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”ばんかー”?、”いんでぃぺんでんとじゅでぃしゃるこみってぃー”?🧑🏼‍⚖️⚖️

イングランドのオーウェン・ファレル選手の件ですがお。

Bunker(バンカー)、Foul Play Review Officer(FPRO、ファール プレイ レビュー オフィサー)!
さらには、Independent Judicial Committee(インディペンデント ジュディシャル コミッティー)!

なんだなんだなんだ?🤔
 
ラグビーの規則や組織などなどの用語は英語そのままのことが多いので、すんなり腹落ちしてこないですよね。
しかも今回は🟨➡🟥➡🟨➡そしてまた?
と、わけわからん度がググググっと🆙⤴!!!(なかぴー比 250%ぐらい?)

ということで🐯もいろいろ調べてみましたがお!
ご興味ある方にご参考いただけるとうれしいですがお。


まずその1⃣ 
Bunker(バンカー)=Foul Play Review Officer(FPRO、ファール プレイ レビュー オフィサー)!

まずはWorld Rugbyからのお知らせをご覧ください!
(PCの場合は右上の👇ここをクリックすると日本語版が表示されますがお)

試合中の主審として判断を下すのがレフリーであることに変更はありませんが、レッドカードであるかどうかが明らかでない反則行為については、2つの大型スクリーンを使ったリプレイの後、「バンカー」にいる反則レビューオフィシャルに正式なレビューを委ねることができるようになりました。

審判団がレッドカードを出すに値するかどうか判断できないが、少なくともイエローカードの基準を満たしている場合、レフリーは腕を組み、正式なレビューを行い、その選手は現行のシンビンの規定に従って10分間フィールドから退場します。その後、ファールプレーレビューオフィシャルは、8分以内に、独立した主催放送局(ワールドラグビー)が作成したすべての映像と、ホークアイ・スプリットスクリーンやズーム技術などのテクノロジーを活用し、その事象を検証し、結果を決定します。

その後、ファールプレーレビューオフィシャルが、スタジアムにいるオフィシャルに判定を伝えます。レフリーは、イエローカードを支持してプレーヤーを復帰させるか、レッドカードを与え、フィールドから退場させたままにするか(交替はできない)を決定します。判定はすべて、スタジアムに設置された大型スクリーンと放送用グラフィックを使って観客に知らせます。

ファールプレーレビューバンカーとショットクロック 2023年ラグビーワールドカップフランス大会に登場(2023年8月21日 World Rugby webサイト)

🐯注:「少なくともイエローカードの基準を満たしている場合、レフリーは腕を組み」の部分の、「レフリーは腕を組み」は、「レフリーは両腕を交差(クロス)させ」がより適した訳だと思いますがお。

もしかして「X」と関係ある...…かも?(クダラナイジョークデスミマセンガオ)

RWC2023ではレフリーさんが腕をクロスさせたら、「バンカーですよ~」ということですのでご注目を。

ちなみに、TMOのジェスチャーは皆さんご存知ですよね。
🐯は🍱「べんとうばこ」と呼んでおります。

TMOのジェスチャー 「コレクライノっ オベントバコニっ🍱!」

TMOはTelevision Match Official の略ですがお。
日本語に意訳すると「ビデオ審判員」ですかねがお。
レフリーさん、AR(アシスタントレフリー)さん、TMOのみなさんがMatch Official(マッチオフィシャル)ですがお。つまり審判団ですねがお。
このうち、映像を見て判断をするのがTMOの方々ですがお。

リーグワン公式記録の例ですがお。出典は下記より👇

この右側の、
・レフリー
・アシスタントレフリー
・TMO
の方々を総称してマッチオフィシャルと呼ぶのですがお。

なお、「サイティングコミッショーナー」という方がどんな役割かについては、件のファレル選手の件と密接にかかわってきますので、後ほどご説明させてもらいますがお。

さてさて、ごめんなさい🙏🐯
バンカーの話でしたねがお。

RWC2023では、マッチオフィシャル(審判団)に、Foul Play Review Officer(FPRO、ファール プレイ レビュー オフィサー)という方々も加わりますよ、ということなんですがお。

