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マンション再生-老朽化対策に必要なもの

マンション老朽化対策は、必要な時期に必要なお金をかけて、マンションを大規模改修する。改修で、問題解決できなければ、いっそのこと、建替える。再入居が厳しいようなら、敷地売却をしてしまう。といずれかを実施することで、それは解決していきます。

ただ、その解決には、いずれも、大きなストレスと費用負担が伴います。建物の老朽化とともに、住む人も高齢化します。それらの解決、緩和策を進めて行く原動力は、結局、家族とご近所との絆の力しかありません。

大規模改修では、必要な費用が準備できていなければ、区分所有者から一時徴収や管理組合の借入れ等の負担が発生します。

建替えでは容積率に余裕があれば、費用負担は少なくなりますが、工事期間中の仮住居費用や移転費用は避けられません。

敷地売却は新たに住居を取得しなければならないということになるので、取得物件によっては状況が随分と変わってきます。しかし、建替えと同様に新たな住居取得が、多大なストレスが負荷されます。

それらの費用負担については、住宅金融支援機構の高齢者優遇特例制度やフラット35を利用することで、ある程度の負担感のストレス軽減は期待できます。

引越し等の様々なストレスについても、管理組合等が主導して進めることなので、それなりのバックアップも期待できます。

緩和策は準備できます。ただ、人は見たくない事実には、目を背ける傾向があります。一番の問題は、住民の高齢化進展で生じる、気力の“なさ”なのです。

住宅ローン、引越しと一通りを経験した人たちです。「いまさら、この年(とし)で、そんなストレスを感じたくはない」、「自分達がいなくなってからにしてほしい」というのが正直な気持ちです。

ただ、何も手を打たないということは、問題を先送りしているに過ぎないということを理解してもらわなければなりません。自分たちは逃げることができたとしても、それは次の世代へ引き継がれてしまうということです。たとえ、子供がいなくても、誰かが引き継がなければならないのです。

問題を先送りすることにより、老朽化はますます、加速します。負担は大きくなります。早くから手を打てば、それらを回避することは可能です。

次の世代、受け継がなければならない人達のことも、よくよく考えていただかなければなりません。

わたしの考える具体的解決策は次のようなことから、スタートすることです。

大規模修繕が3回目を迎える頃から、
1. これまでの修繕履歴をまとめる
2. 駐車場、駐輪場必要性をチェック
3. 建物調査、長期修繕計画をお仕着せ(無料)のものでなく、本格的に策定する
4. 改修要望(給湯器撤去、給水方式変更(増圧直結等)、エレベータースペック等)をまとめる
5. 区分所有者へのアンケート実施
6. 理事の複数年性(半数入替)
7. 管理規約の改定

区分所有者間での話し合いの場を意図的に増やしながら、継続的に顔を合わせ、マンション管理について話し合う。各一人一人の意見を吸い上げる。その繰り返しが、コミュニティの絆を強固なものにしていきます。それが老朽化対策になると確信します。

当初から、そういった形ができていれば問題はないのですが、マンションも新築の頃は管理で問題化するようなことはまずはないので、理事会等で真剣に話し合うようなこともありません。

大規模修繕が3回目を迎える時が本格的に管理の問題を考えなければならない時期です。このときに、しっかりした“話し合うの意識”が形成されていれば、大規模改修、建替え、敷地売却等の大きな費用負担とストレスについて、議論していく土壌ができているはずです。

人生100年時代がもうすぐそこに来ていると言います。健康・気力とも充実してもらわなくてはいけません。気力は周りの機運で少しは育まれていくはずです。みんなの機運が区分所有者お一人お一人にシンクロします。

普段からの区分所有者間のコミュニケーションの充実とそれらを先導するリーダーたちの育成が重要です。結局、大きなストレスとか負担に対する不安は家族やマンション内の人とのつながりでしか、解決できません。

マンション老朽化からの“再生”は、費用負担が少なく済むという要因だけではとても解決することはありません。管理組合、理事会がしっかりしていて、区分所有者一人一人が今の状況を理解し、働きかけたり、励ましたりする人達がいなければ、成功への扉は開けません。合意形成のハードルが高いと思われる“建替え”や“敷地売却”に成功したマンションはそのような人たちがいたことで成し遂げられました。

日々の管理組合活動の状況が、マンション管理の良し悪しに反映され、長いスパンでの老朽化対策を進めていける環境につながります。

マンション管理組合活動の活性化が老朽化対策の糸口と確信します。

ナカマーク
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