麹の効能6

高校生のとき、朝起きて、おしっこして、さて、テーブルについたとき、オカンが「今日も元気やねえ」と股間指して言ったとき、もう、恥ずかしいというか屈辱というか何というか、朝立ちを、自分の若さの象徴を、ものすごくうっとうしく思った。同時に、「このオカン、死んだらええねん」と割と本気で思った(笑)
男性諸君はご同意いただけるだろうけど、女性陣はそもそも何を言っているか、わかりますか?わからない人は「朝立ち」でこっそり検索してください。夕立と似ていますが、そんな風流なものではありません。単純に、男性の生理現象です。
股間が固くなっているけれども、別に性的な感情が伴っているわけではない。どちらかというと、不便でうっとうしいんです。朝とか、おしっこがしにくいので。そういう状況をオカンに指摘なんかされると、なんとも屈辱で。

20代になり30代になり40代になり。次第にそういう現象が起こらなくなってくる。年をとっていいことなんてひとつもない、と思われているけど、そうかな?自分の理性でどうしようもないほどに高まる若い欲求が、加齢によりほどほどに衰えて理性の軍門に下ることは、ある意味福音でもあるんじゃない?そのおかげで生きやすくなる、という側面はあると思うんだよね。
若さはバカさでもある。いかに生きるべきか、で悩んだ末に自殺するのって、若者ばかりでしょ。こういう自殺に性欲は無縁ではないと思うの。一方で、中高年の自殺は生活苦とかさ、何か実際的でポエムがないよね。

【症例】40代男性
【主訴】性的にもう少し元気になりたい
【現病歴】いや、【症例】というかね、ぶっちゃけると、これは僕の患者ではなく同級生の話なんだ。中学校の同級生で、医者がいる。すでに結婚して子供も2人いて幸せなんだけど、何というか、"彼女"もいて、ふたつの顔があるわけだ。正妻のほうとは、性生活はほとんどない。ただ、"彼女"とは頑張らないといけない。「特に性機能に問題があるわけではないけど、ちょっとマンネリしているところはある。もうちょっと刺激があればな、と思う。かといって、バイアグラとか薬は使いたくないしな」と言う。
【処置および経過】
これが患者相手なら、食生活の改善とか運動の励行とかをきちんと指導するところ。性的な不調、というと性器の具合だけに注目してしまいがちだけど、全然そうじゃないからね。
でも相手は患者ではなくて同級生で、雑談のなかでポロっと出てきたような話。しかも、一応問題なく"お勤め"は果たせてるけど、もっとキックが欲しい、というわけだ。
こういう場合のお勧めは決まっている。
まず、ヨヒンベである。

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ヨヒンベのエキスを飲んでから事に臨むと、男性のパフォーマンスが上がる。ざっくり言うと、5分で終わる男性が、15分頑張れます。イキにくくなって、結果、馬のようにタフになる。女性から喜ばれます。
次に勧めるのが、サルサパリラ。

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本来媚薬というわけではなくて、関節痛、免疫低下、皮膚症状の気になる人が使うといいハーブなんだけど、同時に性的な不調をも整えてくれる。いや、そもそも健康というのはそうあるべきなんだ。ご飯が食べれて(食欲)きちんと寝れて(睡眠欲)エッチができて(性欲)、という基本的な欲求が満たせることが健康の定義だとすると、何も性欲だけ特別視することはない。全部整って、結果、性的パフォーマンスも高まる、というのが一番の理想だよね。
さらに、ムイラプアマもいいよ。

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このハーブは、認知機能を高めたり、気分障害、高脂血症の改善にもいいんだけど、もっぱら性生活のboosterとして活用されることが多い。

これらのハーブのエキス剤を処方し、さて、その数日後。彼から電話があった。
「いや、すごいわ。飲んだ当日もすごかったんだけど、驚いたのは翌日の朝。朝立ちがあったんよ。いやぁ、こんなん何年ぶりのことかなぁ。久しぶりに中学生みたいな気持ちになったわ」

満足いただけてよかった。彼は患者というか同級生。同い年の彼が若い気持ちに戻れたというのは、他人事の感じじゃないんだな。
こういうハーブを勧める当の僕だけど、僕自身はこれらを飲まない。なぜって、これらのハーブは「目的」に応じて使うものだから。同級生は「性的なキックが欲しい」という目的があってハーブを飲んだ。僕は、(それなりに枯れた)現状に満足しているから、あえて飲まない。当たり前の話だよね。

ところが、今回紹介したいのは、麹の意外な作用である。
ブログでたびたび紹介するように、僕は今、麹を推している。当院を受診する患者にも勧めているし、僕自身、麹を積極的に摂取している。味噌汁、塩こうじ、甘酒、麹水、醤油麹などなど、麹にはいろんな摂取の仕方があるから、みなさんもぜひ試してください。
麹を摂り始めてから、不意打ちを食らった。やたら、朝立ちがするのである。無意味にギンギンに固くなっている息子を見て、不思議に思った。「一体何が原因なんだ」と。当然、麹しか考えられない。
実際、『麹親子の発酵はすごい!』(山元正博著)にこんな記述がある。
「麹は少子化対策のキーワード。妊活のサポートになります。麹で妊娠しやすくなる、というと『デタラメ言うな』と言われそうですが、事実です。我が社に入社した社員には麹ドリンクや麹サプリを支給するのですが、女性社員が皆、妊娠して退社していきます(笑)。女性ばかりではありません。精子数8千の不妊男性が麹を摂取し始めたところ、3億に増え、精子活性率も8%から80%に増加しました」
この記述はエビデンスではない。あくまでempiricな経験則である。「麹には不妊改善作用がある」ときちんと示すことは意外に難しい。"不妊マウス"を作ることはできでも、"妊娠しにくいマウス"を作ることはできない。まず、妊娠しにくい、の定義から始めないといけない。だから、麹で妊孕性がアップする証明は難しいだろう。
ただ、個人的には、麹が妊活をサポートする説には妙に説得力を感じている。麹を摂り始めてからやたら朝立ちするようになった僕としては(笑)

中学生高校生のときは朝立ちする自分が本当に嫌だった。自分の若さを持て余して、ムダに苛立っていた。しかし「今日も元気やねえ」といじってきたオカンも、今はこの世にいない。
今、同じようにいじってきたら、恥ずかしがるどころか、「そうやろ。立派な孫が拝めてよかったやんか」とふてぶてしく返すのだけれど。

【参考】
麹親子の発酵はすごい!(山元正博著)