ショート小説:下校は朝日とともに

学校終わりである。自転車で並走する木場と荻野。その一幕

「なぁ、下校中に朝日を見ることってないよな。」
「下校っていうのは夕方にするんだから朝日は見れないだろ。」
決まって変なことを言うのは木場。夕方に朝日は見れない。そう決まっているではないか。
「でもさ、朝日っていいじゃん。なんか清々しくなる。下校のとき俺達は疲れてるでしょ?情景だけでもスタイリッシュな方が良い。」
「夕日っていうのは激情なんだよ。疲労感だけを内包しているんじゃない。活力と、今日一日のドラマの色なのさ。」
「朝日は希望の色さ。俺達のような学生には朝日のほうが似合う。」
わからなくもない。朝日を背に下校する木場を想像する。やっぱり変だと思う。しかし木場らしくてやっぱり変じゃないかもしれない。
朝日を背に下校する自分と木場を想像する。ベストマッチではないか。

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