できればハゲたくない

できればハゲたくない。でも「そのとき」が来たとなれば、変にハゲ隠しの工夫をすることなく、自然体でいきたい。あるいは、隠すどころか、さらす。松山千春的なスキンヘッドもありかもしれない。

遺伝的には、間違いなく、来る。
父は20代前半からすでに来ていた。母方の祖父も若い頃から丸ハゲだった。
血統的には、まず文句なしに、ハゲのサラブレッドである。

ちなみに、ハゲの遺伝性について、以下のような研究がある。

「ドイツのボン大学の研究によると、若ハゲはアンドロゲン受容体の特異的変異によるものであり、この変異遺伝子はX染色体上にある。男性はX染色体、Y染色体をそれぞれ1本ずつ持つが、このX染色体は母親由来である。つまり、自分が将来ハゲるかどうか気になるなら、父親よりは母方祖父の頭を見よ、ということである」

しかしこの研究は、僕にとって無意味である。父も母方祖父も、両方がハゲているので。

孫とたわむれるおじいちゃん

父が僕を見て、不思議がる。
「お前今いくつや。そうか、もう43か。でも頭、全然来てへんな。俺がお前の年のときには、もう、隠しようもないほどやったぞ」
そう、僕もそれを不思議に思っている。幸い、僕は「まだ」である。遺伝という必発の時限爆弾があるとすると、それはとっくに起動していてもおかしくない。しかし、今のところ爆弾は沈黙している。なぜなのか?

仕事柄、栄養に気を使っているから、それが髪にも何らかのプラスの影響を与えているのかもしれない。あるいは、それは単に時間の問題に過ぎなくて、来るときは何の予兆もなく、一気に来るかもしれない。

年の割に若く見られることが多い。年齢を言うと驚かれる。栄養療法のおかげかもしれないが、しかし自己否定するようだけれども、栄養療法が薄毛を防ぐとは思っていない
それは、オーソモレキュラー療法を創始した二大巨頭、ライナス・ポーリングとエイブラム・ホッファーの顔写真を見てみるとよい。

両先生とも、自らオーソモレキュラー療法を実践し、90歳を超えてなお、明晰な思考を保っていた。しかし写真を見て分かるように、髪の毛については、残念な感じである。

そもそも、なぜハゲたくないのか?
異性の目を気にして、というのは正直あると思う。世界に男しかいなければ、多分「ハゲ散らかして一顧だにせず」、何ら動揺しないだろう。しかし、たかが頭髪の多寡で動揺するのは、異性へのアピールに際して、毛量の少なさが不利になることを自覚しているせいではないか。
「既婚者のくせに異性の目を気にするとはどういうことか。なんと浮ついた男よ」などと思われるだろうか。ちょっと待ってほしい。「釣った魚にエサはやらない」とばかりに、結婚後ぶくぶく太りだして、オシャレに気を使うこともやめて、どこに行くにも常に同じジャージで、、、みたいに変われば、どうか?「幸せ太りだね。カッコつける必要がなくなって、相手を信頼してるからこその変化だよ」と正当化するか、あるいは「結婚詐欺だ。夫婦とはいえ、常に男と女。異性としての魅力を高める努力をお互い続けるべきだ」と批判的にとらえるか。僕はどちらかというと、後者をとりたい。だから、ひとまず、ハゲないように努めたい。どう頑張っても無理だ、となるまでは。

こんな統計がある。

結婚適齢期の女性に、「薄毛・ハゲの男性は好き?嫌い?」と聞いたところ、

90%の女性が「嫌い」と答えた。
やはり、そうだったか。この結果は意外ではない。「女はハゲ男を嫌う」十分に想定内の回答である。だからこそ、男はハゲたくないのである。

しかし、このアンケートの真価は、次の質問にある。
『金持ちのハゲ』と『貧乏なイケメン』、結婚するならどっち?

なんと、76%の女性が『金持ちのハゲ』と結婚すると答えた。
先の問答と併せて考えれば、女性の恐ろしい本音が垣間見えるようだ。「ハゲは嫌い。でも稼ぎがいいなら結婚してやってもいいよ」
しかしこれは朗報である。将来必発のハゲ遺伝子を持つ男性にとっては、力強い応援メッセージだ。「ハゲてもいい。しっかり稼いでさえくれればね」と。毛はどうにもならなくても、稼ぎは頑張ればどうにかなる。
女性は若さとか美しさのはかなさをよく知っていて、案外現実主義なんだな。

