見出し画像

『ポピュラス』『ダンジョンキーパー』Steam復刻版EAクラッシックゲームで自身のルーツを知る

 自分の幼少期の頃のゲームの記憶は大量にあって、最も古い記憶は『スーパーマリオブラザーズ』『エキサイトバイク』『クルクルランド』『F1 レース』あたりを飽きもせず遊んでいたのを覚えている。時代を経てスーパーファミコンへ移行していくのだが、自分が小学生くらいの時なので記憶としてはそれなりに鮮明で、あまりノスタルジックなそれでは無い。ノスタルジーを感じる記憶としてはこのスーパーファミコンが家に来るもう少し手前の頃に遊んだゲームがその対象になる(大昔の話なので多少、歴史に間違いがあってもご容赦ください)。

 自宅にはなぜか父親がパソコンを家に導入しており、休みの日に仕事かゲームのどちらかで必ず使用していた。この時代はまだWindows95が無く、コマンドプロンプトでソフトを起動していた時代である。筐体には5インチのフロッピーディスクを読み込むスロットが2つあり、パソコンの割にはアナログなカタカタした音を立ててローディングしていたのを覚えている。そんなパソコンを使わせてもらってマウスで遊ぶゲームはファミコンには無い刺激で、かつ英語表記だけで遊ぶそれは古代文字を解読する様な感覚で子供心には刺さっていた。そんな記憶の中にあるゲームが『ポピュラス』だ。

自分が幼少期に遊んでいたバージョンと微妙に違うのか、このオープニングは初めて見た

 それまでファミコンに慣らされていた子供がこのゲーム画面を見て虜にならないわけがなく、この変わったUI(という概念が当時あったかわかりませんが)はなんなんだと度肝を抜かれて夢中で遊んだ。いわゆるRTSというジャンルの第一世代でもあり、これが最終的に『Starcraft 2』へ繋がるわけである。

自陣営が青 原始人スタイルの人間は直接操作できない

 なんでこのタイミングでそんなことを書いているかと言えば、この元祖『ポピュラス』が3月に、Steamにベタ移植されて発売されたからである。リメイクですらなく、あくまでもベタ移植。なのでフルスクリーンにも引き伸ばせるが、等倍表示にするとデスクトップに小さなウィンドウで表示される。キッチリ測ったわけではないが、このサイズはおそらく320×240じゃないだろうか……。ちなみにゲームのダウンロードも11.6MBしかないので一瞬で終わる。携帯アプリでももう少し重たいぞ。

マップの種類は草原、砂漠、雪国、火山の4種類

 このゲーム、目的は神となって様々な奇跡を起こして自分の陣営の人間を繁栄させ、対抗陣営を滅ぼすことにある。が、やることは割とシンプルで、人間が作った住居の周辺の土地を平らに慣らすと住居がパワーアップし、最終的に大きな城となる。そうすると神のパワーが多く貯まるようになり、相手陣営に地震を起こしたり底なし沼を発生させたりなど妨害行為ができるようになる。

敵陣に毒の沼地(茶色いマス)を生成
敵味方を問わずこのマスに踏み入れると死亡する

 お互いのエリア開拓が広がると接敵し戦争になるのだが、戦闘がまさかのステゴロw ボコボコの殴り合いを制すると相手の住居を奪うことができる。人間はなぜか合体することが可能で、グレードの高い住居から集めた人間同士が合体することでケンカの強い人間になることができる。特別強い人間が作れた場合は騎士にジョブチェンジさせると単騎で敵陣へ入り、殺戮の限りを尽くすようになる。ただし騎士になっても、グラフィック上は持ってる剣は使わずやはり拳で戦うw 単なる飾りかよ。

敵陣の城へ乗り込んで素手で戦う騎士

 その他の要素としては、洪水、火山、強制的にお互いの陣営が全員合体して1対1で戦って(もちろんステゴロ)決着をつけるハルマゲドン、などなどあるのだが、これ以上の説明は割愛する。相手陣営を滅ぼした方が勝ちという勝利条件はとてもシンプルで取っつきやすいと言える。それゆえに飽きやすくもあるのですが、ともあれ約30年前に遊んだあのゲームがまたSteamで遊べるとは、という感動で発売されてすぐ購入したというのがことの経緯です。

騎士は戦闘に勝つと敵陣の住居を燃やしてしまう
可愛らしいグラフィックの割にやることがエグい

 発売はEAからなのだが、このクラシックコレクションのラインナップにもう一つ懐かしいゲームがあったのを発見し、こちらも購入した。『ダンジョンキーパー』である。これは確か自分が中学生の時に小遣いをはたいて購入したゲームであり、同級生がプレステに夢中になっている間、自分はパソコンでこれを遊んでいた。

