荒川央先生のレクチャー3

西洋医学は病気の症状が治療対象です。でも症状は、病気が起こしているものもあれば、そうじゃないものもある。つまり、体が病気を治そうとする、その改善プロセスが症状という形をとって現れていることもある。典型的には風邪です。熱が出たり咳が出たり。ああいうのは体がそういう症状を起こすことで、抵抗力を高めて病原物質を追い出そうとする作用だと言えます。
あるいは高血圧。医者はこれを症状と見て、すぐに降圧薬を処方しようとしますが、なぜ血圧が高いのか、その背景を考える必要があります。体は、末梢に血液を送ろうとして必死に血圧をあげている。症状どころか、体の適応能力そのものかもしれない。
こういうことを踏まえて、ワクチン接種者では制御性T細胞が増加していることを考えてみる。この事実をどう解釈すべきでしょうか?一見異常なことに思えますが、免疫系の暴走が起こっていてそれを鎮めるために特定のT細胞だけが増えているとすれば、これはむしろ正常な反応かもしれません。
接種者のIgG4抗体の増加も同様です。なるほど確かに、この抗体価の上昇だけを見れば異常ですが、特定の種類の抗体だけが増えることで、たとえば抗体依存性自己攻撃をもっと穏やかな反応に置き換えようとする反応なのかもしれない。
このあたりのことは、まだ結論は出ないと思います。

ワクチン接種後免疫不全

ワクチンによる強い免疫刺激のせいで、免疫不全になる可能性を心配しています。免疫担当細胞が一時的に(もしくは継続的に)枯渇するのではないか、と。
免疫が健全に働いているときの特徴として、増えた後に減るというのがあります。よく分かっているのは、たとえばB細胞の増減。B細胞表面の抗体に抗原をたくさんつけると、抗体と抗体がクロスに橋渡しされる(架橋)。こんな具合にB細胞に抗体の刺激を与えると、2種類の正反対の反応が起こります。ひとつは活性化の刺激。もうひとつは細胞死の刺激。活性化して抗体を作るけれども、そういう細胞はしばらくすると死んでしまう。なぜか?
戦争しているとき、兵隊は大事です。軍事力を増やす必要があります。しかし戦争が終われば、過大な軍隊はむしろ邪魔です。抗体を一度増やした後に、それを鎮めるような反応が起こります。あまりにも強く活性化された免疫系に揺り戻しが起こるんですね。
あともうひとつ、免疫不全が起こる原因として、これは個人的な憶測であって議論のやりようがありませんが、ワクチンにそういう成分が入っている可能性を疑っています。これは誰にも分かりません。このワクチンを作った人にしか分からないことです。ただ、免疫を抑制するような特殊な働きをする物質が入ってないか、そういう可能性も一応念頭に置いています。

免疫不全が起こればその後何が起こるか?
当然予想されるのは、まず感染症の増加。免疫というのは生命力そのものです。たとえば、僕らが常在菌(腸内細菌、皮膚常在菌含め)と共生関係を築いたり、外界の菌やウイルスをやり過ごせているのは免疫のおかげです。
コロナワクチン接種後に帯状疱疹を生じた人は無数にいます。あまりにも多いので、病院のほうでもいちいち症例報告をあげてないと思う。
みなさんご存知のように、一度帯状疱疹にかかったことがある人は、治ったとしても、帯状疱疹ウイルスが消えたのではありません。ウイルスは神経節に潜んでいます。免疫系の働きでウイルスの活性化を抑制しているわけです。だから、帯状疱疹ワクチンなんて打っても意味ないですよ。帯状疱疹が出ているということは、免疫がウイルスを抑えられなくなっているということ。免疫不全そのものです。
癌も増えています。よく言われているように、健常者の体内でも毎日癌細胞ができていますが、免疫がそれを排除しています。しかしブースター接種開始後、胚中心(germinal center)由来の癌が急に増えました

特殊なリンパ球由来の癌だから、ワクチンには特に胚中心に作用する機序が何かあるのかもしれません。
僕の周りでもいろんな癌の話を聞きます。直接的な知人、あるいは知人の知人など。僕のnoteのコメント欄に、心臓の癌を発症したという投稿がありました。心臓はめったに癌になりません。心筋細胞は増えにくい性質なんです。癌は細胞増殖の制御機構の異常だから、もともと増えやすい細胞は癌になる余地がありますが、増えない細胞は癌になりにくいんです。そんな細胞さえ癌化する可能性があるわけです。
あと、これはほとんど指摘されていないことですが、個人的に気になっていることがあります。NK細胞はB細胞やT細胞と違って新しい受容体を作ることはないけれども、異常に陥った自己細胞を除去する働きがあります。ワクチン接種後に癌が増えている背景には、NK細胞が減少している可能性がないかなと疑っています。このあたりは詳しい血液検査で分かると思います。

