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2020年 86冊目『身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質』

ブラックスワンや半脆弱性を書いたタレブの本です。
400P超の本です。



少し読むのに骨が折れました。
でも、これ読んだ方が良いです。
かなりお薦めです。

中尾塾の課題図書にしようと思います。
読みにくいのは、タレブの表現です。

色々なたとえ話をするのですが、尊敬している例え話と、馬鹿にしているたとえ話の表現が似ているので、どっちなの?と戸惑うのです。
ただ、書かれている事は、本質です。

身銭を切れとは、実際に自分でやりなさいという事です。
自分でやっていない人に騙されてはいけない。
数字でごまかすやつに騙されてはいけない。
科学を装うやつに騙されていないけない。
リスクを負わない人に騙されてはいけない。

たくさんドッグイヤーをしました。
それを残しておきます。

・流行語まみれの巧妙であいまいな議論を用いて、純粋な推論を多いか隠す「干渉屋」の欠点は3つある。
1 動ではなく静で物事を考える
2 高次元ではなく低次元で物事を考える
3 相互作用ではなく行為という観点で物事を考える

・ハンムラビ法典は、身銭を切ると原理を記したものとしては、現存する最古の法典
隠れたテール(リスク)を他者に転換できないように、取引の対称性を定めている
→「建築者の建てた家が崩壊し、家の所有者が死んだ場合には、その建築者を死刑に処す」
※建築者は最善を尽くし、細心の注意をして家を建てるはず→これは対称性になる。

黄金律:自分がして欲しいことを他者にもせよ
白金律:自分がして欲しくないことを他者にするなかれ
→白金律は、他人が良いことを決めていない。悪いことの方がずっと分かりやすい。

・普遍的な行動なんてものは、理論上は素晴らしくても、現実にはめちゃくちゃだ。

・アドバイスが間違っていた場合の罰則が存在しない限り、アドバイスを正業としている人間のアドバイスは真に受けるな!
→コンサルタント

・科学で行われる予測は、ペテン師が頼る最終手段であることが多く、しかもはるか昔からずっとそうだった。

・語るものは実践するべきであり、実践するものだけが語るべきである。

・オーナーの名前を冠する商品や企業は、ものすごく貴重なメッセージを発している。「私には失うものがある」と大声で叫んでいる。
→企業への献身、商品への自信、その両方を現している。
自分の会社名を付ける時に、恥ずかしいことはしないと決めたのを思い出しました。

・身銭を切らない人
コンサルタント、官僚、政策通、国と繋がっている大企業、企業幹部、データをいじくる専門家、理論家、分析屋、政治家、銀行家

・身銭を切る人
商人、ビジネスマン、市民、企業家、実験の専門家、投機家、活動家、ヘッジファンドのトレーダ

・倫理のほうが常に法律よりも頑健である。時がたつにつれて、法律が倫理に近づいていくはずであり、その逆ではない。

・良い垣根が良い隣人を作る。同居人よりも隣人とのほうがうまくやっていけるのは誰でも直感的に分かる。

・右や左は、対象で変わる。連邦レベルではリバタリアン、州レベルでは共和党支持、地域レベルでは民主党支持など。

・ロード海法では、船を軽くする目的で商品を選外に投棄した場合、全員の利益のために生じた損失は、全員で穴埋めすると定めている。

・少数決原理で生まれる
共通語:ドイツでの会議で、1人でもドイツ語が話せないと、皆は英語で話し出す。

・社会は、コンセンサス、投票、多数決、委員会、退屈な会議、学会、世論調査によって進化していくのではない。
→ほんの一握りの人々だけでも、針を不釣合いなほど、大きく動かすには十分。必要なのは非対称な規則と魂をささげる人間だけ。

・従業員とは、その性質から、企業の外部よりも内部において価値のある人間である。つまり、市場よりも現在の雇用主にとって価値がある人間といえる。

・静的な格差とは、格差をスナップショットとして切り取ったもの。その後の人生で起こる出来事は反映されていない。

・動的(エルゴード的)な格差とは、将来や過去の人生全てを考慮した格差

・動的な平等とは、エルゴード性を回復するもの。時間確率とアンサンブル確率が交換可能。

・研究を行いたい人は、ほかの場所から収入を得て、自分の時間で行って頂く。真の研究を行うには、まず実世界で本業を持つべきだ。最低でも10年間。

・おばあちゃんや年配者のアドバイスは9割方正しいと考えて良い。

・心理学者や行動科学者が書いたものは1割も正しくない。

・おばあちゃんの知恵
→認知的不協和(酸っぱいブドウの話)
→損失回避(得る喜びよりも失う痛みが大きい)
→否定形のアドバイス(間違っている事の方が理解しやすい)
→身銭を切る
→反脆弱性(魂が弱っていると、蜂に刺されただけで痛い)
→時間割引(樹上の10羽よりも手中の1羽)
→群衆の狂気(個人の狂気は稀。しかし集団はくるっているのが常)
→少ないほど豊か(口論が高じると真実が失われる)
→自信過剰(過信してすべてを失った。用心してすべてを守った)
→進歩(選択)のパラドックス(ニューヨークの銀行家と漁師の話)

・人は見た目が大事
→2人の医者がいて、1人が医者に見えないなら(そのハンデの中で選ばれているので)、こっちを選べ

・常に身銭を切らずに生きてきた人間は、複雑で中央集権的な解決策を求め、シンプルな解決策を親の仇のように毛嫌いする。

・私生活と知的意見が矛盾した場合、その人の私生活ではなく知的意見のほうが無効になる。

・同じ言葉を別の意味で使うのは、意思決定をする時には問題が有る。
→本人に言葉の定義を聞けばよい。

・何よりも生存が第一。真実、理解、科学は二の次。

・まずは、生きよ。哲学はそれから。

・金を儲けるには、まず生き残る。

・本人に尋ねるだけでは、人々の本心は分からないし、その人の行動も予測できない。本人が自分の本心を理解していない場合もあるからだ。最後にものをいうのは、その人が目の前の商品に対して支払う対価だ。その商品をどう思っているか?どうしてそう思うのかについて、人が言葉で説明している内容をうのみにしていはいけない。

・起こることのすべてが、理由があって起こるわけではない。だが、生き残るものは全て、理由があって生き残る。

・アンサンブル確率:100人が別々に同じことをする際の確率。

・時間確率:1人が100回同じ事をする時にそれが起きる確率。

・重要なのは順序であり、破滅の可能性があるところでは、費用便益分析(ある意味アンサンブル確率)は無意味になる。

・破滅の問題と繰り返しリスクに身をさらす行為、その両方が存在する場合には統計的検定や科学的な命題はほとんど意味をなさない。
→煙草を1本数だけならほとんど問題は無い。毎年一定箱以上で、累計数万本の煙草を吸えば、死に至る。

・私の寿命は限られているが、人類は永遠に存在しなければいけない。

・私は替えが利くが、人類や生態系は替えが利かない。
あなた<家族・友人<部族<自己定義の拡張部族<人類<生態系

・勇気とは自分自身よりも上の層(↑の右側)の生存のため、自分の幸福を犠牲にすること
→利己的な勇気は勇気ではない

・破滅を完全にさけつつも、リスクを愛する事はできる。

・破滅を含むような戦略では、利益が破滅リスクを帳消しにすることは決してない。

・破滅とそれ以外の状況変化はまったく別の生き物である。

・人間の冒すリスクは積もり積もってその人の余命を縮める。

・合理性とはシステムの破滅を防ぐことである。

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