グルタミン酸と自閉症2

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マグネシウムの不足に加えて、カルシウム濃度が高いと、カルシウムがニューロンに流入しやすくなり、プロスタグランジン系が活性化する。
テレビなどで「日本人はカルシウムが不足しがち」というフレーズをよく耳にするでしょ。あれは牛乳産業のステマじゃないかな。カルシウムはあえて補わなくていい(ついでに言うと鉄剤もいらんよ)。特に牛乳の多飲はカルシウム補給になるどころか、骨の脱灰が促進されることになる。補うならマグネシウムだよ。

「細胞膜にあるアラキドン酸に対しCOXが作用して、炎症物質のプロスタグランジンが生成される」という知識は、医者の専売特許ではない。生物系や薬学部出身者も知っている。テストに必ず出るから語呂合わせでも何でも使って覚える。みんな一度は通る道なんだよね。
そう、PGE2である。これが脳の炎症を起こす。さらにこのとき大量のフリーラジカル(たとえばスーパーオキサイド)が発生する。
カルシウムは、同時に一酸化窒素合成酵素の活性化をも促進する。これによって細胞内での一酸化窒素産生が高まる。
一酸化窒素やスーパーオキサイドの過剰が、過酸化亜硝酸(ペルオキシニトライト)というフリーラジカルを大量発生させる。過酸化亜硝酸は、自閉症に限らず、あらゆる神経変性疾患患者の脳内で高濃度に見られる。
なぜ過酸化亜硝酸が悪いのか。酵素系の働きを阻害し、ミトコンドリアの機能を抑制するからだ。
このように、グルタミン酸をトリガーとする炎症カスケードが展開すると、サイトカインやプロスタグランジンが脳内で荒れ狂うことになる。

グルタミン酸は諸刃の剣である。脳はそのことを百も承知だから、グルタミン酸の興奮毒性から脳を保護するシステムを備えているが、自閉症ではそのシステムも破綻している。

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脳の保護システムの第1はグルタミン酸輸送タンパク(EAAT)である。
過剰のグルタミン酸が分泌されていると、EAATが結合し、これを星状細胞に押し込む。これにより脳が守られる。しかしEAATはフリーラジカルへの感受性が強いため、炎症があると機能が抑制されてしまう。自閉症児の脳内や血中に高濃度のグルタミンが見られるのはこのせいである。
ちなみに、EAATは水銀にも弱い。超極微量、ナノレベルの水銀に曝露するだけで、EAATは機能不全に陥る。
EAATがダメになると、特に炎症ではない通常レベルのグルタミン酸であっても、興奮毒として作用することになる(保護機構の破綻による閾値の低下)。

グルタミン酸毒性に対する第2の防御。それはグルタチオンによるものだ。星状細胞内にあるシステイン-グルタミン酸対向輸送体は、2分子のシステインと引き換えにグルタミン酸を外へ汲み出す。細胞内に流入したシステインから、グルタチオンが作られる。しかしニューロンの外部でグルタミン酸濃度が高すぎると、システインが細胞内に入れず、グルタチオン濃度が低下する。すると細胞が脆弱になる。自閉症児ではグルタチオン濃度が低いのはこのためである。

グルタミン酸を減らす第3の方法は、酵素系の働きである。
まず、グルタミン合成酵素。星状細胞の内部にあり、細胞内のグルタミン酸をグルタミンに変換する。自閉症児では血中のグルタミンが低い。この酵素の活性が落ちているためだ。
グルタミン酸脱水素酵素。これはグルタミン酸をαケトグルタル酸によってクレブス回路に引き込み、代謝する。
さらに、グルタミン酸脱炭酸酵素。これはGABAを作る酵素でもある。GABAは抑制系の神経伝達物質で、脳を興奮毒から守ってくれる。
これらの三つの酵素は、いずれもフラーラジカルに極めて弱い。水銀にも弱いし、アルミにも弱い。簡単に酵素活性を失ってしまう。