コロナワクチン統計とその問題点

もう、問題点だらけです。具体的に見ていきましょう。

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(22)00089-7/fulltext

これはスウェーデンのコホート研究です。ワクチンの有効性を、コロナ感染者(といってもPCR陽性ですが)とコロナ感染による入院/重症化で評価すると、ワクチン接種以後、だんだん有効性が減ってきて、8か月経てばマイナスに転じる。接種者は未接種者よりも感染や重症化しやすくなる、ということです。しかも接種から最初の2週間は、接種として数えないという『魔の2週間』もある。この時点で、打った人を打ってないとカウントしている時点で、明らかに詐欺だと思います。
時間が経てば有効性が低下し、マイナスにさえなる。こういう統計で気になるのは、メモリーB細胞は本当にすぐそんなになくなるものなのか、ということです。ワクチンは免疫記憶、つまりメモリー細胞を作ることが目的ではあるけれども、メモリー細胞というのは実は定義できるものではありません。免疫学の教科書には、まるで存在することが当然のように書いてありますが、本当はよく分かっていません。どうやって作られるのか、作られるとして、どれくらいの間いるのか、一生ものなのか、すぐに消えるのか。
僕の博士論文は三部作になっているんだけど、その第三部には当時僕が考えていた仮説を並べています。『メモリー細胞は存在しない』という仮説もそのひとつです。僕が提唱したのは、『メモリー細胞は、細胞、抗原、抗体からなるシステムであって、メモリー細胞という実体だけを追いかけても本質は見えないのではないか』ということです。
このグラフで疑問なのは、本当にワクチンの有効率が減少しているのか、ということです。ワクチンの有効率はそんなに低下してないけれども、全体的に免疫不全が起こっていて、それで差し引きこういうグラフになっている可能性はないか。そういうのが気になっています。


コロナ統計の問題点として最初に指摘しておきたいのは、日本ではワクチンの接種、未接種の定義が厚労省のウェブサイトを見ても書いていない。つまり、そもそも接種、未接種の定義がないんです。だからワクチンが効いてるかどうかの評価も本来不可能なはずです。
さらに、PCR陽性をコロナ感染としているのもおかしい。たとえばヘルペスウイルスは大半の人が持っている。ある人が癌になったとして、PCR検査でヘルペスウイルスが検出された。じゃあ、ヘルペスウイルスが癌の原因か?そんなこと分かるわけがない。でも実際にはこんなデタラメが3年近く続いている。
仮にコロナウイルスを保有しているとして、活性のない死骸のウイルスかもしれない。鼻に綿棒を突っ込んで検査しても、誰かのくしゃみで飛んできたウイルスの死骸が鼻に張り付いただけかもしれない。体のなかで増えているかどうかは分からない。
さらに、国は今後ワクチン接種回数を公表しないと言っているし、『ワクチン接種者はPCR検査を免除』みたいな優遇があったりする。多くのバイアスがあるわけです。

各国のコホート研究では、ワクチンの有効性をコロナ感染(PCR陽性)と感染による重症化だけを対象にしていますが、他の病気との兼ね合いはどうか。そこまで調べる必要がある。コロナにかかりやすくなるだけなら、抗原原罪とかADEで説明がつくけれども、他の感染症にもかかりやすくなっているかどうか、そこは調べないと分かりません。
さらに、接種から最初の2週間は未接種扱いしている。ワクチン接種者を未接種者と見なすという、前例のない数え方をしている。2週間の間にコロナにかかって死亡して、未接種者のコロナ死としてカウントされるとすれば、こんなひどいデタラメはない。
あと、気になっているのは、コロナワクチン後遺症を勝手にコロナの症状としているのではないか、ということ。3回目、4回目接種者に重症化が少ないというのも、もしかしたら、免疫不全で抗体依存性自己攻撃があまり起きなくなっていて、それを「副反応が軽くてよかった」なんて言っているのかもしれない。すでに免疫異常が起こっている可能性を考える必要があります。

普通、ワクチンは開発に10年以上かかります。長期の安全性を確認するのに、どうしてもそれだけの時間が必要なんです。しかし、コロナ禍の始まりからわずか数か月で完成したワクチンを、一体どうして信じることができるのでしょうか。
ツイッターなどでワクチンの安全性に疑問を唱えれば、ワクチン推進派から攻撃されます。彼ら、「mRNAのメカニズムから言ってリスクはあり得ない」とか、とんでもないワクチン擁護を展開します。
いいですか。医薬品の安全性を検証する際、『理論的に危険』はあり得ても、『理論的に安全』というのはあり得ないんです。人体の複雑さを考えれば、予想外のイレギュラーなんていくらでもあり得ます。
ワクチン否定派が「これこれこういう理由でワクチンは危険だ」と言うと、ワクチン推進派は「その証拠はない」などと言ってくるんだけど、これは、論理的には「コロナワクチンは危険でない可能性がある」と言っているだけです。安全である可能性もあるけど、安全である証拠なんてあるはずがないんです。

有意か否か。
これは有意水準の数値次第です。統計はall or nothingではなくて、確率です。95%有意水準の中に入っていれば正しいかというと、そうじゃありません。

最後、本質的なことだけど、捏造、改竄、隠蔽している可能性はないでしょうか。厚労省のデータもどこまで信用できるか分かりません。
可能かどうかわかりませんが、信用できるデータを自前でとる必要があると思う。有志医師の会や協力病院でデータを集められないか。別に難しくありません。普段の診療の中で、ワクチンを何回打ってるか、打ってないか、を付け加えるだけです。ワクチン打ってる人にはこういう病気が多い、打ってない人には少ない、という傾向が見えるかもしれない。統計の得意な人に共通入力フォーマットを作ってもらえば、どんどんデータが増えるかもしれない」