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(マンション建替え)主な反対意見(1)

 マンション管理組合が“建替え”を検討してみようと至るまでには、今後の修繕計画への行き詰まり感が根底にあります。いっそ、“建替え”をした方が良いのではないかということです。理事会では、当然、そのことが話し合われ、一般区分所有者へも伝えた上で、“建替え”検討を進めているはずですが、その伝えたはずのことが、一部の方には、ごっそりと欠落していることがあります。

 我々コンサルタントが“建替え”検討として、管理組合の中に飛び込んだ時、発せられる否定的な反応や質問があります。どこの現場でも、間違いなく、出会います。そんな反応や質問について取りまとめました。そして、それらを考察してみました。

 ☆「・・進め方が拙速過ぎる。」

 どんなに段階を踏んで、慎重に進めたとしても、必ず、遭遇(そうぐう)する言葉です。ほとんどの委員会、理事会の方はしっかりとプロセスを踏んで進められています。それでも、この言葉はでてきます。

 それは、理事会等の執行者の方々と一般の組合員の方々との立場の違いから来る、情報の消化量の違いからきます。受け取る情報が同じ量だとしても、執行者の方はその責任感から、しっかりと情報を受け取っています。残念ながら、一般の区分所有者(管理組合員)の方々は執行者の方達ほど、情報の消化ができていません。執行者でない分、消化の度合いが進んでいないのです。情報をもらってはいたものの、そのことを充分に考えてなかった。それが「どうも、かなりすすんでいるようだ」ということで、「私は不安ですよ」という信号を発信しているのだと思います。

 日頃から、努力をしてきた執行部の方々としては理不尽に思うことです。

   

 しかし、同じことの繰り返しになるとしても、説明を尽(つ)くすしかありません。

 そのことで対立しても解決には至りませんし、禍根が残るだけです。

 “建替決議”自体はそもそも、拙速に進められるものではありません。区分所有法で“建替決議”に求められているのは周知を尽くすことです。誘導などする必要はありません。執行部の責任は賛否を誤解がないように適正に判断して貰えればよいだけです。そのことのみです。

 それでも、執行部の方の負担ははかり知れません。

 そこで、コンサルタントの助力がおおいに必要となるところです。

☆「・・建替えありきで進んでいる。」

 自分たちの知らないところで物事が進んでいるという不安からの言葉です。

 「☆進め方が拙速過ぎる」のところと基本的には同様です。

 これまでの経緯を理解してなかった。または、理解しようとしてこなかったことから来ています。当然に、それは自分だけではないはずだという認識です。

 “建替え”は4/5決議です。知らないところで物事を進めることはできません。“建替え”が決まったわけではないこと。反対することに問題はなく、あくまで、“建替え”をした場合のケースを提示しているということ。それに基づいて、一人一人が判断をすればよいということ。これらのことを忍耐強く説明していくしかありません。

☆「・・これまで通りの修繕で維持していくべきだ・・」

 これまで通りの修繕で適正な維持ができないということを理解してなかった。もしくは、理解しようとしてこなかったことから来ています。煩わしいことは目をつぶっていたいという気持ちであると思います。

 説明うるときは、これまでの経緯を併せて伝える等の工夫が必要でしょう。ただ、実際の検討時期とかなり時間が隔っているため、検討した人間(担当理事、業者等)がその場にいない(再度説明を要請できる状況でない)といったことが多く、代わりの理事等が説明しなければならず、説明者によっては門外漢である場合があり、説明者の力量で結果的に足を取られ、「どうして、これまでどおりの修繕で適正な維持ができないのか?」という疑義が消化されないまま紛糾してしまうことがあります。

 再度、「修繕検討を進めるべきだ・・」となってしまうようなら、そのような発言した人の責任で再検討してもらうという結論もありだと思います。しかし、往々にしてこのような人が大規模修繕に前向きであるということはなく、単に先送りしたいだけの場合が多いです。

☆「・・もっと、どんな建物が建つか、どんな設備があるか、具体的にならないと、判断できない・・」

 建築”の仕事の進め方はなかなか一般には理解できません。完成したものがそこにないからです。建替えをするかしないかという時期に完成品と価格をはっきりと提示することはできません。経済(受注)環境によって、建設価格は大きく動くこと、それにともない建築仕上げ、設備仕様の程度が影響を受けることを十分理解してもらいましょう。あくまで、職人仕事が主ですから、おすしやさんの時価に近いところがあります。

 当初段階では概算設計、価格でしか判断できません。推進決議、建替決議、権利変換決議、工事着工と進むごとに具体性が増していきます。クーラーが実装されているかどうか、バリアフリー対応になっているかどうか等、その段階毎に判断していくということで構いませんし、むしろ、それを目標に進めて行くということで良いと思います。

 しかし、実際は、結論をだしたくない。賛成はできない。というのが本音だと思います。状況をしっかりと伝えていくしかありませんね。

 

☆コンサルタントに攻撃的対応をとる

 自分の意思と関係のないところで、物事がどんどん進められている。そんな不安感で攻撃的反応しかできないのかもしれません。今の組合の状況、賛否等、伝えられるべきことを伝えるようにするしかないと考えています。反対する自由は当然にあります。先送りする権利もあります。その前提を強調しながら話を聞いていただく努力をし、反対であれば、仕方のないことだと思います。

☆反応しない(電話、アンケート、面談等に頑なに応じない)

 理事会等の執行部の方からすると、一番困った問題です。“建替決議”に係る情報をしっかりと把握したうえで、賛否を判断して頂ければよいのですが、情報入手すること自体を 拒否し、一切反応しない。基本的に反対なのでしょうが、本当に建替えた場合のストーリ ーを適切に、自分に落とし込んだ上での反対なのかは怪しいところです。ほとんどが誤解による思い込みや噂で判断してしまい、話しを聞こうともしない方達がほとんどです。

 しかし、放っておくことはできません。”建替決議“は周知することが前提です。

 かなりの労力と時間がかかりますが、賛否をしっかりと判断していただく為にも、伝えるべくことは伝えなくてはなりません。

 ☆「体制に従いたい」

 実はほとんどの方が言っていることですが、その実態は捉えがたいものです。賛成なのか、反対なのか、はっきりと表明されません。建替えた場合の条件整理、建物状況、今後の取るべく道筋等は、的確に伝え、しっかりと自分に落とし込み、判断してもらうための機会を幾度(いくたび)か設けて行かなければなりません。それに加えて、気になる他の方との意見、状況もしっかりと、説明会、アンケート、配布物を利用して伝えていくだけです。充分な会話が必要な方達です。

 次に、もう少し、詳細な質問について述べさせて頂きます。      

                                    次へ。


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