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【ネタバレなし】ドラマ「ロキ」の魅力

 初めまして、コンテナ店子と言います。

 今回は、Disney+で配信されているマーベル映画シリーズのドラマ版である、ロキのレビューをしていこうと思っています。自分は一応MCUのファンで、映画シリーズはもちろんドラマシリーズも含めて正史と言われている実写シリーズは全て見てきました。

 かなり好きな作品が多い一方で、全部が全部好きな訳ではありません。ガーディアンシリーズなど2作品とも年間のベスト映画ランキングに入るレベルで素晴らしいと思っている作品もあれば、あんまり好きじゃない作品もたまにあります。

 そんな中で、ロキが所属しているマイティソーシリーズはどうかというと、そんなに調子いいとは思ってないです。1作目はまぁまぁ好きだったのですが、2作目がけっこうごちゃごちゃしててかなり好きじゃないです。ただ、3作目のバトルロイヤルはかなり良かったです。中途半端なシリアス要素だったり神話らしさという部分をかなり減らして、アホで派手なアクションコメディになったので、そこがすごく笑えましたし、楽しく見ることが出来ました。

 そして、本作は見る前の期待値はというと、かなり、興味を向けていました。MCUの中では初めて悪役に焦点を当てた作品だったし、予告編の雰囲気がダークな感じでけっこう今までとトーンを変えて来るのかなということで、ヒーロー映画という枠の中でも違う雰囲気を期待してワクワクしました。

 そんな訳で、今回はこの前の水曜日に第1シーズンが完結したロキの魅力を語って行こうと思います。あらすじ以外のネタバレはなしで行こうと思いますのでよろしくお願いいたします。それじゃあ、行きます。


①中二病心を突くのがすごくうまい


 ロキのドラマは設定が非常に中二病性の高い作品です。このような要素を含む作品は一定数の人気があります。

 例えば、ドラゴンボールシリーズに出てくるゴクウブラックとスーパーサイヤ人ロゼがいます。彼は主人公の悟空と同じ姿をしていますが、性格や話し方が非常にクールで傲慢で、その上言葉選びがわざと難しい言葉を使うようにしています。さらに、その目的が下等な人類を滅ぼそうとしているという点や、変身形態であるスーパーサイヤ人ロゼは本来の悟空が使うブルーとは逆の色になっています。

 それに対してロキはどうでしょうか。まず、ロキという存在が中々中二病要素を強く持っています。北欧神話というだけでも興味を惹かれると思いますが、それだけでなく最初のボスである悪役がまさかの主人公になる。と言う所でどんなことが起こるのか得体の知れなさにワクワクします。

 そして、ロキの性格を振り返ってみればその点もより興味深くなるでしょう。彼の得意技と言えば、相手をだますトリックスター的存在です。そんな彼が主人公となれば、今まで話の中心にいたアベンジャーズに属するヒーローたちとは一風変わったような、とんでもないことをしてくれるのではと期待してしまうのもおかしくないではないでしょうか。その証拠に、本作では各回のラストなどでロキが突拍子もないことをして、視聴者に「ロキは一体何を考えているんだ?」と思わせて終わることがあります。中二病心をくすぐられる人は、この「他とは違うぜ」という形にとても興味を持つのではないでしょうか。

 さらに、本作の設定では、警察的組織が一度捕まえたロキをより強力な敵を捕まえるために仲間として迎え入れようとするというストーリーです。この設定も素晴らしいです。ロキが悪者だという前提で、彼は危険であると作中でも強調することで、今までのシリーズとは真逆のことが起こるのではとワクワクさせられますし、アベンジャーズとはまた違う形で世界を守っている組織が出て来たという点も、世界を裏から支配していると言う意味で、忍者などの影の秘密組織のような魅力があります。

 そしてさらに、この警察的組織が、時間を操りタイムパラドックスが起きてしまうのを防いでいる組織になります。そう、過去や未来に縦横無尽に移動することが出来るアイテムが出てくるのです。時間を移動することにより、話のスケールがより大きくなってしまうことで、作中に伏線が貼られたり、謎が多く出やすくなっています。

 これは、ドラマという媒体と非常に相性がいいと思っています。なぜなら、本編の中で起きたことやおいてある物が、どのような意味があるのかと言う所や、今後どのように活躍するのかという所を想像しながら1週間待つことが出来ます。また、映画館で見るのはリピートのハードルが中々高いのに対して、ドラマは一度Disney+を登録してしまえば何度も見ることができ、それの意味を確認したり、他人の意見などを見た際にその内容をチェックできると言う魅力があります。子供から大人まで見ているMCUの中で、難解なストーリーをやるためにはドラマの方が映画よりも向いていると言えるでしょう。

