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2022年 90冊目『経営戦略としての異文化適応力』

友人で中尾塾にも参加してくれている宮森千嘉子さんの著書です。


以前海外の国際会議の事務局をしなくてはいけない時にホフステードモデルについて『多文化世界 -- 違いを学び未来への道を探る』を読みました。
とても感銘を受けて、しかも役に立ちました。

この本を人にも勧めたのです、なかなか分厚くて、かつ読むのに骨が折れるのです。

今回の本は、ホフステードモデルの概要も分かった上で、更に実際の業務で活用できるように様々な事例が載っているのがミソですね。

これからますます異なる文化圏の人たちと働く機会が増えてきます。
その際には、CQ(異文化適合力:Cultural Intelligence)が必要になります。
CQは、昨今IQ、EQに加えて、より必要なスキルだと言われています。

異文化の人と働く時に生じる様々なトラブルを解決するヒントが載っています。

本の冒頭に分かりやすい事例が載っています
Googleは国ごとにカスタマイズされています。

例えば 熊・イラストをGoogleで検索すると
日本は可愛い熊のイラストが出てきます
イギリスは、クマのプーさんやパディントン・ベアで有名ですが、荒々しい熊のイラストが出てくるのです。

これが日英のクマのイラストの違いなのです。

同じ言葉なのに文化圏が異なると意味が異なるのです。
この異なるイメージのままでコミュニケーションをしたら、どんどん齟齬が大きくなるというわけです。

この文化を6つの尺度で数値化した学者がヘールト・ホフステードなのです。

「国民」文化は、内側から価値観→儀礼→ヒーロー→シンボルとなっていて変革が難しいのです。

一方「組織」文化である日頃の行動実務、程度・慣習は、まだ変革可能なのです

その変革をするためにCQは必要で

異なる文化
1 で効果を出したい「動機」
2 に対する「知識」
3 で知識を活かして準備し、実行した結果をリフレクションする「戦略」
4 でのコミュニケーションを指す「行動」
でCQは構成されているのです。

3はG-POPのPOPですね。

今わかっている事は
言語が分かってもダメ
最後は人間同士だから理解できるもダメ
専門性があればクリアできるもダメ
だという事が分かっています。

この本では2章で丁寧に6つの次元それぞれのポイント、ビジネス現場で起きる事、ミニケースで教えてくれるのでかなり実践的です。

そして3章では事例を通して日米のMA、オーストラリアでの駐在員の憂鬱、ドイツ、中国での事例、マレーシア人の葛藤など具体的なイメージもわきます。

更にホフステードモデルではなかった6つのメンタルイメージを4章で学べます。

そして、日本は例外的な7つめのメンタルイメージだというのがユニークです。

最後の5章ではCQを高める方法が学べ、最後のおまけにホフステード博士との対談が載っています。

ちなみに日本は
努力を厭わず、高い志を持って、より良い仕事を追求する
トラブル、不測の事態を予測しながら、丁寧に仕事をする
他から学ぶ姿勢があり、俯瞰して見られるので、すり合わせて最適解を見出す
権力者に頼らず、現場、ミドルのパワーを最大限に引き出す力をもたらす

なんか良い国ですよね。

異文化の方々と働く人はぜひ手に取ると良いと思います!

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