怖い話

【症例】30代女性
「夜中にトイレに起きます。それは昔からなんですが、2週間前から、トイレに行った後、寝れなくなってしまって。
子供が夜9時に寝るので、私も一緒に寝ます。トイレに行くのは夜の2時とか3時とか。以前はトイレに行った後も、普通に再入眠できていたんですね。でも、それができなくなって。
これにははっきり、きっかけがあります。
私、寝る前にYouTubeを見ます。2週間前、ある怪談の動画を見たんでが、それが、もう、めちゃくちゃ怖くて。半端じゃない怖さだったんです。
怖すぎて、それ以来、体調がおかしくなりました。まず、寝付きが悪くなりました。ようやく寝ても、やはり深夜に中途覚醒があります。今までなら何も考えずにトイレに行って布団にまた戻って寝れていたのが、怖くてトイレに一人で行けないんです。子供みたいな話で恥ずかしいんですが。
それで最初は、主人を起こしてトイレについてきてもらっていました。でも起こすのも申し訳ないので、今は怖いのをこらえて、一人でトイレに行きます。恐怖と緊張ですっかり目がさえて、布団に戻っても、もう寝るような状態じゃありません。
いろんな怪談の動画を見てきましたから、なんというか、怪談を見る目は肥えているほうだと思います(笑)いつもなら「ああ、怖かった。ああ、おもしろかった」だけで終わるところ、その動画だけは、妙に信憑性があるっていうのかな、恐怖の"ツボ"みたいなのをズボっと突かれた感じです。こんなの見るんじゃなかったって、後悔しています。
霊感はまったくありません。ただ、一度だけ不思議な現象を経験したことがあって、"そういう世界"があるんだろうなとは思います。
この動画を見て以来、怪談の動画を見るのはやめました。ああいうのは軽い気持ちで見ちゃダメだなと思って。今はお笑い系の動画しか見ません(笑)」

話を聞きながら俄然興味がわいたのは、「一体どんな動画なんだ」ということである。
怪談慣れしている女性である。その彼女が恐怖のあまりトラウマになり「もう怪談を見るのをやめる」と決意させてしまうほどの動画とは、一体どれほど怖いのか。

「ある女性に霊が憑りついて、霊能力者がその霊をお祓いするんですが、結局除霊しきれず、その女性が死んでしまう、というのがおおよそのあらすじです。話す人がうまくて、きれいにイメージが浮かんで、そのせいで妙に怖くなって。
主人にも一度その動画を見てもらったんですね。でも主人は、「ふーん」みたいな感じでした。「まぁ怖いといえば怖いけど、いうほどかぁー?」って。
その動画のコメント欄見ても、私ほど怖がってる人はいないみたいでした」

「ぜひその動画を見てみたい。何ていうユーチューバーの投稿ですか?」
診察後、その動画を見てみた。その感想は後ほど。

僕がまずやるべきは、この女性の治療である。ある種のPTSD(心的外傷後ストレス障害)と言っていいだろうが、こういう「心の傷」に対して栄養的にアプローチするなら、まずはナイアシンを勧めたい。拙訳『オーソモレキュラー医学入門』のなかに、日本軍の戦争捕虜になったトラウマのせいでまともに日常生活を送れなかった男性がナイアシンを飲むことでトラウマから解放された話が出てくる。
あるいは、ゲルマニウムが心の傷を癒すこともある。

【症例】20代男性
「ゲルマニウムを飲み始めてから、不思議なことがありました。昔の記憶が鮮明によみがえるんです。たとえば朝、目が覚めたときに、テレビの映像を見るように、昔の映像がよみがえります。いい思い出も悪い思い出も全部です。フラッシュバック、って言うのかな。いえ、そんなにつらい感じはありません。ただ、「ああ、こういうことがあったな」って感じです。確かに自分のことなんですが、映画を見るように、淡々とした気持ちで映像を見ています。このフラッシュバックの経験をしたことで、「自分のうつ症状はトラウマ的な要素がからんでいるのかな」と思いました。
私、中学、高校と陸上をやっていたんですね。短距離走で、毎日ハードな練習をしていました。自分で言うのもなんですが、全国大会で上位入賞したこともあります。でもオーバーワークから故障してしまい、選手生命が断たれてしまいました。そのせいで大学の推薦もとれませんでした。
でも、今でも陸上が好きなんです。テレビなんかで陸上の番組をやっていると、つい見てしまいます。そして、必ず落ち込みます。
なぜ落ち込むのか、自分でも分からなかったんですね。でもゲルマニウムを飲んで、過去の記憶を思い出すようになってから、なぜ自分が落ち込むのか、ようやく分かりました。「自分は深く傷ついていたのだな」と。自分で自分のことって分からないものですね。僕は何となく、「大学の推薦がとれなかったせいでへこんでた」のかなと思っていました。違います。「誰よりも速く走りたい」。その一心で練習に打ち込んできたのに、その夢がついえた。僕はそのことに強いショックを受けていたんだ、ということが、初めて理解できました。

他にもあります。勉強していると、妙に気持ちが下がってくるんですね。「おかしいな」って思ってたんです。たとえば数学の問題を解いてハイになってきて、むしろ楽しく感じるはずのときに、急にうつっぽくなって。自分でもその理由が分かりませんでした。
でもゲルマニウムによるフラッシュバックを経て、気付きました。私は中高一貫の進学校に通っていて、勉強面でもトラウマがあったんですね。劣等感と優越感のうずまく教室の記憶がよみがえって、「ああ、自分はああいう空気がたまらなく苦痛だったんだな」と分かりました。

最近、うつ症状がなくなってきました。有機ゲルマニウムが過去のトラウマを、浄化というか成仏というか、きれいに消し去ってくれたおかげだろうなと自分では感じています。いえ、忘れたわけではありません。記憶はもちろん残っています。でも、かつて感じていた生々しい痛みがすっかり消えた、という感じです。

あと、陸上の記憶を思い出してから、不思議な偶然が連続して起こりました。私にとっては、ユングのシンクロニシティのような劇的な偶然です。
プロ野球選手の○○選手、彼は昔陸上をやっていました。私、全国大会で彼と同じブロックになり、競い合ったことがあります。私の負けでした。つらい記憶です。朝、その記憶を思い出したその日に、○○選手がプロ入りするというニュースを見ました。信じられませんでした。こんな偶然があるのか、と思いました。
他にも、昔陸上の全国大会で知り合って連絡先を交換したけど、携帯の故障のせいで連絡取れなくなった人から、ラインで急に連絡が入ったり。そういう偶然もありました」

有機ゲルマニウムによってうつ病が治った旨の報告はすでに多くあるから、別段特にどうということはない。
ただ、上記患者のような治り方、ゲルマニウムが服用者の心的外傷を癒し、結果、うつ病が治った(少なくとも本人の解釈モデルはそうである)、という話は、僕も初めて聞いた。
浅井ゲルマニウム研究所の中村さんにこの話をしたところ、中村さんいわく、
「過去に同様の話を聞いたことがあります。ただ、かなり珍しいと思います。
うつ病に効く機序としては、カテコールアミンとの相互作用で精神的緊張を緩和する可能性がありますし、ドーパミンとの作用性による脳神経系への影響もあろうかと思います」

以前のブログで、レシチンで過去のトラウマが消失した、という話を書いたけど、この人もゲルマニウムを飲んでいた。
実はレシチンの作用ではなくて、ゲルマニウムの効果だったのかもしれない。