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政界にいつまでも居座り続ける長老議員たちに気持ちよく引退していただくたった縺イ縺ィ縺、縺ョの方法

自民党の二階俊博前幹事長(82)は2日、来月7日投開票で調整されている衆院選に立候補する意向を明らかにした。

この状況では出ざるを得んだろうね。引退して息子を後継に出そうもんなら世耕さんが音速で待ったをかけにくるだろうし、そうなりゃ保守分裂選挙だろうしね。ただまぁ出る出る言っといて公示後になぜか急に都合よく体調不良とかで立候補を取りやめるって選択肢もないわけではないかもしれないけどね。

それはともかく。

御年82歳の政界の妖怪が、定年なんぞどこ吹く風でいまだに選挙に立候補できるのはなにが原因でなにが問題なんでしょうか。どうすればこういう方に縁側で猫でも抱いててもらえるようになるんでしょうか。どうすりゃいつまでも議席にしがみつく長老議員に引導を渡せるのでしょうか。答えから先に言ってしまえば、

それは小選挙区制度の廃止、中選挙区制の復活ですよ。

現在の衆議院は小選挙区比例代表並立制です。小選挙区制というのは定数が1の選挙区が全国に289あって、それぞれの選挙区で1位になった一人だけが当選するといういたってシンプルなルール。

そして日本は政党政治を基礎としており、基本的に政党単位で候補者も立候補し、選挙戦もそれにそって行われていることになっています。

そうなると各選挙区において各政党からは一人しか立候補させられないということになります。一人しか当選しないのに二人立候補させても票を食い合うだけで無駄どころかマイナスですからね。なので各政党からは一人しか立候補させない、公認しないということになりますね。

ここで問題になるのが、自民党の公認候補を選ぶ基準「現職優先」です。前回当選した議員はそのまま次回も公認するというルールです。勝った議員=当該選挙において選挙に強い議員なんですから、わざわざ辞めさせる道理がありません。自民党としては次も勝っていただいて、国会の議席を一議席でも上積みしないといけませんから。ただそうなると、勝ち続ける限りその議員は公認され続ける=自民党の新人に新規参入のチャンスはないということになります。

そもそも論として、長老議員が生まれるような選挙区ってのは基本的に自民党が強いんですよ。自民党が強いから連続当選できるし、連続当選できるから長老として権勢を振るえるんですよ。まぁその逆としてそこまで強い議員が育ったから選挙区も自民党色に染まるという場合もあるでしょうが、結論は同じです。そんな選挙区で当選回数を重ねた自民党の重鎮を野党のヒヨッコ新人議員(そんな選挙区で野党の実力者が育つ(=当選回数を重ねられる)わけないでしょ)が倒す?無理に決まってるでしょ。

野党のヒヨッコは長老を倒せないし、だから長老は当選するし、だから次も長老が出るし、っていう当たり前のことが当たり前に起こってるだけのお話です。なんにも難しいことはない。

自民党の新人は絶対に立候補できない+野党のヒヨッコでは逆立ちしても勝てない、そうなると新陳代謝も世代交代も起こりません。ただ大昔に初当選したことがあるというだけの議員がそのまま当選し続けるだけの選挙区になってしまいます。

選挙の結果ってのは神聖なもので、それぞれの選挙区における有権者の選択の結果ですしそれは最大限尊重されるべきことです。ですからそれをおいそれと批判することはしたくないし、実際にそこに異議を唱えるつもりもありません。ただ、有権者が選択する際に、本当に選択肢は提示されていたのですか?と。政党政治であり小選挙区制ある限り、自民党支持者は自民党の公認候補に投票せざるを得ません。現職優先というルールで自民党の新人という選択肢を奪ってはいませんか?と。

せめて予備選でもやっていれば党内の第二候補という選択肢もできるのですが、あいにく日本では予備選はやってませんし、どんなに優れた自民党の新人がいたとしてもそれを有権者は選ぶことはできないのです。

