水と健康1

きのう三宮で当院主催の講演会があった。テーマは「知られていない水の話」である。講師としてイーテック(株)の小野志郎さんとアーステクノ(株)の細谷幸喜さんをお招きした。両名とも、浄水器業界の裏の裏まで知り尽くしている。一般のメディアでは絶対に出て来ない情報が盛りだくさんで、会場に来られたお客さんにも満足いただけたと思う。

細谷さんの話
「昔、神戸は水のおいしい町として知られていました。神戸港に入港する外国船は、神戸港に着岸する前に船内タンクの水をすべて捨てたものです。なぜか分かりますか?新たに神戸の水を補給するためです。世界中の港を渡り歩く船乗りですから、彼らは神戸の水のおいしさを知っていたんですね。しかし今や、そんなことをする外国船は皆無です。水道のろ過方式が変わって、水がまずくなったからです。緩速ろ過方式から急速ろ過方式になりました。急速ろ過は、比較的狭いスペースで大量の水道水を作ることが可能ですが、大量の薬品(塩素、アルミなど)が使われます。そのため、かつて世界有数のおいしさだった神戸の水は薬品くさくなり、船乗りから見向きもされなくなりました。
急速ろ過になったのは、何も神戸だけではありません。今や高層ビル群が並び立つ六本木ヒルズや新宿都庁近辺には、かつて緩速ろ過の水質処理場がありました。緩速ろ過は水道水を作るのに時間がかかるし、処理場に広いスペースが必要です。経済能率を優先する人たちにとって、緩速ろ過システムは目障りでした。そこで、水のおいしさを犠牲にした急速ろ過システムが全国的に普及するようになりました。
私は愛知県豊橋市に住んでいますが、豊橋の水は緩速ろ過です。当然おいしいですし、残留塩素やアルミも少なく健康にもいいです」

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小野さんは水道水や簡易型浄水器について、いくつかの簡単な実演をした。それは非常に衝撃的な実演だったが、詳細をここで書くことはできない。
しかし塩素の実験については紹介してもいいだろう。紙コップを二つ用意し、それぞれに水道水を入れる。一方の紙コップに指を入れ、10秒ほど指で水を混ぜる。その後、両方の紙コップに塩素を検出する試薬を入れると、指で撹拌した水はきれいなままだったが、指で混ぜていない紙コップの水は黄色っぽい色になった。
「試薬は塩素に反応して着色します。つまり、水道水には塩素が入っているということです。しかし10秒指で混ぜた水は、試薬が反応しませんでした。つまり、塩素がなくなったということです。塩素はどこに消えたのでしょう?無論、経皮吸収です。塩素は皮膚から簡単に吸収されます。一番風呂に入るリスクが察せられるのではありませんか?」

3番目の弁士として、僕も登壇した。最近の講演はコロナのことばかり話しているが、今回は水をテーマに話した。

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まず、コアンダとフラナガンの仕事について紹介した。
アンリ・コアンダは、1910年に世界初のジェット機『コアンダ』を作製した発明家で、流体力学の重要な法則「コアンダ効果」の発見者でもある。
彼はライフワークとして、水と健康の関係を研究していた。パキスタンのフンザ渓谷は、イギリスの作家ジェームズ・ヒルトンの小説に出てくる理想郷『シャングリラ』(不老長寿の人々が暮らす地上の楽園)のモデルとなった地域である。実際フンザ渓谷に暮らす人々は長寿で、100歳越えの老人はざらにいる。100歳を超えて父親になる老人もいれば、60代や70代で妊娠する女性もいる。現代の我々にとっては、にわかに信じがたい話である。しかしコアンダは実際にフンザ渓谷に出向き、そうした現象が事実であることを確認した。
フィールドワークとして、フンザ以外にもロシア山奥のグルジア高地、外モンゴルの渓谷、エクアドルのビルカバン渓谷などを訪れ、長寿の秘密を探った。
その結果「若々しく健康で長生きできるのは水のおかげだ」との結論に至った。なるほど、We are what we eat.(体は食べ物でできている)という言葉は間違いではないが、より正確には、We are what we drink.(体は飲み物でできている)、つまり、水こそが核心に違いない。であれば、我々はどういう水を飲むべきだろう?フンザ地方の人々のような健康長寿を享受するには一体どのような水を飲めばいいのか?
フンザの人々は、世界最高峰の山々から流れてくる氷河水を使って生活している。氷河水にはミネラルは一切含まれておらず、蒸留水とほとんど同じである。ただ、氷河から溶けでた水は、鉱床を通り過ぎながら、コロイド状のミネラルを吸収し、次第に濁っていく(その成分には当然フルボ酸も含まれているだろう)。
このコロイド溶液をどのように分析すればいいか。コアンダは自らの発明した『コアンダ・ノズル』を使って自ら雪片を作った(この技術はその後人工雪の作成に応用されている)。各地の水で雪片を作り、雪片ができてから崩れるまでの時間を計測したところ、雪片の保持期間とその水の採取地域の人々の寿命に相関があることを見出した。
「長寿の秘密は、何らかの形で水の分子構造と関係している。この水の特異的な性質が長寿の鍵だが、私が分かったのはここまでだ。フンザの“Fountain of Youth”(若返りの泉)の秘密を解き明かすには私はあまりにも高齢過ぎる」
70代のコアンダは自らの研究の後継者を探していた。1962年ペンタゴンを訪れたコアンダは、若い才能を見出した。パトリック・フラナガンという17歳の青年である。
フラナガンは早熟の天才で、11歳のときに誘導ミサイル検出システムを発明した。それを科学博覧会に出展したところ、優勝した。こんな天才少年をペンタゴンが放っておくわけがない。背広を着た軍人が少年の通う小学校に出向き、直々にスカウトに来た。少年に破格の条件(目が飛び出るような高額の給料、才能を存分に発揮できる研究環境など)を提示した。少年はこの申し出を素直に喜び、『秘密保持契約』にサインした。

ペンタゴンのヒュイック研究所で勤務する17歳のフラナガンは、コアンダから水の研究を引き継ぐよう依頼された。世界には平均寿命が100歳を超える地域が5つあるが、その地域の水の表面張力、粘度、沸点、氷点の研究データなど、コアンダは自分が蓄積したデータや研究のノウハウのすべてをフラナガンに託した。
フラナガンは各地で採取した粘度から、コロイド状の微粒子を作り、それを蒸留水に加えることで“フンザの水”を再現しようとした。何千回もの試行を繰り返したが、うまくいかない。問題はコロイドの大きさと電荷だった。試作のコロイドは生体システムが取り込むには大きすぎ、かつ、電荷も低かった。
しかし苦節20年、ついにコロイドの電荷を増やす特殊な装置を考案した(Vortex Tangential Amplifier)。この装置によって作り出されたコロイドは、水の表面張力を73ダインから25ダインに下げるほどの高い電荷を保持していた。また、人体の毒素を排出するのに最適な水の表面張力は55~65ダインであることも実験的に突き止めた。
このフラナガン博士、なんと2009年に日本で講演をしています。
https://blog.goo.ne.jp/flanagan_suiso/e/2617424b532f7da0edd23a1684425b4e