 このように、ストーリーのスケールが大きくなりその内容が複雑化したという点や、元は敵でしかもアベンジャーズのボスだったロキが主人公なこと、彼が正義のために活動している組織の味方になると言う衝撃。そして、ドラマという考えている時間に余裕を持つことが出来る媒体。これが作品が中二病心をくすぐる要因になっていると思います。

②サントラがとてもかっこいい


 このドラマはサントラが非常にかっこいいです。神話が題材になっているという点でしたり、先ほど言ったように、本作から世界感が時間軸という点において広がりました。これに合わせるようにBGMが早大になりました。これについて自分は高く評価しています。

 個人的にも大好きなマイティソーバトルロイヤルですが、神話としての壮大さを失ってしまったと言う感じがあります。BGMもグランドマスターのコロシアムのイメージに合わせるように、エレクトロニックな曲がたくさんかけられていました。それはそれで結構コミカルな映画のトーンに合わせていていいと思いますが、そこからロキのドラマでは世界観の拡大という意味や、時系列がダークワールドよりも前という意味で、トーンを以前の宇宙規模の方へと戻していきました。

 サントラも同様です。それを連想させるような壮大さをここでも表現するようになりました。また、何度も言いますが、ロキは悪役です。確かにバトルロイヤルにおいてソーの仲間となりましたが、この頃はまだそうはなっていません。本作はアベンジャーズにニューヨーク戦で敗北した直後の話です。

 そんな野心に燃えている彼をイメージしたようなダークな雰囲気も曲の中によって表現されています。さらに、ダークだと言うのはロキだけではありません。影から世界を支配する裏の組織もそうです。ここも同じように何やら裏がるような雰囲気を冒頭から醸し出しています。タイムパラドックスを起こした相手を無差別に倒すその姿はあまり健全な様子とは言えず、疑問が残ります。このように、作風もBGMやロキというキャラクターに合わせていました。

 また、神話のように壮大でダークなだけではありません。このドラマにはもう1つ大きなテーマがあります。そう、タイムトラベルです。それを印象付けるように、この作品サントラでは浮遊感のあるような、様々な時間軸へと移動するイメージに似合うような漂う感じの曲が使われていました。

 他にも、ロキが協力することになる組織の施設に合わせたレトロな雰囲気などなど、本来敵であるはずの存在が主役になったという点や、世界の裏で暗躍していた組織の仲間になると言うストーリー展開に合わせたような今までにない怪しい雰囲気を醸し出す作品に合わせた、ダークなサントラに非常に興味を惹かれました。今までの明るくて楽しい感じのMCUとは一風変わったような曲調は、今までシリーズをずっと追いかけていたファンには感心させられると思います。

③ロキのキャラクターが興味深い


 ロキは今までも何度か映画に登場しましたが、今回でドラマという長い尺を始めて貰い、その内面に今までで最も深く触れることになります。ここで人をだますのを得意としながらも、それのせいで発生している孤独に疑問を感じていると言う過去でも掘り下げられていた内面を、今回はより深く描かれて行くことになります。

 彼は悪党であり、様々な作戦を練ることを多く見せますが、それは基本的に失敗に終わってしまいます。このことは本作品の中でも冒頭で別のキャラクターから指摘されてしまいます。彼の発言は神であると言うアイデンティティを侮辱されて相当大ダメージ与えたに違いまりません。

 ネタバレを避けるために多くは語れませんが、上記のシーンのように、ロキにとって感情やアイデンティティに影響を与えるシーンを多数見られます。これは、本作がアクションという部分にそこまでスポットを当てられていないと言う部分が大きいでしょう。確かにバトルシーンはあるにはあります。それに、後述しますがこの映画には謎解きというもう1つの要素も多く見られました。ただ、特に後半に近づくにつれ会話劇が多くなります。

 様々な時間を移動していく中で色んなキャラクターと遭遇し、ロキという敵でありながら主人公になると言う複雑なポジションにいるキャラクターの内面をより興味深くしていきます。さらに、ポスターにも出ているメビウスを始めとしたよく話すメンバーも、彼の行動や他の出来事によって内面を変化させていきます。

 特に、これで彼に出た変化は、バトルロイヤルの時のロキとはまた違うキャラクターに見えましたし、時系列的には直前であるアベンジャーズとは全く性格が異なっていました。そして、その根拠がドラマ特有の長い尺を使って丁寧に描かれていたので、その内面にも納得が出来るようになっていましたし、終盤の彼の変化がとてもよく表れているシーンはとても美しく描かれていて心を打たれました。

 それに、ロキが珍しく他人と会話しているシーンが多いのは、なんだか久しぶりに彼の普段の様子を見れた気がして楽しかったです。例えば、ソーと会話をするにしても、ダークワールド以降は罪人と王という形でしたし、バトルロイヤルで語ったのはオーディンを探していたりグランドマスターの基地から脱出していたりと有事の時が多かったです。それに対して今回は、座りながら他の人とゆっくり話したりしているシーンが多々あったので、彼のキャラクターの内面をより深く知る手助けになっていたと思います。