以下、シェディングにより薄毛をきたしたと思われる症例。
40代男性
「在宅勤務のときは問題なかったのですが、昨年10月から出社が始まって、その頃から急に毛が抜け始めました。あまりにも大量に抜けて、薄毛が目立ってきたほどです。シェディングの可能性を疑っています。
会議に出席すると大変です。気管とか肺がもわっとして、息苦しくなって、鼻の違和感、歯が浮くような違和感がある。胃には灼熱感がある。
においは感じたり、感じなかったりです。隣の席の同僚は、においは感じないけど、何といえばいいかな、「負のオーラ」みたいなのが出てて、ずっと隣にいると、心臓が痛くなって、頭がぶわっと来る感じがします。こんな感覚はこれまで経験したことがありません。
先生のブログはだいたい全部チェックしてます。効いたもの、効かなかったもの、いろいろです。たとえば、びわまる、パパイヤ酵素、アンドログラフィスは分かりませんでした。村上先生の抗体スプレーはちょっと効いた。イベルメクチンは効くけど、本来虫下しなのであまり飲みたくない。切り札的に置いてて、どうしても必要なときに飲みます。鼻うがいは会社のロッカールームに常備してます。うがい液にEM菌を混ぜるとさらにいい感じです。
あの漢方、コロナワクチン除去散は変化を感じません。アサイゲルマニウムは明らかな改善はないけど、前より食らいにくくなった感じはあります。
私に一番効いたのは二酸化塩素です。シェディングの影響で、目にものもらい(めばちこ。正式には麦粒腫)ができるのですが、二酸化塩素をスプレーボトルに入れて患部に吹きかけると、一気に治った。ステロイドとか何やっても治らなかったのに、二酸化塩素で一気に。これには驚きました。ただ、薄毛にはいまいちパッとしない。シェディングで頭皮が赤くて、ぶつぶつができています。何とか毛が元通りになればと思います」

シェディングによる薄毛と一般的な薄毛では対応が違うかもしれない。
しかし、一般的な薄毛に有効な栄養的アプローチが、シェディングにも有効かもしれない。以下に紹介していこう。

・フルボ酸
この人はすでにいろいろ試しておられる。僕から助言できることは少ないかもしれない。しかし、フルボ酸はまだ試したことがないということだから、ぜひとも使ってみるといい。

フルボ酸がシェディング対策に有効であることは過去記事で何度かお伝えしたけれども、実はフルボ酸は肌や髪にも好ましく作用する。当然、飲むんだけど、スプレーボトルに入れて頭皮にシュッシュしてもいい。

・麹
以前の記事で、鹿児島にある源麹研究所について紹介したけれども、同研究所の山元正博さんの著書『麹親子の発酵はすごい』に、以下のような記述がある。

「麹エキスを頭皮に塗り続けると、まず抜け毛が止まり、やがて毛が生えてきた」というエピソードが紹介されている。この理屈としては、麹の摂取により、制御性T細胞が活性化することがある。制御性T細胞は抗炎症作用に加えて、頭皮の幹細胞を増やすという論文がある。

・アサイゲルマニウム
アサイゲルマニウムが薄毛に有効か、正確な研究があるわけではない。ただ、臨床現場にいると「ゲルマニウムを飲み始めてから髪の毛が生えてきました」という声はしょっちゅう耳にする。僕の臨床経験的には、ゲルマの発毛効果は間違いないと思っている。そのメカニズムとしては、先の麹と同じように、ゲルマニウム摂取による制御性T細胞の活性化が考えられる。以下のグラフは、田中善先生が12人のボランティアを対象に行ったゲルマニウム治験のデータのひとつ。

ゲルマニウム1日1000mgを4週間服用したところ、制御性T細胞が有意に上昇した
そして、制御性T細胞が頭皮の幹細胞を活性化することにはエビデンスがある。

麹もゲルマも、発毛のメカニズムが共通しているところがおもしろい。

・かぼちゃの種
パンプキンシードオイル(PSO)を使ったこんな研究がある。

かぼちゃの種油(パンプキンシードオイル;PSO)には男性ホルモンの過剰な働きを抑える作用がある。具体的には、5α還元酵素の作用を阻害し、男性ホルモンに拮抗的に働く。これまで「PSOを飲んでいると毛が生える」ことは経験的には知られていたが、実薬群とプラセボ群に分けて、きっちり科学的に調べてみた。76人の男性型禿頭症患者について、実薬群(PSO1日400㎎を経口投与)とプラセボ群に分け、24週間追いかけた。その結果、PSO投与群では毛量が有意に増加した。

・黍(きび)
雑穀が体にいいとよく言うけど、発毛効果があることはあまり知られていないだろう。特に、黍について、以下のような研究がある。

黍種油(MSO)により、毛包真皮乳頭細胞の増殖が促進された。具体的には、毛包のサイズと数が増加した。つまり、発毛が促進されたということだ。
玄米を食べる人は、雑穀を混ぜて炊くといいよ。予想外の「おまけ」がついてくるはずだ。

・リシン
以下の論文『栄養と脱毛(ヘアロス)』に、いくつか興味深い記述がある。

「鉄欠乏の女性でヘアロスが多い」(Hard et al.)、「血中フェリチン濃度は女性のヘアロスの一要因である」(Rushton et al.)、具体的な鉄濃度として「血中フェリチンが70 μg/Lくらい、かつ、赤沈(炎症マーカー)が10 mm/hであることが望ましい」と。だからといって、薄毛に悩む女性は、鉄サプリをむやみやたらに飲んではいけないよ。鉄サプリを飲みまくれば、なるほどフェリチンは上がるだろう。しかし同時に、鉄はフェントン反応により炎症を起こし、赤沈が上昇する。
ヘアロスの女性を対象にした二重盲検で、リシンと鉄の投与で有意な改善が見られたという。

以上、さまざまな食材や栄養成分に薄毛予防、育毛の効果が確認されている。総じてどれも、抗炎症作用を持つ印象だ。だから、別に薄毛予防が目的ではなくても、毎日摂取して損はない食材ばかりだ。
他にも、生活習慣として、ヘナ(天然の毛染め)や酵素風呂なんかもいい。エビデンスはないけど、「酵素風呂に行ってるうちに生えてきた」というのは、anecdotalによく聞く話である。