サバサンド
喫茶店に入って何もしたくないという脳状態なので適当に散文を書いてみる。喫煙ブースのあるちょっと昔ながらの喫茶店に入ってサバサンドとアイスコーヒーを頼んでいる。4人席にひとりで座っている。アイスコーヒーの味はふつうである。サバサンドは8枚切り食パンを4つ切りにした大きさで、三角形のサバサンドが皿に4切れ乗っている。中身は焼いたサバの切り身とレタス、マヨネーズとレモン汁である。サバは脂の乗っているわけではなく、かといってパサパシしすぎているわけでもない。小学校の給食だったら「すごく嬉しいわけでもなく落胆するわけでもない」レベルである。頼んでみようと思った理由は、サバサンドというものを食べたことがなかったからと、もしこれが美味かったら料理のレパートリーに加えたいと思ったからである。対してお腹も減ってないのにサバサンド4切れとでかいアイスコーヒーを頼んだので、食べ終わるまで時間がかかりそうである。なのでいまこうしてテキトーに文章を書いている。
ひとりで4人がけ席に通されると居心地が悪い。本当はアイスコーヒーだけでよかったのにサバサンドを頼んだのも、机の上に置くものを増やすためだったのかもしれない。食事もしてないのに4人がけ席なんて、というプレッシャーから逃れるためだったのかもしれない。サバサンドを食べてみたいと思ったのも後付けの言い訳だったのかもしれない。
サバサンド3切れ目をモソモソ食べている。酸っぱめの味だ。無理やり食べているのでお腹が痛くなってくる。トイレに行く。キャップを被っていると外見が男性だと誤解されやすくなるためキャップを外してテーブルに置く。椅子ではなくテーブルに置くのは視界に入りやすくしてキャップの存在を忘れないためである。不注意型視覚優位型ADHDが原因か知らんが、視界に入っていないと被ってきたことも忘れてしまう。席を立つと店員さんに「トイレはどちらですか?」と聞く。トイレの位置は店を出たビル内の廊下にあるというのを知っているのだが、一応食い逃げと思われないためだ。ちなみにこの喫茶店には10回ほど来たことがある。
トイレ帰りに喫煙所でタバコ吸ってたら男性が1人入ってきて咳き込みはじめる。今週末に海外に行く用事があるので、今コロナうつされたらヤバいかなと思いすぐ喫煙室を出る。というより、このコロナに絶対に感染できない時期に人々の唾が飛び交う喫茶店にいること自体感染リスクがヤバいのかなと思い始める。早く喫茶店を出たほうがよいのかなと思い、席に戻るとサバサンドが1切れ残っている。食事を残すマネをしたくないなと思い食べようかなと思ったが、隣のテーブル席の私服ビジネスマンっぽい人4人組のおしゃべりがヒートアップし始めたので、のんびりすごすのが難しそうだなと思いはじめる。ノイズキャンセリングイヤホンをしたが笑い声が貫通してくるので、申し訳ないがサバサンド一切れとアイスコーヒーを残して店を出る。散々まずそうに書いたがサバサンドは普通においしかった。
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