有機ゲルマニウムと肺癌

【症例】80代男性
【主訴】肺癌(stageⅣ)、咳、痰を伴う呼吸困難感、頭痛、食欲不振
11月9日受診。娘が語る。
「1年前に癌の診断を受けました。発見時点ですでに症状が進行していて、手術適応かどうか微妙とのことでしたが、本人が拒否しました。かといって、抗癌剤にもいいイメージがないので、断りました。
蓮見ワクチンってご存知ですか?それを定期的に打って、あとは食事に気を付けて生活していたところ、元気に過ごせていたんですね。バイクに乗ったり、登山したりできるくらい、普通に元気でした。

ところが、一か月ほど前から、咳と痰がひどくなって、息がしにくいような感じになって。頭痛がしたり、食欲も落ちてきました。
この呼吸困難感は、肺癌の進行もあるのかもしれませんが、それ以上に、間質性肺炎の影響ではないか、と本人は感じています。しばらく前に間質性肺炎の診断を受けています。息を吸い込めば、聴診器を使わなくてもぱちぱちと聞こえるほどの捻髪音です。

先生、この間質性肺炎は医原性ではありませんか?というのは、近くの大学病院で、もう嫌というほど何回もCTを受けたんです。PET検査もしましたし、レントゲンも何度も撮りました。主治医からは、"CTと間質性肺炎の因果関係はない"って言われたんですけど、本当ですか?放射線治療による被爆で間質性肺炎が起こることは一般に認められています。でもCT検査による被爆で間質性肺炎は起こらないって、本当に言えますか?
先週、別の病院を受診しました。そこで「レントゲンとかCTとか、被爆する検査はもう嫌」と言ったら、「じゃ、うちでは診れない」と断られました。

もともとタバコを1日40本吸うヘビースモーカーでした。2年前に大動脈瘤の治療としてステントを入れる手術をして、それ以後、タバコはきっぱりやめました。
今困ってるのは、とにかく呼吸です。思ったように息が吸えないというのは地獄です。何とか苦しみを楽にする方法はないでしょうか」

CTを1回撮るごとにレントゲン100回分にも相当する量の放射線を浴びるわけだから、検査による一定量の被爆は避けられない。長年の喫煙で潜在的なダメージを受けていた肺に、頻回のCT検査やPET検査が引き金になって間質性肺炎を発症した、という可能性は否定できないと思う。

呼吸困難感は肺癌の進行によるものか、間質性肺炎の急性増悪によるものか。このあたりの区別はそれほど重要ではない。とにかく、まずは症状をとって楽にしてあげたい。
そこで、なんといっても有機ゲルマニウムである。
組織への豊富な酸素供給により、呼吸困難感が軽減するだろう。「間質性肺炎=肺胞壁の炎症」だから抗炎症作用による病態の改善も望めるし、当然、肺癌そのものへの抗腫瘍作用も期待したい。
どのくらいの量を飲もうか。まずは高用量、1日6gを目安に開始して、症状が落ち着けば漸減していくことにしよう。

高濃度ビタミンC点滴も希望だったので、点滴を受けながら、その場ですぐにゲルマニウム2gを服用するよう勧めた。
点滴を終了したときには、呼吸困難感は消失。快活におしゃべりし、とても癌患者とは思われないほどに回復した。

11月20日受診。娘が語る。
「ゲルマニウムを飲み始めて数日間、非常に調子がよかったんですね。息のしにくさはすっかりなくなって、食欲が出てご飯もよく食べて。頭痛がするとか目が痛いとか、そういう不調が本当に全部なくなりました。
でもしばらくして下痢になりました。だんだん食欲もなくなってきて、体力がなくなってきて。足の筋肉も弱って、起きるのもやっと、という状態になりました。
ゲルマニウムのせいかなと思って、1日2gに減らしたんですね。そうすると下痢がマシになりました。

呼吸は安定しています。SpO2は94くらいで、以前はもっと低かったです。動くと息切れしますが、咳も少なくなったし、呼吸が楽になったのは明らかにゲルマニウムのおかげだと思います。
下痢はゲルマニウムのせいでしょうか。だとすれば、今後どうしていけばいいでしょうか?
あと、夕方に38度台の熱が出る日が数日間続いたことがありました。汗をすごくかいて。バイク乗りだったせいか、厚着のまま布団に入って寝るようなところが昔からあって、寝汗の量は多いほうかもしれません。しかしそのときはシャツがずっしり重いほどの寝汗でした。今は解熱して落ち着いています」

しまった。これははっきり、僕の失敗である。有機ゲルマニウムの高用量摂取により下痢が起こり得ることを、事前に伝えておくべきだった。
癌なので高用量で服用したいのはやまやまだが、食欲が減退するほどのひどい下痢となってはいけない。抗癌作用とのトレードオフになるが、服用量を減らすこともやむを得ない。
そう、基本的には副作用のない有機ゲルマニウムだが、高用量摂取による下痢は、数少ない副作用のひとつだ。
ただ、発熱は吉兆である。癌末期で悪液質に陥った人は、発熱するだけのエネルギーさえない。発熱は生命力の現れで、癌に対しても抑制的に働くだろう。