しかしこれが中選挙区制だったら?
中選挙区制では複数人の定数がありますから、各政党複数の候補者を立てることができます。定数が3以上なら与党は必ず複数の候補者を立てます(そうしないと原理的に多数を握る(=与党になる)ことができないから)。さすがに定数2の選挙区に二人の公認候補を立てるってのはやりすぎですが、実際にやったりもするので(民主党政権時代の参議院選挙では定数2の選挙区に二人の公認候補を立てた)ないわけでもないですね。(この話は小選挙区制における公認と同じ病巣をはらんでいるのですが、ここで書くととっちらかるので末尾に書きますね。興味があったら読んでください)

まぁそれはそれとして、各選挙区に複数の候補者が立てられるような状況になったらどうなるか。各選挙区において自民党の候補者同士で争い、潰し合い、殺し合い、それぞれの有権者が自身がよりよいと判断する候補に投票することができるようになるわけです。そこには小選挙区制におけるような絶対的な強者はいません。中選挙区制においては身内も敵ですからあぐらをかいてたらあっという間に討たれてしまいます。自民党同士でよりすぐれた候補者を選ぶことができ、有権者に飽きられた候補者にはご退場を願うことが可能になるわけです。野党に勝ち続けることはできても、自民党にまで勝ち続けられるのは大変なことですよ。小選挙区制においては誰もその進退を脅かすことができなかった長老に対して、中選挙区制であれば堂々と向こう正面を張って政治生命を絶ちにいけるんですよ。(まぁそこまで簡単に政治生命を絶たれるようなたぬきもそうはいないと思いますが)ただ、新人であろうと誰であろうと勝負に行ける、有権者の審判を仰げるというのはなにものにも替えがたい利点であると思いますね。

先の世紀末頃に特に流行ってもいなかったけどこんなセリフもあったよね、「ビルの谷間のラーメン屋」って。まぁそのラーメン屋も二世議員なんですがね。小渕恵三っていうんですがね。
それはそれとして、中選挙区制なら立派なビルの谷間にラーメン屋くらい建てられるんですよ。いつまでたってもよくわからんビルが1軒建ってるだけの小選挙区制が導入された25年前と同じ景色ではなく、一旗揚げようってラーメン屋が店を構えることができる、そこがうまけりゃ応援してあげることもできる、そんな時代にしたらいいじゃないですか。

政治とカネの問題だの、日本にも二大政党制をだのと言って中選挙区制を廃して小選挙区制を導入して25年。四半世紀も経ってしまいましたよ。そろそろ選挙制度改革を、あのとき以上の真剣さと熱量でやりましょうよ。



【閑話】定数2の選挙区という究極のぬるま湯
政党政治+二大政党制という政治状況において、「定数2」というのは究極のぬるま湯です。小選挙区ならば与野党が激突して激しい戦いが繰り広げられます。51vs49なのか、49vs51なのかで天国と地獄くらいに世界が変わるわけですから。ところが、これが定数2だとどうなるか。与党と野党第一党で1議席ずつ分け合うという形で安定してしまうのです。両陣営がどれだけ頑張ろうとこの均衡は崩れません。これを崩すのは与党がダブルスコアで勝てるという圧倒的な風が吹いたときだけ。その時は2議席中2議席を与党が占めることが可能になるわけですから波乱も起き得るんです。2議席目指して与党が2候補立てるとかね。ですが普通はそんなに差はつかないので与党1&野党1で安定するんです。どんだけ真剣にやってもどんなに手を抜いても結果は同じ。与党1&野党1。だから必然的に腐るんですよ。努力する必要がないんですから。
そこに手を入れたのが小沢一郎。まぁさすが小沢一郎と言っておきますか。参議院の定数2の選挙区に小沢一郎は民主党から二人立候補させるんですね。先に書きましたが、ダブルスコアでもないと相手の1を奪えないということは、逆にいうとよっぽどのことがないかぎり二人擁立してもどっちかは当選するんですよ。だったら競わせて真剣に走らせてお互いに票を掘り起こさせた方が党的によくね?っていうね。あの定数2にひたっていた肥満児をぬるま湯から叩き出して本気で走らせるような、鬼教官みたいな真似したの小沢一郎くらいじゃないですかね。あれはあれでおもしろかったな。
という思い出話でした。

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