このFPROの方々を、通称としてBunker(バンカー)と呼んでいるのですがお。

バンカー(bunker)
ゴルフ場で、コース中に障害物の一つとして設けられた窪地くぼち。多くは砂地。
船の燃料庫。
掩蔽壕掩体壕のこと。
大統領危機管理センター」の通称

デジタル大辞泉

掩蔽壕掩体壕っていわれても....、ですが、レフリーさんやプレーヤーがいる芝生(=戦場?)の上ではなく、違うところで冷静に判断をくだす、というようなことになぞらえているのだと思いますがお。

冒頭のWorld Rugby の説明によると、

■試合中の主審として判断を下すのがレフリーであることに変更はありません
■レッドカードであるかどうかが明らかでない反則行為については、...(中略)…、「バンカー」にいる反則レビューオフィシャルに正式なレビューを委ねることができるようになりました。

となっています。
このシステムの導入の目的のひとつは、試合進行を早めるため(≒観ているファンのため)だと思われますがお。
みなさんも思ったことありませんかがお?

「うがー、いつまでTMOやってんだよおおおおおおおおおおお」

それが解消されますがお!

🟨 or 🟥 の判断基準は以前と変更ありませんがお。(←ここ重要)
レフリーさんがTMOをやって、
・🟨は確実である。
・でも、🟨 か 🟥か?どっちだろ?と判断に時間がかかりそう。
というときは、

・では、ひとまず🟨 を出しときますので10分間退場!
・🟨 か 🟥かの判断は、バンカーの人たちに8分以内に判断してもらいます!
・はいっ!試合再開!やるべしやるべし。

というシステムですがお。

件のファレル選手のケースもこれですので、

「🟨イエローカードと判断されたのにバンカーが🟥レッドカードに昇格させた!」という表現は間違いですがお。

レフリーさんが最初にだした🟨イエローカードは、
『🟨イエローカード以上と判断した』ということですがお。

「バンカーの結果、🟨イエローカードでした」というケースも出てくると思いますよがお。

以上がバンカーについてですがお。
スーパーラグビーパシフィックや、サマーネイションズシリーズではすでに適用されています。
これをRWC2023でも適用しますよ!ってことですがお。

その2⃣ インディペンデントデュディシャルコミッティー(Independent Judicial Committee)!

さて、お次はこちら。
Independent Judicial Committee!
日本語にすると、「独立規律委員会」ですかねがお。
これは、その1⃣のバンカーの導入とは関係ないですがお。
以前(たぶん10年以上前)からすでにこの仕組みが整備されていますがお。

World Rugbyの規約(regulation)の17と20にて詳細が定められていますがお。

REGULATION 17 : DISCIPLINE - FOUL PLAY

REGULATION 20. DISCIPLINARY AND JUDICIAL MATTERS

ご興味ある方は読んでみてくださいがお。(🐯はDeep Lやgoogle翻訳に手伝ってもらいましたがお)

今回のファレル選手の件は、ここに規定されている仕組みに則っているのですがお。

大雑把に経緯をまとめると、こうなりますがお。


①8月12日のサマーネイションズシリーズ/イングランドvウェールズで、イングランドのファレル選手のハイタックルが発生。
②レフリー、TMOは、🟨以上は確実だが、🟨 か 🟥かの判断はバンカーに委ねることとした。
③ファレル選手はひとまず10分間の退場となった。
④退場処分となっている間に、バンカーはファレル選手のプレーは🟥レッドカード相当であると判断し、レフリーに伝えた。
⑤レフリーはファレル選手に🟥レッドカードを提示した。

⑥試合の4日後の8月16日、サマーネイションズシリーズの主催者であるSix Nations Rugby のIndependent Judicial Committee(独立規律委員会)が開催された。
独立規律委員会のメンバーは、
・マッチオフィシャルからの報告
・ファレル選手の代理人からの意見聴取
・ビデオ映像
・相手選手やマッチドクターなどからの聞き取り調査結果
などから判断した結果、🟥レッドカードであるとのバンカーの判断は間違いであり、🟨イエローカード相当が適当であるとの判断となった。
ファレル選手の🟥レッドカードは取り消しとなった。
※全く何にもお咎めなし、というわけではなく、🟨イエローカードに相当する罰則は受けることになる。(ただし、試合中にすでに受けている)