初代プレステより僅かに高いCG技術が今やレトロ感を演出している

 『ポピュラス』同様にRTSなのだが、こちらは時代を経て少し複雑になっている。『ダンジョンキーパー』とのタイトルの通り、ダンジョンの運営・管理を行うゲームである。インプと呼ばれる工兵へ命令し、暗い洞窟の中を開拓し、寝床や鶏小屋(ニワトリがクリーチャーの食料)などのインフラを整えるとダンジョンへクリーチャーが集まるようになる。クリーチャーは訓練所で体を鍛えてレベルを上げるなどして、やがてやってくる勇者や戦士などの人間共を迎え撃つのが目的となる。つまり文字通りの悪の存在として辣腕を振るう、普通のゲームの真逆の存在としてプレイするのである。今でこそ「ふーん」ってな設定だが、当時はこれがメチャクチャ斬新なアイディアだったのだ。

オープニングムービーで勇者の首を刎ねるシーン

 悪の親玉なのでゲーム内では悪の限りを尽くすことができる。トラップの大岩転がしで勇者を一撃死させてもいいし、倒した勇者を自陣へ連れて帰り、長時間の拷問を加えてこちらの味方へ寝返らせることもできる。この当時の「敵キャラが仲間になる」要素と言えば「なんと スライムが おきあがり なかまに なりたそうに こちらをみている!」であり、拷問で寝返らせるというのは思いついてもコンシューマーで実装されるわけがない(どちらも散々シバいた後に仲間にしてるので大して変わらないかもしれないが)。中学生の自分にはこのゲームでやれる要素の過激さと適度な複雑さが、コンシューマーの遊びしか知らない同級生とは違うという特権意識を覚え、かなりの時間をこのゲームに費やしたのを覚えている。

ゲームに登場する全キャラを拷問できる
キャラ毎にアニメーションが異なるため、拷問コンプを目指したいところ

 クリーチャーはこちらの命令を何でも聞く従順な存在……と思いきや、定期的にお給料をしっかり払う必要があり、お金がなくなるとクリーチャーがダンジョンから出て行ったり反乱を起こし始めるので、予算管理とインフラ整備のバランスを考えなくてはいけなかったり、クリーチャー同士で仲良くできない困った奴もいるので一緒に行動しなくて済むようなマネジメント能力も必要という、ダークファンタジーなのにやってることは中間管理職そのものというユーモラスなギャップが特徴的だ。唯我独尊の悪の親玉になったはずなのに! インプの仕事が遅いなと思ったら直接ビンタ(物理)すると作業スピードを上げることができるなど、ド直球のパワハラ行為も搭載されており、いよいよオフィスワークの悲哀が満ちてくる。

ビンタ(しかも裏拳)

 こちらのゲームもグラフィックがかなり粗く、やっていることの細かさと全く帳尻が合っていない。吹き出しでクリーチャーが何をしようとしているのか表示されるのだが、あまりにもドットが粗過ぎて今見ても全く理解できない。おそらく当時も頭の中で記号化して理解したのがやっとだったと思う。その当時としてはかなり秀逸なグラフィックであったと思うが、あの頃のディスプレイはブラウン管が主流なのでドットが僅かにボケてもう少し柔らかい見え方だった事を考えると、この表示をそのまま当時の再現だとは思わない方が良いだろう。

戦闘シーン
当時も感じたけど、今見てもグラフィックが粗過ぎて何が起きているのか把握できないw

 この『ポピュラス』『ダンジョンキーパー』は、いずれも作者が同じというのをつい最近知った。ピーター・モリニュー氏が生みの親であるそうで、この他にも『テーマパーク』も作ったらしい。で、実はこの『テーマパーク』も同じく青年期にどハマりしたゲームで、自分がいかにピーター・モリニュー氏の影響を受けていたのか今になって知ることとなる。そんなゲームばかりやっていたので、ゲームに対する好みというものが大分ヒネたものになってしまい、その後遺症としては世間で『FF7R』が発売されても目もくれないといった、単なる世間ズレという形で残ってしまった。Switchすら家に無いしね。かくして世の中のメインストリームとは別路線のゲーム人生を歩むこととなるのだが、それほど後悔はしていない。

 ピーター・モリニューさん、ありがとう。

illustration:あすま(@asu5m843B
※「目指せ 10,000 人フォロワー!」らしいのでフォローしたってください

↓インディーゲームのレビューを書いていくので「スキ!」とクリエイターフォローしてね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?