CBDオイルと皮膚疾患

CBDオイルは皮膚疾患に対して外用として使うこともできる。
たとえばアトピー性皮膚炎。ご存じのように皮膚のかゆみを特徴とする疾患で、患者は不快なかゆみに苦しむことになる。さらに皮膚を掻破する(掻き壊す)ために、美容面での心理的負担も大きい。
そもそも「かゆみとは何か」ということは意外に医学的定義が難しい。皮膚の不快感という意味で、痛みに似ている。しかし痛みが引っ込み反射(withdrawal reflex)を起こすのに対して、かゆみはむしろ逆に、局所の掻破反射を誘発する。一応今のところ、かゆみは「痛みの亜型」ということになっている。さらに、痛みとは何か、というと、炎症の一形態である(炎症=発赤、熱感、疼痛、腫脹)。
かゆみが痛みの一種であり、痛みが炎症の一形態であるならば、かゆみに対して抗炎症物質が効くのではないか、という推測は自然である。
実際、アトピー性皮膚炎治療の第一選択は副腎皮質ステロイド(抗炎症薬)である。しかし、ステロイドは副作用の多さで悪名高い。初めて塗ったときにはよく効いても、連用するにつれて次第に効かなくなり、それどころかステロイド皮膚炎という薬剤性の皮膚症状を来たす。「最初に効いた薬が結局効かなくなり、使う前よりもひどい状況に至る」というのは抗精神病薬なども同じで、西洋医学にありがちな経過だ。
そこで副作用のない抗炎症物質として期待できるのが、CBDオイルである。

『炎症性皮膚疾患および皮膚瘢痕におけるCBD軟膏の治療効果』
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30993303/
乾癬患者(5人)とアトピー性皮膚炎(5人)に対してCBDオイルを含む軟膏を患部に1日2回、3か月間塗布するように指示したところ、改善が認められたとする研究。
結論「CBDオイルの局所塗布は、安全、効果的、かつ非侵襲的な治療選択肢であり、ある種の皮膚疾患(特に炎症が背景にある疾患)の患者の生活の質を改善させるものである」

以下はCBDオイル研究会のオンライン勉強会で交わされたやりとり。
「乾癬で生物学的製剤の注射を受けている患者がいるのですが、なかなか経過がかんばしくありません。ヒュミラとか、サイトカインの活性を鎮めて抗炎症作用を発揮するわけですが、免疫系そのものを抑えるわけで、副作用も多いです。副作用のない治療法ということでCBDオイルの外用を考えていますが、具体的にどのように使えばいいでしょうか。サルベやクリームを使うよりは、CBD粉末をプロペトに混ぜて使う、といった使用のほうがいいでしょうか」
「これについては日本臨床カンナビノイド学会の新垣先生がよく研究している分野ですね。皮膚はメッセンジャー系が複雑で、どういう塗布の仕方がいいというのは一概には言いにくいです。ただ一般論として「濃度が高ければ高いほどいい」という単純なものではない、ということは言えます。乾癬、アトピーなどの患部に塗布する場合、皮膚のバリア機能が低下していることもあって、0.1%より少ないくらいの低濃度、たとえば0.09%とか、少な目から開始されることを勧めます。10%のCBDオイルなら、100gのワセリンに1mlを入れて、それで0.09%になります。防腐剤が入ってないので冷蔵庫保存してください。
内服か外用か、の二択ではなく、両方から攻めるのも有効だと思います」
「CBDオイルの経皮吸収は、個人的に非常に実感しています。私、肩こりがあるんですが、CBDオイルで肩をマッサージしてもらうと、ものの数分で寝落ちします。ほぼ100%の確率で。普通に飲むよりも効果が早い気さえします」

アトピーに悩む人は多い。病院に行けば、皮膚科医から機械的にステロイド(あるいはプロトピック)を出されて終わりだろう。しかしこの病気が薬で治ることはない。むしろ、薬は症状を複雑化させるだけだ。
治療は食生活の改善がまず第一。ただ、そこに外用で何か使うとなれば、CBDオイルがお助けになるかもしれない。大麻が合法の国では、大麻の葉っぱをすりつぶしてそのまま患部に塗布する人もいる。この方法だとTHC(酩酊成分)をはじめ大麻の様々な成分が経皮吸収されるから、CBD単独のオイルよりもはるかに効きそうだ。日本ではとても真似できないのが残念だね。

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