DISCIPLINARY UPDATE: OWEN FARRELL

⑦その翌日、8月17日に、World RugbyがこのSix Nations Rugby 独立規律委員会の決定に対し、控訴をすることを表明した。

🐯選手、選手が所属するラグビー協会、該当の試合の主催団体、ワールドラグビーは、この独立規律委員会の決定に対し、控訴する権利があるとワールドラグビーの規程に定められているのですがお。

World Rugby to appeal independent disciplinary decision relating to Owen Farrell's red card


「いまここ」、ですがお。

あたらめての控訴委員会は7日以内に行われることになっていますので、8月24日までには行われるものと思われますがお。

さて、なんだかわかたようなわからないことがいろいろあるかと思います。
ひとつひとつ🐯が調べてみた結果をずらずら書きますねがお。

「🟨イエローカード相当」と判断した「独立規律委員会」とワールドラグビーの関係は?

まず、その前に、該当の試合の主催者は?ということと、独立規律委員会(Independent Judicial Committee)ってなんだ?というところから説明いたしますがお。

◆該当の試合の主催者は?

「ワールドラグビー」は、ユニオンラグビーの国際統括団体ですよね。総本山です。
ワールドラグビーの傘下には、各国・各地域のラグビー協会や、大会を開催する団体が入っています。
各国・各地域のラグビー協会は、例えば日本ラグビーフットボール協会ですよねがお。
ジャパンラグビーリーグワンは、リーグワンの試合を開催する団体ですので、大会を開催する団体ですねがお。
今回のファレル選手の場合は、この試合を開催していたのはワールドラグビーではありません。サマーネイションズシリーズでしたので、Six Nations Rugbyが主催団体なのですがお。

◆独立規律委員会(Independent Judicial Committee)ってなんだ?

WR直轄の試合(例えばワールドカップとか)ではもちろんのこと、WR傘下の各団体、協会が行うラグビーの試合では、マッチオフシャル(審判団)の他にも必ず、サイティングコミッショーナー(Citing Commissioner) という役割の方がいます。
そして、場合によっては、試合後に独立規律委員会(Independent Judicial Committee)が開催されます。

Citingというのは「召喚」というような意味ですがお。

前の方で例に出したこの試合では、小野塚さんという方がサイティングコミッショーナーを務めていますがお。
(元レフリーの方、もしくはレフリー資格を持っている方がサイティングコミッショナーを務めます)

サイティングコミッショナーの役割は......、刑事裁判にたとえると「検事」ですがお。

試合中にマッチコミッショナー(レフリー、AR、TMOなどなど)とは別の観点から試合に目を光らせて✨いるのですがお。
レフリー、ARが試合中に気づかなくても、サイティングコミッショナーが不正なプレーに気づいた場合は、それを報告するのがサイティングコミッショナーの役割なんですがお。

サイティングコミッショナーが報告する先が、つまり、.....、
独立規律委員会(Independent Judicial Committee)
なのですがお。

サイティングコミッショナーが検事、独立規律委員会が裁判所、というわけですねがお。

なお、サイティングコミッショナーが不正なプレーを発見した場合の他にも、試合中に🟥レッドカード、または🟨イエローカードが出された場合は、自動的に独立規律委員会が開催されることになっています。
また、サイティングコミッショナー以外にも、両チームいずれかからの提訴があった場合も、独立規律委員会が開催されます。

こちらの資料にわかりやすい説明がありますがお。

宮島繁成, ルールと法の交錯 : ラグビーにおけるジュディシャル・サイティングシステム, 日本スポーツ法学会年報 (19), 83-100, 2012

独立規律委員会は、弁護士資格のある方と元選手、元レフェリーの方などがと務めることが多いようです。

今回のファレル選手の独立規律委員会のメンバーは、
Adam Casselden SC(Senior council)という方が議長を務め、 John Langford氏、 David Croft氏(いずれも元オーストラリア代表選手)の両名の計3名で構成されていたようです。
Adam Casselden氏もオーストラリアの弁護士の方ですがお。

この独立規律委員会とその決定に対して控訴したワールドラグビーの関係は?