第1、第2、第3、どの防御方法も重要だけど、あえて一番重要なのを挙げれば、グルタミン酸輸送体(EAAT)だ。
人間は、お母さんのおなかの外に出てから人生が始まるのではない。胎児の時点から、すでに人生が始まっている。特に脳の形成にとって、子宮内~生後2年頃が極めて重要である。この時期、児の脳内ではグルタミン酸輸送体の発現量が増え始める。その理由は、過剰なグルタミン酸から脳を守るためだ。
この輸送タンパクの発現を阻害するものはすべて、例外なく、発達過程の脳を危険にさらすことになる。たとえば水銀に曝露すると、EAATの機能が麻痺する。さらに炎症がフリーラジカルや脂質過酸化物を生み出し、脳の発達に異常が出る。
水俣湾で水揚げされた魚を食べたお母さんがどんな子供を生んだのか。分娩は特に問題ない。しかし出生後、言葉を話さない、首が座らない、歩行ができない(胎児性水俣病)。日本人はすでに1950年代に水銀の悲劇を経験したはずなんだ。しかしもはや誰も覚えていない。
「妊娠中にインフルエンザにかかると重症化しやすいため、ワクチンを打ちましょう」という主張が、検索すればたくさん出てくる。

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妊娠中のインフルエンザワクチン接種で、児が病気になるどころか、低体重出産を防ぐ効果さえ示されたという。不思議だね。以前のブログと重複するからここでは書かないが、ワクチンに含まれている有害物質は水銀だけではない。様々な毒物のカクテルを注入して、かえって健康上のメリットがあるというんだから、実に不思議だ。
しかしもちろん、こんな研究は少数派である。Russell Blaylock博士はこう述べている。
「すべての妊婦はインフルエンザワクチン(H1N1型)を接種すべき、という主張があります。妊婦は一般人よりもこのウイルスに対する危険性が高いのだ、と。
そこで私は、政府資料からNEIMなどの学術誌まで、手に入る限りすべてのデータを集めて読みました。そして分かったのは、このウイルスによる妊婦の死亡率は、他の季節性インフルエンザと何ら変わらないということです。まったくのでっち上げ、ということです。全部嘘なんです。
逆に、研究者が言わないことがあります。免疫刺激が妊婦および胎児に何を起こすのか、ということです。妊娠中にインフルエンザにかかると、児の自閉症や統合失調症の発症率が高まります。妊娠した動物で簡単に確認することができます。これは免疫興奮毒性によるものです。
この結果を見て、最初研究者は「胎児は臍帯経由でインフルエンザウイルスに感染しているに違いない」と考えました。しかし別の実験で、感染性微生物を使わなくとも、母体の免疫系を刺激してやるだけで、同じ結果が得られることが分かりました。ウイルスは無関係です。アジュバントの入ったワクチンを使えば、まったく同じことが起こります。
この研究は再現性が高く、他の研究者によって何度も確認されています。実に、25以上の研究が、母体のインフルエンザ感染が出生した児の自閉症および統合失調症の関連性を示唆しています。12000人の妊婦を対象とした研究で、妊娠第二期のインフルエンザ感染は子供の統合失調症の発症率を3~7倍に引き上げます。統合失調症のうち、14~21%は母体の感染に起因するものだと考えられます」

日本では妊娠は「十月十日(とつきとおか)」というけど、英語圏では9 months。9は3で割れるから、妊娠を第1期から第3期に分けるのが通例になってる。妊娠第二期は14週から27週を指す。
研究者はこの時期の母体の病原菌感染が胎児の脳神経系の発達に影響することを見出した。当初、ウイルス自身が胎児の脳に侵入しそれが自閉症や統合失調症を起こすと思われたが、その後の研究でこれに反する強いエビデンスが得られた。
・胎児の脳内にウイルスが存在しない。
・炎症物質(二重鎖RNAあるいはLPS(リポ多糖))を使えば、感染を起こすことなく母体の強い免疫反応を誘導することができ、ウイルスを使った場合と同様の胎児の行動変化や組織学的変化を惹起することができる。

妊娠第二期のインフルエンザ感染が胎児に悪影響を与えるわけだけど、かといって、その予防のためにワクチンを打ったところで、そのワクチン自体のアジュバントが母体の炎症を引き起こし、その炎症が胎児に悪影響を与える。
つまり、ワクチンに救いを求めてはいけない、ということです。
これだけの研究データがあるのに、妊婦に堂々とインフルエンザワクチン接種を勧めるというのは、ほとんど犯罪的だと思うんですけど。。。

【参考】
Dr. Russell Blaylock “Vaccines and Immunoexcitotoxicity”