書きはしましたが、大喜利の分析と説明はまだまだ終わっていない感じがあります。多分ここに記した内容は、大喜利の0.1%も解き明かせていないのでしょうし、ズレてる部分も多々あると思います。
大喜利修行中の身ゆえ、きっと私自身この記事を1年後、3年後、5年後、10年後に見返すと、全然違う考えになってたりすると思うので、それが楽しみです。すごい黒歴史になってるかもしれませんが、その場合も面白くいじってもらえるとありがたいです!

今回のような大喜利を科学するような記事は今後もまだまだ作っていきたいと思ってます。
またお会い出来た時、感想や皆さんの大喜利論、お聞かせください(*^^*)
改めまして、最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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