ワクチン後遺症の治療
「薬だけ出してそれでおしまい」みたいな医療に嫌気がさして、独立開業した。しかし「薬だけ出して欲しい」という患者もいる。こちらが食事指導でも始めようものなら、手で制して「いや、そういうのは別にいいですから。睡眠薬だけください」そうであれば、僕もわざわざ嫌われ役を引き受けようとは思わない。黙って希望の薬を処方する。
そういう患者が、ふとしたことがきっかけで、栄養の有効性に目覚めることがある。
50代男性。
20代の頃からパニック障害があり、抗不安薬を服用している。2020年9月、通院中の病院の医師が転勤したため、当院初診。「栄養療法とか要りません。ここがうちから一番近いクリニックなので来ました」
セパゾン錠1㎎ 2錠 朝夕食後 にて症状は安定している。以後、当院で定期的にフォロー。
2021年11月8日。「体調がおかしい」とのことで急遽来院。
「10月初旬にコロナワクチンを打ちました。それから、体が明らかに悪くなった。まず、疲れが取れない。何とも言えない疲労感が、延々体の中に残っています。食事しても寝ても、何してもよくならない。というか、夜に寝れなくなった。寝つきが悪いし、寝れても2時間おきに目が覚めます。
朝に起きれば、体の節々が痛い。特に股関節と足関節。あと、肩と背中がパンパンに張っています。肩こり、という表現では生ぬるい。こんなに背中が張ったことはこれまでに経験がありません。
仕事には何とか出勤していますが、必死で体に鞭打って、という感じです。とにかく体が動かない。何をするにもおっくうで面倒くさくて。本来なら今日は九州に出張の予定でしたたが、さすがに出張は無理だと思って免除してもらいました。
先月、仕事中にめまいを起こして倒れて、救急車で運ばれました。こういうのも初めてのことです。
ワクチンは1回しか受けていません。というか、2回目を打つ予約日にめまいを起こして病院に運ばれて、ワクチンを受けに行くどころではありませんでした」
コロナワクチンにはうさんくさい点が多々あるが、そのひとつは、副反応に幅がありすぎることである。全くの無症状の人もいれば、接種後2,3日だけ微熱、倦怠感があったという人、心筋炎で死にかけた人、果ては死亡した人までいる。副作用は0から無限大まで、という感じだ。
現在、治験中のワクチンであることについては、製薬会社も隠していない。これが事実であることはネットで普通に確認できる。治験中であるからには、ワクチン含有のある種の毒性物質について、濃度や成分に差があったとしても不思議ではない。たとえば、全バイアルのうち、25%は生理食塩水、70%は普通のmRNA含有ワクチン、5%はdeath shotというふうに、成分に差をつけているかもしれない。こうでも考えないと、無症状から死亡まで、副反応の多様性の説明がつきにくい。
さて、上記の患者は、少なくとも生理食塩水ではなかったようだ。
治療はどうすればいいか?
現在のところ、確立した治療法はない。日本中で(あるいは世界中で)、コロナワクチンの後遺症に悩む人が多発しているにかかわらず、治療法の研究は進んでいない。そもそも政府高官が「アメリカでは2億回打って死者はゼロ」というような国である。副反応の存在さえまともに認めないのだから、治療法の研究なんて望むべくもない。現場の医者が、手探りで試行錯誤していくしかない。
上記患者に対して、処方薬としてストロメクトール(イベルメクチン)錠3㎎(3錠を3日間連用)、さらに5ALAを1日3錠服用し、2週間後の来院を指示した。
純粋に、研究者の視点で薬効だけを見るのなら、ひとつの薬剤だけを出して経過を見るべきだろう。しかし僕は臨床医である。まずは患者の苦痛を軽減しないといけない。だから、とりあえずこの2剤に絞ってみた。
11月24日再診。
「だいぶマシになっています。不思議です。確かに、マシです。治りきったわけではありません。肩と背中の張りはまだあります。左肩を以前手術したことがあって、そこに関してはむしろひどくなってるかもしれない。でも全体的にはよくなっています。
睡眠についても、前のように2時間で目が覚めるようなことはなくなりました。疲労感や関節痛も多少よくなりました。ただ、当然本調子ではありません」
何が効いたのか?どちらかが効いたのは間違いない。
5ALAの効果は他の患者で観察している。イベルメクチンについては、話でしか聞いたことがない。今のところ、個人的にはイベルメクチンの効果には確信が持てない。別の患者(ワクチン接種後、四肢のしびれが次第に増悪する20代女性)に対してイベルメクチンを単剤投与したことがあるが、まったく効果がなかった経験があるので。
ともかく、上記患者に一定の成果が出たのはよかった。次なる課題は、さらなる改善、である。
ナイアシン500㎎錠(1回1錠 1日3回)、フルボ酸(1回60ml、1日3回)を出し、2週間後の来院を指示した。
12月8日再診。
「もともとパニック障害持ちで、体も心も波があります。よくなったり悪くなったりの周期があるから、特に何が効いたというのは分かりません。
産業医に「ワクチン接種後に体調がおかしくなった気がする」と伝えたんですね。そしたら、首をかしげていました。「そんなの聞いたことがない」と。
最近仕事が忙しいです。コロナで品物の通関が遅れるので、どれだけ在庫を抱えるかとか、そういうのを対応する店に伝えたり。どれだけ納品できるかを聞いたり。コロナになって、仕事量は間違いなく増えています。
以前、仕事中にめまいでひっくり返って、救急車で運ばれたことがあるけど、あれだって、ワクチンのせいというか、過労のせいと言われればそういう気がします。
夜の寝にくさとか、疲れた感じ、腰痛とか、考えてみれば前からありました。もういい年ですから、加齢の影響かもしれません。
フルボ酸は朝1回しか飲めてません。仕事が忙しいので。
ナイアシン。あれ、いいですね。ホットフラッシュで肌がかゆくなりますが、肩や背中の張りがゆるむような気がします。おかげで寝つきはよくなったし、夜に起きる回数も減りました。
腰の痛いのはマシになりましたよ。先月はこんなふうに椅子に座っていても、苦痛でしたから。
ナイアシン、いいですね。もっと早くに知りたかった(笑)安いし、これは続けようと思います」
喉元過ぎて熱さを忘れたのか、今の不調はワクチン後遺症によるものではなく、「そもそも自分はこういう感じだった」という認識に落ち着いたようだ。実際そう思える程度まで回復した、ということだろう。このあたりが改善の上限かもしれない。
そう、ナイアシンはいいものですよ。ホットフラッシュが苦痛でないならば、上手に利用するといい。