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【全曲紹介】Dave - Psychodrama - #6 Disaster ft. J Hus

6曲目はJ Husとのコラボ曲。

J Husについて、恥ずかしながら僕は詳しく知らなかったのですが、彼もUKのラッパーでレゲエっぽいフローが特徴的です。本国では非常に人気があるらしく、2017年にでたCommon Senseはかなりヒットしたみたいですね。しかし、彼は2018年にナイフの所持で逮捕されてしまい牢獄の中にいた、と。牢獄いたにも関わらずデイブのアルバムに彼が入ったことは本国では大きな話題になったとか。そんな彼はこの4月にようやく出所して、いきなりDrakeのコンサートに登場し出所の祝福を受けたそうです。

この曲は自分たちの敵を攻撃するような歌詞で。テーマとしては、まあよくあるタイプの曲です。裏でコソコソ言っているだけで全然行動しない輩に対して、二人とも辛辣な言葉を吐き捨てていますね。この曲はスペシャルコラボ的な位置づけで、アルバムの中でも少し外れた位置づけにあるのかもしれません。ただ、この曲でもビーフにあまり興味を持っていないデイブの冷ややかな視点が見て取れるかと思います。

曲はJ Husの軽やかなフックから始まり、バースでは2人で交互にライムする手法を取っています。フック→バース→フックのシンプルな構成です。

Hook

Came on a Rambo ting, everyting camouflaging/Looking like a bulletproof/vest, nah, that's just a body warmer/Big man gossiping, there's noting worser/I swear I'm a father for them man/Bring something larger for them man/Disaster, disaster for them man
ランボー野郎、かかってこいよ。全身をカモフラ柄で決めてよ。/防弾チョッキみたいに見えるけど、違うぜ、ただの防寒ベストさ。/大の男が噂話ばっかりしてやがる。それより酷えことはねえな(みてらんねえよ、的な)!/俺があいつらの父親役を買って出てやるか。/あいつらにもっと馬鹿でかいモノをもってきてやる。/そうさ、あいつらにとっての大参事さ、とんでもなく厄介な目に合わせてやる。

ランボーはご存じ映画の「ランボー」とUKスラングの「ナイフ」が掛かってるらしいです。ナイフは自分のブラックジョークなんですかね。つまり、ランボーみたいにカモフラ柄を着てるやつは実はビビってて、心の中を「カモフラージュ」してると言ってるんだと思います。街のエセギャングをからかってて、「調子乗ってるとヤッちゃちゃうよ?」的な感じですかね。

Verse

バースに入ると、J HusとDaveは交互にライムしていきます。まずはJ Husのラインを取り上げます。

I'm standing here/Bumped into Dave by the Santander/You was in the same spot you was in last year/You said, "Life ain't fair"/I know man who live life in fear
俺はココに立ってて、/サンタンダ―の前で偶々デイブに出くわしたんだ/お前らは去年と未だに同じ場所にいるな。/お前は「人生はフェアじゃない」っていうけどさ/ビクビクしながら生きてる男なんだよ

J Husは引き続き文句ばっかり言って動かないやつらを攻撃的なリリックでディスしていきます。サンタンダ―は銀行の名前。デイブはサンタンの愛称でも知られるので掛かっていますね。

今度はデイブのラインをみてみます。デイブもJ Husと同じようなライムを繰り広げます。

You were on the same block, standing there/Smoking, gossiping, chatting bare/Don't tell me that you ain't involved/Them JME 'cause a man don't care
お前は同じブロックにいたよな、あそこに突っ立ってた。/ウィードを吸って、噂話をして、井戸端会議をしてたよな。/自分は関係ないんだなんて俺に言ってくるんじゃねえぞ。/あいつらはJMEさ、だって全然興味がねえし。

JMEもラッパーの名前で、Man don't careというヒット曲があるそうで引用して、そいつらには興味がないことをラップします。デイブはあまり他のラッパーや不良と意味なくビーフすることを嫌がっていることがわかりますね。

もう一つ、デイブの巧いライン。

I got nothing for a fed, copper for your head/And that's the definition of a penny for your thoughts
警察なんて関係ねえよ、お前の頭には銃弾をぶち込んでやる。/それこそが、お前の考えの中にあるペニーの定義だろう。

ここも実はワードプレイです。fedは「警察」の意で、「copper for your head」は銃で頭をぶち抜くの意ですが、copperにも「警察」の意味があり、その前のfedと掛かっています。

さらに、「copper」には「銅(カッパ―)」の意味もあり、お金の「ペニー」は銅でできているので、ペニーのことばかり考えてる輩(=頭に銅が入っていいる)と、銃弾(copper)を頭にぶち込むが掛かっています。
本当にこの手の言葉遊びがデイブは上手ですね。

もう一個!

I know people wearing Rollies doing life in can/Isn't that ironic that they couldn't find the time to plan?
刑務所で過ごしてるのにロレックスを身に着けてる輩を知ってるけど。/皮肉じゃないか?あいつらは計画を立てる時間すらないんだぜ。

いくらロレックスをつけていようが、刑務所にいたら計画を立てる時間すらない、つまり時計を付けてる意味ないじゃん、という的確な指摘。

どうでしょうか。J Husのフローもかっこいいですが、デイブの冷めた視点は20歳とは思えないような落ち着きを感じますね。

つづく・・・


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