犬が来た

前々からずっと犬が欲しかった。
でも「仕事が忙しいからちゃんと責任持って飼えない」という理由で自粛していた。
しかし、欲しい気持ちが抑えきれない。ほとんど無意識のうちに、ユーチューブで犬の動画を見ていたり、ブリーダーが子犬を売りに出していないか検索していたりする。うーむ、我ながらヤバイ´д` ;
ちょうど、滋賀県のブリーダーがゴールデンレトリバーの子犬が産まれたとのことで、買い手を探していた。電話で問い合わせたところ、「一度下見に来て頂き、気に入ってもらえれば契約、という流れです」とのこと。
まぁ、見に行くだけなら、と思い、ある日の仕事終わりに滋賀に向かった。
まだ生後1ヶ月の子犬。僕の膝の上に乗って、じゃれてきたり、そのまま眠ったりする。胸の底から、今まで感じたことのないような温かさが湧いてくるのを感じた。

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完全にやられてしまった。「飼わない」なんていう選択はあり得なかった。
それどころか、「犬を飼おうと思った決断は、これまでの僕の人生のなかで、間違いなく最高の決断だ」と確信した。
責任が持てない、という理由で飼えないのなら、いつ、責任が持てるようになるのか。多分、そんな日は一生来ない。
「仕事を言い訳にするのではなく、今日、今からでも責任を持つんだ」

猫は飼ったことがある。しかし犬は初めてだ。
犬には犬の飼い方があるだろう。可愛くて仕方ないが、猫可愛がりしてはいけない、ということはわかる(本当は、猫も猫可愛がりしてはいけないんだけど^^;)。
エサのやり方、しつけ方、遊び方など、事前に知識をつけておいた。

名前をどうしようか。
「オーちゃん、ってどう?オーソモレキュラー犬のオーちゃん。今後、ユーチューブで情報発信するとき、マスコットキャラになってくれるかもよ」との助言。
なるほど。オーちゃん。かわいい名前だ。悪くない。しかし、宣伝に使えるかも、っていう下心がね。そういうのじゃなくて、この子は単純に、僕の家族になるんだ。妙な打算は抜きに考えたい。
いろいろ考えて、ロン、と名付けることにした。
「ツモではなくて?」なんて混ぜ返されたけど、麻雀は無関係です^^

桜の咲く頃、ついに、ロンが来た。

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僕の生活は一変した。
散歩に連れて行く。ドッグフードをお湯でふやかして、ご飯を作る。一緒に遊ぶ。
スマホをいじっていると、「遊んでくれ!」と飛びついてくるものだから、勉強してるヒマなんてない^^;
もはや一人寝の夜はない。常に横にいて、一緒に寝る。まだ早朝なのに「遊ぼう」と起こされる。誰に睡眠を邪魔されてもキレる僕だけど、ロンだけは許す^^
僕の性格も一変した。
まだトイレのコントロールが未熟で、部屋のあちこちにオシッコするが、ちゃんと掃除してやる。犬グッズを買いに行くときに車に酔って、僕の膝で嘔吐したが、イライラしない。それどころか、心配で、申し訳なく思う。ウンコもちゃんと掃除してあげる。かわいいロンだから、気にならない。

仕事中も気が気でない。部屋で一人にしておきたくない。
ネットには「部屋に一人になったらなったで、寝たり一人遊びして、それなりに自分の時間を満喫しているから心配することない」という記述があるけど、これは成犬のことで、子犬にも当てはまるのかな。
できることなら、診察中も、おんぶ紐みたいなのをつけて、常に一緒にいてやりたい。
そんなことは当然無理だから、クリニックの休憩時間になると、ソッコーで家に帰る。
すると、僕に飛びかかってくる。家に帰って、誰かにこんなに熱烈に歓迎されることって、人生の中で経験したことがない。

犬を飼っている人の気持ちが、ようやくわかった。毎日散歩してエサをやって、一体何を好きこのんで、そんな手間のかかる生き物を飼っているのか、人生にはもっと大事なことがあるだろう、みたいに思っていた。
僕は傲慢だった。とんでもない思い違いだった。
犬と心を通わせる。こんなに楽しいことは、他にない。
何かを求めて、人生を生きてきた。自分の信じる医療を実践しようとして開業し、ブログやツイッターなどで情報発信に努め、日々何かを求めて戦ってきた。
でもロンと生活し始めてから、そういうのがどうでもいいような気がしてきた。ロンがいて、僕がいて。何だか満ち足りてしまって、「他に何がいるの?」という気持ちになる。
飼い始めてまだ数日だけど、もはやロンのいない生活は考えられない。

これはけっこうヤバいことである。
不満足こそが、人をソクラテスにする。しかし満ち足りた僕は、もはや何も求めない。
求めるとすれば、せいぜい「ロンが喜ぶおやつは何かな?羊とか鹿の生肉をネットで取り寄せてみようかな」ぐらい^^;
noteを月額制にしなくてよかった。それ相応のクオリティを保つブログを毎日発信することは、時間的にも意欲的にも、今の僕には難しそうだ^^;

ツイッターに犬を飼い始めたことをつぶやいたら、僕のフォロワー数からはありえない数の「イイね」がついた。僕がどれだけ頑張ったところで、子犬の破壊力にはまったく敵わないっていう^^;

そう、こんな不思議なこともあった。
家で夕食を食べているとき、ふと、ロンが誰もいない玄関のほうに向かって、激しく吠えている。
ゴールデンは生来あまり吠えない犬種である。しかもまだ上手に吠えられないくらいの子犬なのに、執拗に吠える。「どうしたんや、うるさいで」と制すると、吠えるのをやめた。
後日その話を友人にすると、「あのさ、犬って、"見える"んだよ。犬がよからぬ霊を払ってくれるという文化は世界中に存在する。オバケのQ太郎が犬嫌いというのは、藤子不二雄先生のまったくの独創というわけではないんだ。
でさ、これ、言わなかったけど、前にあっちゃんち行ったとき、霊的にちょっと変だなって思ってたんだよね。ロンがそういうのを追い払ってくれてるんだよ」
ロンがさっそく"仕事"をしてくれた、ということか。
ていうか、僕の部屋、"憑いてる"って知ってたんなら、早く言ってよ´Д`

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どこでも一緒に行きたい。
でもまだ子犬でよちよち歩きしかできないから、一緒に散歩できない。だから、こんなふうに背負って歩いている。
近所に花見に行くにも、スーパーに買い物に行くにも、一緒に連れて行く。
すると、みんながこちらを笑顔で見る。「きゃー超かわいい!」とか女性にしょっちゅう話しかけられて、中には「写真撮ってもいいですか」なんて人もいる。
思ってもみなかった効用である。
ロンのおかげで、今、僕は人生史上、一番"逆ナンパ"されている^^

遊び疲れてこの表情↓

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