 また、彼のキャラクター性については、作品のトーンとも密接にかかわっています。上記で書いた通り、このドラマではロキが悪役であると言う所をサントラや宣伝などで大きく売り出しています。これにより、そこから変化していくと言うところがより強調されているのです。運営側から「ロキは悪いやつだ」ということを訴えられることで、MCUにそこまで詳しくないような人でも、すんなりと入りやすいと思いますし、それのおかげでそこからの変化にも重みが出ていると思います。

 このように、本作では今まで掘り下げられた時とは違う形でロキの内面が描かれていたという点だったり、それを映すためにストーリーはもちろんのこと、それ以外の部分でも運営が彼の内面をより深く読み込めるように尽力していたので、この作品で起きている事や世界観などに関心を持ちやすかったです。

 そこにいるキャラクターに関心が持てていないと、起こっている事がどれほどすごいのかという事や、この戦いや目的などにどのような意味があるのかということを理解できないので、大きい規模の物でも関心を持ちにくくなってしまいます。その点において、このドラマは非常にいい結果をだせていたと思います。

④MCUとしては初めての推理物であると言う事


 上の方で言いましたが、本作は推理物であり起こっている事件を解決するために、ロキがタイムパトロールである人たちにその知能を貸すというあらすじとなっています。これがとても好きでした。まず、あのロキが頭脳を使うと聞いて何も感じない人はいないはずです。彼は様々な策略を張り巡らせることを得意としています。そうであれば、本来の業務である捜査をするために情報収集をしているシーンや自分の推理を語っているシーンでも何か裏があるのではと考えてしまいます。

 このように、推理物という頭を使うことが多いジャンルで、ロキというだましが得意なキャラクターが出ているだけで必要以上に深読みをしたくなるために、そのような楽しみを見出すことが出来ます。これについては今までのロキが活躍していたマイティソーシリーズではそう言ったことはそこまで見られなかったでしょう。特にバトルロイヤルでそうでしたが、主人公であるソーのパワーが高いせいで、それを武器としたアクション作品としての色が強くなっていたと思います。

 それに対し、本作ではロキ自身が魔術などに一切頼らず、過去の出来事などから考えたことだったり、他の人から仕入れた情報などから考えて1つの答えに辿り着いている時がけっこうあります。他にも、会話をする時も回りくどい表現をしたり他人を笑わせるための皮肉が効いたジョークを言うなど、頭を使っている様子を多く見られました。このように、彼が決して味方になりながらも先の事を考えて行動している姿や細かく頭を動かしながら会話している姿を見ると、また裏で何かを企んでいるのではと感じてしまうのも無理はないのではないでしょうか。

 また、本作ではタイムパトロールとして悪人を倒そうとする警察がいます。そして、もちろんロキもまた彼からすれば本来しないはずのワープをエンドゲームでしてしまい、タイムパラドックスを起こしてしまった倒すべき悪役です。もちろん、ともに捜査するとしてもその行動を危険視している存在がいるのは言うまでもありません。むしろそう言った存在の方が多く本作には登場します。

 これがどのように活きるかと言う所ですが、ロキが何か自分の思うことをしようとする時に、それを堂々と行うわけにはいかず、隙を見て行ったりバレないようにしなければならないと言うことです。つまり、視聴者側もロキが何か怪しいことをしていないかと、警察側と同じように目を光らせなければ彼に騙されてしまうかもしれないと言うことです。また、彼が裏で何かしていると言うのにも、彼らにバレないようにという理由が出来るために、後から実はこういう事だったんだと言われても納得が出来ます。

 このように、本作においてロキは作品の設定と舞台装置という2つの方向から鎖をかけられた上での策略を作らなければならず、そのせいで視聴者はより作品の細部にまで気を配らなければならなくなっていると思いますし、何気ない動作や発言などでもこんなことを考えているんじゃないかと想像する余地が産まれていると言えるでしょう。

⑤まとめ


 以上が自分の思うドラマ「ロキ」の魅力になっているポイントだと思います。今までのMCUは全体的に明るくて話がすっきりしていて分かりやすいと思っていましたが、ドラマシリーズになってからは話が二転三転することが多く、それが今までの中でロキが最も有効的に活用されていると感じました。

 まとめると

・中二病心をくすぐられる
・サントラがとてもかっこいい
・ロキのキャラクターが良く掘り下げられている
・推理というジャンルがロキのキャラクターとマッチしている

 と言う所だと思います。

 最後に、このアカウントでは、漫画ハナヤマタを中心に映画なども含めて思ったことや感じたことを色々記事に書いています。もしよかったら今後もよろしくお願いします。

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