「神保町バブル戦争」への不当な圧力


 私は神田神保町に生まれ育ち、東京キララ社という出版社を営んでいます。神保町は最近でこそ、カレー屋やレトロ喫茶などが話題になりますが、もともと古本屋街をはじめ出版社、印刷屋、製本屋、写植屋、取次などが集まる「本の街」。そして知られざる一面ですが、バブル時における「地上げの発祥地」でもあります。
 もともと私の実家は「美成社」という製本工場を営んでいましたが、1980年代に入ると神保町2丁目にあった映画館「東洋キネマ」の跡地から始まる地上げ合戦に巻き込まれ、知らず知らずのうちに不動産の評価額が60億円を超えるようになりました。それに伴い、ヤクザ、右翼、地上げ屋、事件屋など胡散臭い人物が実家にものすごい勢いで集まり蹂躙されていったのが、私の10代の頃。因みにその中にはまだ『突破者』を出版する前の宮崎学もいました。
 その胡散臭い人物を追い出すという名目で現れた人物・下野順一郎(別名:増尾由太郎)による洗脳、乗っ取り、支配、様々な不法行為を告発するため、また私と同じような問題で悩む人たちを励まし、その予備軍へ警鐘を鳴らすために始めた連載が「HAGAZINE(現・DOZiNE)」の「神保町バブル戦争」です。
 全11回の連載に対し、様々な反響をいただき、中には30年以上前に下野順一郎から被害を受けた時のトラウマから未だに立ち直れていない女性、そして現在進行形で彼の活動に不信感を持つ人などからも連絡をいただきました。その連載は2020年8月21日にアップした「コロンブスと酋長の息子」以来止まっています。理由は単純、下野順一郎がその記事を「名誉毀損」だと訴えてきたからです。当然、私も代理人を立てなければならず、その時点で担当弁護士から「裁判が最終的に確定するまで新たな記事はアップしないでください」と忠告されていました。
 私としてはなぜこれほどまでに人生を蹂躙されるほどの屈辱を受けてきましたし、下野順一郎と母・中村怜子が結託し、親や祖母をはじめとする創業者一族を追い出し、親族との縁を強制的に切られてきました。私はこの三十数年間、詐欺的行為や様々な違法行為により私が受けてきた、極めて特異で常軌を逸した被害を世に訴え続けるつもりでした。しかし「なぜ被害者が加害者の感情を慮らなければならないのか」と葛藤しつつも、「中村家を取り戻す」という人生をかけた闘いのため、弁護士の言うことに従いました。
 名誉毀損かどうかなど、私のweb連載に関する裁判の争点は「事実である」ことと「公共性、公益性がある」こと。この件に関しては地裁、高裁の判決が出て、「公共性」は大方私の言い分が大方認められていますが、その他は未だ係争中
です。下野順一郎が訴えた損害賠償金が1,100万円、それに対し認められた金額がわずか44万円というのが現状です。それをもって私は担当弁護士に「連載を再開したい」と相談しましたが、「まだ控訴(または上告)中なので、もう少し我慢してほしい」ということで、現時点まで新たな記事をアップすることは控えていました。
 ところが、相手側は違いました。公共性と真実性は認めながらも、「ごく一部の表現が過激である」と指摘されている部分のみをトリミングして、「DOZiNE」が使用しているサーバー会社(エックスサーバー)に記事の削除を訴えてきました。執拗に何度も何度も、相手側の西川一八弁護士が訴えてきましたが、そもそも係争中でありまだ裁判で確定していない事柄です。それをあたかも「このまま確定する
のは間違いない」という根拠のない主張をしています。弁護士の地位を利用した強硬な姿勢に屈したのか、とうとう根負けしたエックスサーバーが期限を切って私の連載を削除すると通告してきました。どの箇所がどのように問題なのかも、私たちには開示されていません。私はずっと思ってきましたが、これはやはり「スラップ訴訟」です。ようは自身の犯罪を暴露されるのを防ぐために起こした不当な裁判だと私は確信しています。
 金と力があれば何とでもできる、という嫌な時代、嫌な世の中ですが、私は中村保夫個人としてだけでなく、出版社の代表としても「言論の自由」「表現の自由」という民主主義の根幹となるもっとも大切な権利を行使し、ペンで闘っていく所存です。これまでの連載よりも遥かに機動性が向上するのがこのnoteで、日々事実を公表し、同じように乗っ取りや詐欺で苦しむ人たちに、私の人生を犠牲に得た知恵と勇気を分け与えたいと思います。この日本は詐欺天国です。日常生活の至る所にトラップが張り巡らされています。実際に1日に何十通もフィシング詐欺のメールが皆さんにも届いていることでしょう。他人を欺き財産を騙し取る人間に厳罰を。私の様々な実体験もこれから執筆していくつもりです。私の身に起きた不条理を公開することが少しでもお役に立てたら幸いです。


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