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愛しのマフオさん

 マフオさんは私の人生の中でも一番長く一緒の時間を過ごしているオスです。 ジャックラッセルテリア、17才、マフオは最初からマフオだった訳ではありません。 生まれは日本ですが、ご先祖様はイギリスの狩猟犬です。 由緒ある家系に生まれました。 ですから最初はマフィンと言う名前でした。 はからずもイングリッシュマフィンのマフィンです。
何年か前に娘が「マフィンももう日本に帰化したらいいのに」と言ってマフオと改名しました。 マフオもなんでも良かったのかすんなり受け入れました。

 この所3月だと言うのに寒い日が多かったなか、今日は文句の付け所のないのどかな晴天です。 去年17才の誕生日にせっかく買った犬用のベビーカーのようなものがあるので、そうだちょっと遠くまでお出かけしようと思い立ちました。 というのも最近マフちゃんは、後ろ脚が踏ん張れないので、朝夕2回、近くの公園をショートカットでようやく歩く程度です。
もともと抱っこされるのは嫌いというか、プライドが許さないみたいだったのに段差の手前で、じっと私をみつめてきます。 私は喜び勇んで抱っこしてあげるのに、当人あさっての方を見てます。 
思えば、3年前位までは、毎日1時間以上歩いていました。
若い女の子が好きで、散歩中いつのまにか、高校生の女子たちの輪の中にちゃっかりおすわりして、笑われていました。
病院がいやになったのはつい最近です。 受付のおねえさんが大好きで喜び勇んで予防注射に行く大馬鹿者でした。
そんなマフオも今やママがたよりのよちよちです。 人間で言ったら84才くらいです。 朝マフオがおきてウロウロしてる気配で私は起きます。
引き戸を開けるとおねえさん座りで、私が起きるのを待っているマフオがいます。 私はとるものもとりあえず、脱ぎ捨ててあるオムツをつけ、リードをつけて外に出ます。 マンションを出て通りを渡ったところで、おしっこして、帰りにうんちして、という感じでしたが、最近は早くすれば帰ってごはんというのを学習したのか、おむつしてるから、おしっこは早々にして、通り渡らなくてもうんちするので、あっと言う間です。
食欲は相変わらずなので、物凄いいきおいでご飯を食べるのですが、足が踏ん張れないので、じょじょに足が開いていって、かえるのようになりながらも食べ終わった皿まで舐めつくしています。 この食欲のおかげで、元気です。もうマフちゃんの幼馴染はみんな天国いってしまいました。

 私は去年仕事を辞めたので、このマフちゃんの老年期に一緒にいる時間がたくさんできて良かったなと思ってます。
それでも去年の暮からお正月にかけて10日間くらいマフちゃんの下痢がつづいた時は、その始末に明け暮れて、ついに「いい加減にして」とマフオのおしりをはたいてしまいました。 マフオもぎゃあぎゃあ言って、私に何するんだと立ち向かってきたので、なかなかの喧嘩でした。
結局「ママが悪かった」と私が誤って、マフオが私の顔ペロッとして、仲直りしました。 マフオは自分がやらかした時はほとぼりが冷めるまで、身を隠し、頃合いを見計らってペロッてしにきます。 どっちが悪いか、解ってるんですよ。  それでも最近は多少ボケているのか、得に私が夕飯を食べている時、家の中を行ったり来たり、ずーっとトコトコ歩き続けます。
「なにしてるの?」と聞くと、一瞬えって顔しますが、これだって私が忙しい日々を送っていたら、イライラしちゃうかもしれないです。
最近は慣れたので、マフオが行き来する中私は晩酌しながらご飯です。

 元来ベタベタされるのが嫌いなマフオです。
若い時は抱きしめると怒られて、「あなたはペットなんだから、少しはママを癒しなさい」と説教したこともありました。
自立心が強いのはいいのですが、甘えべたです。 でも最近動きが緩慢になったので隙だらけです。  目も耳も衰えているようですが、悲観することも、イライラもしないので、愛おしいです。 散歩から帰ってきて、お口とか手足をふく時は絶好のチャンスです。 さっさとやらずに時間をかけて、チューしたり、抱きしめたりしちゃいます。 でもマフオはここを我慢したらご褒美もらえるのわかってるから、おこりません。 そして薄いジャーキーのためならジャンプも出来てしまいます。  そして最近は見えてるのかわからないけど、よく私のことをじーっと見つめてくるので、私もじーっと見つめ返します。 キャリーを買うとき約束したので、20まで頑張ってねと思います。

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