選挙という名のうねりの渦に入って踊る。

10月24日土曜日。柏駅12時の東口のダブルデッキは、平日の喧騒を倍化するかの如く行き交う人で賑わっていた。少し違うのは15名ほどの報道陣の姿だろう。狙うカメラの先は山下洋輔、柏市長選立候補者だ。千葉の渋谷と名高い柏市で10年間市議を務めた元教員、教育コンサルタント。お堅い人物かと思いきや、柏の青空本見本市や、市民先生促進の魁!歴史塾など生涯学習への意識も高い。バランス感覚に優れた好傑物である。

と、ここから普通なら山下洋輔柏市長候補の政策の話に移るのだが、今日は横道にあえてそれようと思う。というか、それずにはいられない、I can not help 〜ingだ。

この同日、同じ時間に僕も熱心に有権者の声に耳を傾けていた。傾聴、そう、誰だってそーする、俺もそーする、虹村形兆だってそーするだらう。

同じく山下洋輔も報道陣を前にさまざまな質問に耳を傾けている。インタビュアーが優秀なのだらう、終始笑顔。もちろん僕は全集中で真顔だ。

なぜか?

それは、この有権者の主張が穏やかでないからである。

「●●をぶっ●●!」

そんなことを言うのだ。断っておくが宇宙人ではない。彼はそうだな歳の頃なら50代後半から60代前半。ご丁寧にマスクを外して僕に話しかけていた。ここはデンプシーロールの出番だ。つまり、穏やかでない内容なのだ。柏市では最近いたましい事件があり、幼き命が失われた。そのことに彼は憤慨していた。僕もそう思う、救えるものを救わなかったのは怠慢だ。もっというとひとを殺めるに等しい行為だと思う。その子の親になればいい。僕は地球を敵に回しても構わない。

半分以上賛同しながら、「ぶっ●●は穏やかではないですよ、ええ、せめて糾弾くらいで」と相槌を打つと、「え?なに、銃弾?そうな、やっぱりそう思うよな!」と意図せず同じ穴のムジナにされてしまい、穴があったらアナザーワールドに飛ばして欲しいな、バシルーラでと思いながら、ドラクエVRででないかなと思ったのであった。ここまで終始真顔である。

裏腹に、渡すタイミングを逸したビラの山下洋輔は終始笑顔だった。

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