2019年 19冊目『物流危機は終わらない』
もしかすると仕事で物流関係に携わる可能性が少しあるので2冊手に取り読みました。
その1冊目です。
トラックの運転手さんは、かつては忙しいけれど、儲かる仕事でした。
それが、今は、少し労働時間は短くなったけれど、他職種よりは長く、給料は安いという仕事に変わりました。
ヤマトショックをきっかけに、少しは改善の方向に向かっていますが、まだまだ道は遠そうですね。
なぜ、こうなったのか少し理解できました。
1990年トラック業界に物流二法が施行されました。
主な中身は参入規制と運賃規制の緩和でした。
事業参入は免許制から許可制に変わり、一定の条件を満たせば、営業できるようになりました。
運賃・料金も認可制から事前届出制に変更されました。
また2003年には、営業区域の制限が廃止され、全国での営業が可能になり、さらに運賃・料金は事前届出制から事後届出制に変わり、運賃設定や変更がより容易になったのです。
つまり新規参入がしやすくなったわけです。
この当時の新聞報道では、自由競争こそサービス向上につながる、という論調が多かったようです。
加えて1990年の日通総合研究所の調査によると、半数の企業が「運賃は値上がりする」と予想していたようです。
「値下がりする」との回答は0で、「やや値下がりする」も数%に過ぎませんでした。
しかし、実態はどうだったでしょうか。ヤマトショックで明らかになったようにトラックの料金はまったく「値上がり」しませんでした。
それどころか、「新規参入者」が増加し、過当競争になり「値下がり」していきました。
特に荷物を送った帰りに、空で戻るよりはましだという事で、低価格を提示する企業が出てきて、値下がりに拍車をかけたのです。一般論になりますが、新規参入が容易な(参入障壁が低い)業界では、いったん業界の収益性が上がったとしても、すぐに参入者が増加し、競争の激化により収益性が下がってしまうのが当たり前です。
その通りになっています。
さて、どうしたものか、知恵の絞りどころですね。
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