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漫才台本 - 夢路いとし・喜味こいし

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夢路いとし・喜味こいしの漫才台本集です。
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#上方演芸会

漫才台本「昔に戻ろう」

夢路いとし「私、なんぼ年とっても、絶対にこの言葉だけは口にせんとこ思てる言葉が2つありましてね」 喜味こいし「ホー、その2つの言葉とは?」 い「『このごろの若い者は』と、『わしももう年やから』の2つ」 こ「守れるか?」 い「『このごろの若い者は』とか『わしももう年やから』なんて言うてるようでは、平成時代を生きる資格ないね」 こ「またええ格好言うて、そんなこと言うとるから、若手の漫才師から『いとし師匠はええ格好しいや』なんて言われるねやぞ」 い「若手の漫才師がそんなことを?」

漫才台本「代用品はつらいよ」

喜味こいし「奈良県の当麻町へやって参りました。いい町ですね」 夢路いとし「皆さん、こいっさんの顔を見てやってください。笑ってはいますが、どこか元気のない顔でしょ。実は……」 こ「言うな。お客さんには関係ない」 い「ええやないか……実はここへ来る途中で財布落としよりましてね」 こ「落としましたんや」 い「結局財布は見つからなかったんですが、落とした時の取り乱しようというか、慌てふためきようは見てて情けないぐらいでしてね」 こ「誰かて慌てふためくやろ、10万円近い金を落としたんの

漫才台本「仲裁はおまかせ」

夢路いとし「福良へやって参りまして」 喜味こいし「ええとこやね」 い「実はこの町へ着いた時、偶然に学生時代の友達とばったり出会いましてね」 こ「ホー、学生時代の友達に……百年ぶりの出会いやないか」 い「そんななるかいな!でも小学校時代やから五十年近くにはなるね」 こ「五十年ぶりの出会いかいな」 い「私から声をかけましてね『おい、もしかしてお前、イイダコと違うか。やっぱりイイダコや』」 こ「なんやそのイイダコて」 い「その友達の学生時代のあだ名や」 こ「なるほどあだ名ね」 い「

漫才台本「長年の勘」

夢路いとし「奈良県の大宇陀町へ参りました」 喜味こいし「この辺りは、万葉集なんかにもよく歌われてましてね」 い「私知ってますよ。この大宇陀を歌った歌」 こ「ホー、どんな歌?」 い(山本リンダの『ねらいうち』を唄う)「♪ウダダ ウダダ オーウダダ♪」 こ「それのどこが万葉集や!山本リンダの歌を無茶苦茶に唄ととんねやないか」 い「吉野川を下れ」 こ「……だいたい君が万葉集なんかわかるわけないわな」 い「吉野川を下れ」 こ「……教養なんかあれへんもんな」 い「吉野川を下れ」 こ「な