12人のを、2方向から。

ここ2日で冲方丁さんの「12人の死にたい子どもたち」の小説と映画を堪能しました。2日間で同じコンテンツを違う媒体として浴びるのは中々ない経験で良かったです。この本は2018年に発刊されているのですが、読もう読もうと思いながらズルズルと…。たまたまAmazonの欲しいものリストに入ってたので、何も考えずにポチリました。すごいなぁ、Amazonは僕の背中を押すのがうまい。いや、購入するを押したのは僕ですが。

テーマは安楽死。賛否両論ある社会的テーマをミステリーという調理法で料理して、届けやすくしてます。ラストの二人の掛け合いが見事でした。12人の死にたい子どもたちが集まったところに13人目が死体で表れて…。名作12人の怒れる男のオマージュですが、読む前からワンシチュエーションでの議論や推理が展開されることが想像されます。
やっぱり小説はいいですね、物語の中に入り込む追体験は一気に読まないと心がざわつくくらいの没入感がある。VRのそれよりもやかましくなく、自分のペースで入れるのがいいです。ビジネス本や難解な話の物だとそうはいかないです。こと小説は独特のトリップが楽しめます。映画も好きですが、どうしても時間的な制約とビジュアルという圧倒的な情報量のせいで淡々と事が進む印象を受けます。ポーズがない。小説は進行を自分でコントロールできるけど、映画という川の流れは止めることはできない。受け身なんですよね、抗えないというか。もちろんスマホ視聴になってから細切れの映像体験も抵抗なくなったけど、やっぱり映画は一気に観ないと良さがわからない。シーンとシーンのつながりや間を味わえなくなります。映像の武器は音楽や効果音ですが、アクションでもないこの「12人の死にたい子どもたち」は、そこまで効果的な音は無いですね。ミステリーの性質上、説明臭いカットが多いのも気になりました、これはもちろん話を知っているから言えることなのですが(笑)

小説からの映画。またこの流れで他の作品も楽しんでみたいと思います。

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