ガドリニウム造影剤

医学にはどうしても、人体実験的な要素が付きまとう。
たとえば新薬。一応、動物や治験ボランティアを相手に安全性を確認しているが、ごく少人数が相手であり、しかもフォローしているのは短期間である。市場に出して数千人、数万人が服用し、しかもその服用が長期間になれば、予想外の副作用が起こらない方が不思議である。
このあたりの事情を知っている医者は、新薬に対して慎重である。製薬会社はMRを使ってあちこちの医局で新薬の説明会を開き、医師らへの売り込みに余念がないが、慎重派の医者は、製薬会社から提供される弁当を食べながらランチョンセミナーを聞くが、話半分にぼんやり聞いている。もちろん、なかには新薬に飛びつく医者もいる。新薬が本当に有効ならそういう「新しいもの好き」の医者から評判が聞こえてくるし、逆もしかり。「案外副作用が多いよ」というネガティブなうわさも伝わってくる。だから慎重派は、「まずは様子見」と静観する。

しかし、市場に出て何年も経ってから明らかになる副作用もある。ガドリニウム造影剤は1988年に臨床応用されて以後、現在も医療現場で用いられている。特に脳神経の分野ではこの造影剤なしには臨床が成り立たない、と言っても過言ではないくらいに頻用されている。
ガドリニウムに毒性があることは、昔から分かっていた。たとえば、ラットの半数致死量(LD50)は0.5 mmol/kg、つまり、ガドリニウム造影剤5回分である。毒性の機序は必ずしも分かっていないが、ガドリニウムイオンの挙動がカルシウムイオンと似ていることから、カルシウムが関与する働き(血液凝固、筋肉の収縮、ホルモン調節、神経伝導など)に悪影響を与える。
こういうことは基礎研究ですでに分かっていた。分かっていながら、臨床応用が始まったわけである。そして長らく「ガドリニウム造影剤による大きな副作用はない」とされてきた。
ところが2016年致死的な副作用である腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis)が起こることが報告された。この病気の不気味なところは、症状がすぐには現れないところである。遅発性に、皮膚が徐々にオレンジ色になり硬化し、四肢関節の運動障害を生じ、最悪の場合死に至る。現在のところ、発症すると治療法がないとされている。

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「あれ?妙にガドリニウムが高いんだけど。ひょっとして、造影剤入れてMRI撮ったことないですか?」
「はい、あります。でも、もう5年以上前のことですよ」と50代の女性が答える。

そう、ガドリニウムが厄介なのは、体内への蓄積性である。また、ガドリニウムは一度生体内に投与されるとほとんど体外に排出されず、体内に残留する性質がある。
オリゴスキャンは手のひらで計測している。具体的には、手の脂肪組織に蓄積したミネラルや有害金属の濃度を測っている。数年前に一度だけ行ったガドリニウム造影剤が、いまだに脂肪組織に残っていることが、オリゴスキャンによって明らかになった格好である。

さらに、ガドリニウムは脳へも蓄積することが分かっている。
たとえば放射線科医の間で、小脳歯状核のT1強調画像でなぜか高信号が出る人がいることが経験的に知られていたが、原因については不明だった。
2009年Roccatagliataらが多発性硬化症患者で小脳歯状核の高信号化が認められることを報告し、それに引き続いて京都大学のKasaharaらが放射線治療後の患者で小脳歯状核の高信号化が認められることを報告した。さらに2014年神戸大学のKandaらにより、ガドリニウム造影剤の投与により小脳歯状核の高信号化が起こることが報告された。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24475844/
この報告は衝撃を以て世界に迎えられた。なぜかといって、それまでガドリニウム造影剤は体内からすみやかに排泄される、ということになっていたから。ところが事実は逆で、ガドリニウムはBBB(血液脳関門)をくぐり抜けて脳内に沈着することが明らかになった。

治療法はどうすればいいか?
以前ワクチンのデトックスに関する記事のなかで、炭を勧めたことがあるが、ガドリニウムに対しても炭を勧めたい。
実際、ガドリニウムに対する炭のデトックス効果を調べたこんな論文がある。
『ガドリニウム造影剤の除去~活性炭の吸着』
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28144867/
この研究で使われたのはグアバやアボカドの種から作った炭だけど、そんなの普通に売ってないだろうから、そこはこだわらなくていい。別に何の炭であってもいいと思う。
さらに、鉄のキレート剤として使われるデフェラシロクスやデフェリプロンにもガドリニウムの除去効果が確かめられているが、日本ではあまり一般的に使われている薬ではない。ただ、ここで汲み取るべき教訓は「鉄のキレート作用を持つ物質が、同時にガドリニウムの除去作用を持つ」ということである。
ガドリニウムは血液毒性があって白血球や赤血球が低下する。一見貧血のように見えて、下手すれば鉄剤を飲み始めたりするかもしれない。しかしこの状態で鉄剤など飲み始めれば、ガドリニウムがますます排出されにくくなってしまう。妙な鉄剤信仰はここでもリスクだよ。
他、サプリ的には、NACやレスベラトロールにガドリニウムの毒性軽減作用が確認されている。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21198628/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28934030/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29035878/
食事による栄養摂取が基本だけど、この患者のように、重金属が根深く蓄積している場合には、ぜひともサプリの助けを借りるといい。

1988年に臨床応用され始め、2016年に致死的副作用が明らかになった。つまり、医療現場で30年近く「問題なし」として普通に使われていた、ということである(というか、今でも使われている。「腎機能が低下した患者に使うときは気をつけましょう」となっただけである)。
みなさん。このガドリニウム造影剤の話からだけでも、現代医療の何たるかが透けて見えてきませんか?
現在、絶賛実施中のコロナワクチンは「安全性に問題ない」とされている。しかしmRNAワクチンという、これまでのワクチンの定義を満たさないようなワクチンであり、長期的な安全性はまったくの未知数である。
「安全」「安全」と言ってきて実はそうではなかった前科が山のようにある現代医学だけど、みなさん、それでもコロナワクチンを信用しますか?