ブドウ糖果糖液糖

画像1

陳列棚の商品を手に取って原材料を見れば「ブドウ糖果糖液糖」の表記を見ない日はない。それぐらいに、「ブドウ糖果糖液糖」は僕らの食生活に溶け込んでいる。
「"砂糖が体に悪い"というのはよく聞く。でもブドウ糖果糖液糖は、名前から察するに、ブドウ糖と果糖だし、砂糖よりもヘルシーなんじゃないかな」と思うかもしれない。
でもはっきり言って、毒性としては砂糖よりブドウ糖果糖液糖のほうがはるかに危険だよ。

ブドウ糖果糖液糖の精製技術は1966年日本で開発された。「在庫が余剰ぎみのサツマイモなどから糖類を抽出できれば」というのが開発の動機だったが、現在では主にコーン(病害虫耐性を高めた遺伝子組み換えトウモロコシ)を原料として作られている。
つまり、ブドウ糖果糖液糖を添加物として使用した商品は、まず間違いなく『遺伝子組み換え原料使用』である。後で触れるように、ブドウ糖果糖液糖は様々な慢性疾患の原因となるため、消費者の健康を考えれば、本来市場に流通してはいけない。百歩譲って、”健康上の不利益よりも生活上の利便性が上回る”としても、『ブドウ糖果糖液糖(遺伝子組み換えコーン使用)』とはっきり表記して、消費者に選択の余地が与えられるべきだろう。
ブドウ糖果糖液糖は英語ではHigh Fructose Corn Syrup (HFCS)である。要するに、"トウモロコシのシロップ"で、英語のほうが実態を直接的に表している。以下では、僕もHFCSと表記することにしよう。

アメリカでHFCSが普及した背景には、政治が関係している。
1960年代後半から70年代は、米ソの冷戦真っ最中。キューバ危機が起こり、サトウキビの一大産地キューバからアメリカへの砂糖の輸出が不安定になった。食品業界はこういう不安定を嫌うものである。そこで目を付けたのが、日本が開発したHFCSの抽出技術である。トウモロコシの在庫を腐るほど抱えるアメリカにとって、この技術は渡りに舟だった。放っておけば廃棄処分のトウモロコシが、甘味料という宝の山に変わるのだから、こんなに都合のいい技術はない。さらにそこに遺伝子組み換え技術の進歩があって病害虫耐性を備えたトウモロコシが安く大量に生産できるようになり、こうしてHFCSがまたたく間に広く普及するようになった。

アメリカの消費者は遺伝子組み換え食品(GMO)に敏感である。「トウモロコシといえばほとんどがGMO」だと認識しているから、HFCSを利用した商品には目もくれない。食品業界もこの傾向を当然認識している。
たとえば、ヤクルト。

画像2

日本向けにはHFCSを使用しているが、アメリカ向けにはHFCSを使わず、砂糖を使用している。
なぜこんな二枚舌の販売戦略をとっているのか?
単純にコスト面だけ考えればHFCSよりも砂糖のほうが割高だけど、健康志向のアメリカ人はHFCS含有だと買ってくれない。でも日本人は無知だから、HFCSの表記があっても、遠慮なくバンバン買っていく。

どういうことか分かりますか?
日本人は、バカにされてるんですよ。
いや、正確には、バカにされてると同時に、本当にバカなんです。「ブドウ糖果糖液糖」というのが一体何なのか、知らない。知ろうともしない。だから、それが遺伝子組み換えであることにも気付かないまま。
納豆に添付されてるタレなんかもそうだよね。ばっちり遺伝子組み換えHFCSが入っている。「乳酸菌と納豆菌を補って健康になろう」として、ヤクルトを飲み、納豆を食べ、結果、むしろ健康を害している。マンガみたいなことが、リアルに起こっているんだよ。

画像3

HFCSは具体的に、どんなふうに体に悪いのか?以下に見ていこう。

・まず、単純に、太ります。おなかまわりにボテっと脂肪の付く、特徴的な太り方をする。内臓脂肪の沈着と中性脂肪の増加が見られる。
HFCSの摂取によって、"たまたま太る"のではない。HFCSは肥満マウスの作成に使われているぐらいだから、肥満は"必発"です。
『HFCSはラットに特徴的な肥満(体重増加、体脂肪、中性脂肪の増加)を引き起こす』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3522469/

・老化
生きることはそのまま老化であり、僕らはこの世に生まれ落ちた瞬間から死に向けて一直線に進んでいるわけだけど、この世にある食材は、ざっくり二通りある。老化を促進する食材と、老化を遅らせる食材だ。
HFCSの老化促進作用はすさまじく、これを含むと含まないとでは、老化速度がざっと10倍違う(具体的には、AGEs(終末糖化産物)の生成量が10倍違う)。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16366738/
たとえばAGEsが血管に沈着すれば動脈硬化が進むし、皮膚に沈着すればしわやシミがひどくなる。まぁ、ろくなことがないわけです。高価な美容クリームを買う(足し算のアプローチ)ぐらいなら、HFCSを徹底して避けるという引き算のアプローチのほうが、よほど有効だよ。

・胃腸症状、皮膚症状
HFCSに限ったことではないけど、胃腸の吸収能力には限りがある。未吸収の栄養素は、腸にとどまり、腸内細菌が分解することになる。腸内細菌が不必要に活発化するのは、たいていの場合、好ましくない。「屁が出まくって困る」程度で済めば笑い話だけど、蓄積したガスによる膨満感やキリキリと痛む腹痛に襲われたりする。
最近美容外科界隈では「腸皮膚相関」という言葉がトピックになっているように、胃腸症状はそのまま皮膚症状につながっている(「皮膚は腸の鏡」)。HFCSによって腸内環境が悪化すると、体液のpHがアルカリから酸性に傾く。酸性状態は全身性の炎症の背景となる。ニキビや肌荒れなどはこの炎症が皮膚症状として噴出したものだ。

・水銀蓄積
HFCSは生産プロセスで水銀を使っていて、そのためHFCSにも微量の水銀が混入している。
『HFCS、水銀、自閉症』
https://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ1135692.pdf
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2637263/
これって大問題でしょ?どうしても水銀の混入が避けられないなら、商品に『微量の水銀が含まれています』と記載した上で、買うか買わないかを消費者に選ばせるべきじゃないの?

・頭痛
砂糖や人工甘味料(アスパルテームなど)が頭痛の原因となるように、HFCSも頭痛の原因となり得る。
https://www.hopkinsmedicine.org/otolaryngology/_docs/migraine%20patient%20handout.pdf

きりがないのでこの辺にするけど、まぁ、"万病のもと"ですね。
「ブドウ糖果糖液糖のこと、先生に言われるまでまったく気にしてなかったけど、家の冷蔵庫にあるお気に入りのドレッシングを調べたら、ばっちり使っててショックでした」
そう、ドレッシングやタレの類は、もう食べれなくなっちゃうよね。確かに、ちょっと不便に思うかもしれないけど、ドレッシングとかタレって、だいたい醤油で代用がきくものだよ(笑)ドレッシングを自分で作る(塩、油、酢とか)のも意外に簡単だし。
調味料は毎日使うものだから、この機に一度見直してみてはどうかな?