この独立規律委員会は、この試合を運営していたSix Nations Rugbyによる委員会なのですがお。
ワールドカップのようにWorld Rugbyが直接主催する試合は、World Rugbyが直轄でサイティングコミッショナーを任命したり、独立規律委員会を招集するのですが、今回の試合の主催者はSix Nations Rugbyですので、WR本体はいわば「蚊帳の外」なんですがお。

WRの規約(regulation)には、主催団体や主催協会はWRの規約に従って、サイティングコミッショナーや独立規律委員会を開催してね、と定められています。
リーグワンの試合はリーグワンでやってね。Six Nationsの試合は、Six Nations Rugbyでやってね。「ワールドラグビーは君たちに委ねたよっ!」ということですねがお。

ただし!
ワールドラグビーとしては、その決定に不服がある場合は控訴する権利がある、ということも規約に定められています。
今回のファレル選手の件では、その権利をワールドラグビーが行使したということですがお。

🐯例えていうと、リーチ選手やラブスカフニ選手の場合も、日本協会が控訴する権利はある(あった)ということですがお。
また、リーグワンの試合でリーグワンの独立規律委員会が判断した結果に対し、ワールドラグビーが控訴することも制度上は可能であるということになりますがお。

🐯ちなみに、上記のワールドラグビーのお知らせの記事の full written decision のリンク先に今回の独立規律委員会の報告書がありますがお。

独立規律委員会の「独立」(independent)は、試合を司るマッチオフィシャル(レフェリー、AR、TMO、バンカー)とは「独立」している、という意味なんでしょうねがお。

試合の時に🟥レッドカードが提示されたのに、独立規律委員会で🟨イエローカード相当と判断されるってことは、よくあるの?

🐯が確認できた範囲では3例ありますがお。

2019年以降のWR直轄の試合での裁定の一覧がこちらに出ています。

このリストのうち、"SANCTION"の項目で"Red card not upheld"(レッドカード相当ではない)となっているのが、「試合中にマッチオフィシャル(レフェリーやTMO)から🟥レッドカードがでたものの、最終決定では🟥レッドカード取り消し(=🟨イエローカード相当であるとの判断)」となったケースのようですがお。

2019年以降で2例ありました。
うち1例は、2021年7月17日のワラビーズvフランスのコロインベテ選手のハイタックルでした。

👆この記事で動画をみることが出来ますがお。当時、話題になった記憶があるので、覚えていらっしゃる方もいるかと思います。

独立規律委員会の判断では、肩と肩の接触であるため、レッドカードではないとの判断だったようです。

ちなみに、当時、🐯がこのタックルを見て最初に私が感じたのは
「うわこりゃ当然🟥でしょ!ベンオキーフレフリーの言う通り!」
なのですが、
「最初に当たったのは肩と肩だ」と言われてから見直すと、確かにそうだな.......と見方が変わってしまいました。不思議なもんですね。

あともう1件、🐯が確認できたケースはこちら。

2018年のニュージーランドvフランスのテストマッチでも試合中に🟥と判断されたプレーが、独立規律委員会で🟨になった事例があります。(この試合は6Nationsやラグビーチャンピオンシップなどの大会ではなく、いわば純粋なテストマッチなので、WR直轄の試合として開催され、独立規律委員会もWRによるもののようですがお)

ちなみに!
単なる偶然だとは思いますが、この時の独立規律委員会のメンバーは、今回のファレル選手の独立規律委員会のメンバーと全く同じですね。

以上、ずらずらずらずら~、と、だらだらまとめになってしまっていて恐縮ですが、🐯の夏休みの自由研究でしたがお。

ご参考いただければうれしいですがお。

【2023年8月23日追記🐯】

ファレル選手の控訴委員会の判断結果が報告されましたがお。

DISCIPLINARY UPDATE - OWEN FARRELL(RFU)

控訴委員会の結論は..…

🟥レッドカード!

9月17日の日本代表戦を含む4試合の出場停止処分となりました。